福島の味噌屋さんが、全国にファンがいるお店に成長した理由。マルマン醸造 常盤さん×川村対談

福島の味噌屋さんが、全国にファンがいるお店に成長した理由。マルマン醸造 常盤さん×川村対談

こんにちは、川村です。

今回は、福島県にあるお味噌屋さん、「マルマン醸造株式会社」の常盤慎太郎さんにお話を伺いました。常盤さんは、マルマン醸造の三代目にして後継者。本店・楽天市場・yahoo!ショッピング店など、複数のネットショップを運営しています。

「自立して店舗運営ができる状態になりたい」と、当社のコンサルティングにお申込みいただいたのは2018年のこと。以来、売上アップから利益改善・業務効率化まで幅広いご支援をしています。

マルマン醸造さんの創業からネットショップを始めた経緯、コンサルティングを受けることで、商売や常盤さんご自身にどんな成果や変化が起きたかまで、いろいろ聞かせていただきました。無理なく成長を続けられている「地に足のついた」真面目なご商売のストーリーです。

「家業を継いだけれど、初めてのECでどうすればいいかわからない」「地域密着型の商売を、どう全国展開していけばいいか…」とお悩みの方におすすめです。

はじめに

マルマン醸造さんの紹介


※出典:マルマン醸造株式会社ホームページ

マルマン醸造さんは、国産大豆・国産米・天然の湧き水を使い、昔ながらの製法で味噌を作っている醸造会社です。

地元の福島県古殿町で愛されている老舗で、全国の地方紙厳選お取り寄せサイト「47CLUB」の「みそ部門」で全国1位も獲得。じっくり発酵させた看板商品の天然醸造味噌は、「まろやかでおいしい」「国産&化学調味料無添加で安心して食べられる」「だしをいれなくても、おいしい味噌汁になる」と好評。

健康志向と国産へのニーズも後押しとなり、その正直な味噌作りから、日本全国にファンとリピーターがいらっしゃいます。

地域密着型の味噌屋さんがECを始めるまで


※常盤さん、川村、担当コンサルタントの亀田が同席しました。

家族で始めた味噌製造業

川村:まずは、マルマン醸造さんのお店紹介をお願いします。

常盤さん:当社は、1949年に醤油を製造する会社としてスタートしていて、当初は味噌を作っていなかったんです。県内の味噌屋さんからお味噌を仕入れて、詰め替えて販売していました。そのうちに仕入れの味噌が結構売れるようになってきて、1978年に自社製造に切り替えるために、設備投資をしました。

川村:45年ぐらい前の話ですね。

常盤さん:設備投資をして、祖父が「さあ、やろう!」となった時に脳梗塞で倒れちゃいまして。当時大学を卒業して、会計の勉強をしていた父が、急遽、学校を辞めて帰ってきて、そこから味噌製造が始まりました。

川村:なんと、これから始めよう!というタイミングで、お父さまがやらなきゃいけない状況に…。

常盤さん:父は学生上がりで、社会人の経験も何もなくて、味噌も醤油も何もわからない状態で。仕方ないですよね、実家が設備投資しちゃって、誰も継ぐ人がいないから。

川村:まさに、お父さまが、一から味噌づくりをスタートされた感じなのですね。

地域の家庭の味が原点

常盤さん:最初は、作りたての味噌を買ってもらっていたんです。この辺りに住んでいる方々は、元々自宅で味噌作りをしてたんですけど、段々それが大変になってきちゃって。それで、自分で作るのではなくて、「作ってあるものを買って、自宅に置いて食べましょう」という需要が出てきたんですね。

その当時は、すごいんですよ。家族も多いですし、一度に50キロとか60キロとか買っていただいて。お客さんも元々味噌を作っていた方々なので、「この味噌、もっとこうした方がいいよ」とか言っていただいて。

川村各家庭の味ですよね。

常盤さん:はい、今でいうと、レビューみたいな。それを直接生で聞いて、自分の頭でも考えて、作り方をどんどん変えていって、今のお味噌ができました。

川村:なるほど。地元のお味噌作りの代行っていう感じでのスタートだったのですね。ちょうど時代的にも白物家電とかが出てきた頃で、なんでも手作業から自動化、購入へと、生活が変わってきたタイミングですもんね。

地域に根づいた通販事業

常盤さん:当時の話を聞くと、商品を卸しているお店でも、たくさんの量で売れていたので、あるお店には、23キロとか30キロの樽を50本とか100本とか車に積んで持ってったとか。ちょっと今では考えられないんですけどね。

川村:「家庭で、ちょっとパックで買って」というのではなくて、そもそも貯蔵しておくものっていう感じだったんですね。もうロットが違う。

常盤さん:そう、すごいなと。そんな感じで、当時から、うちの会社は通販をずっとやっていて。70〜90年代くらいまでは、地域のお米屋さんや個人の商店さんがまだ強かった時代で、そちらに卸す分と、あとは新聞に折り込みチラシを入れて。卸のお店に持っていく配達の便にプラスする形で、チラシから電話をいただいた個人宅のお客さんの分も積んで、配達をしてたそうです。

川村:なるほど。地域密着通販ですね。

常盤さん:宅急便を使わずに、自社配送で行くような。今でもやってるんですけど。

川村:そうすると、やっぱり通販歴としては長いですね。

常盤さん:どれぐらいなのか、ちょっと僕もわからないんですけど、ただ僕が小学生ぐらいのときには既にやってたので、30、40年はやってるのかな。

川村:元々は商店のみで、ECが通販のスタートという方が多いですけど、常盤さんのところは、ほぼ最初から通販もされていたのですね。

震災前に始めたネット通販

常盤さん:僕が福島(家業)に帰ってきたときも、状況としては電話通販をやってるのは分かっていたので、伸ばすとするならば、通販だと。これからの時代は、やっぱりネット通販かなみたいなところはありましたね。

川村:常盤さんが帰ってこられて、ECはいつから始められたんでしたっけ?

常盤さん:実は、ネット通販自体でいうと、僕が帰ってくる前に..47CLUBさんってわかります?

川村:はい、わかります。

常盤さん: 47CLUBさんに親戚の紹介で出店したんですよ。それが2009年かな。でも一応入ったものの、ほぼ稼働してなかったっていう状態で。

川村:そうだったんですね。

常盤さん: 僕は2011年の2月に福島に帰ってきたんですけど。震災の1ヶ月前ですよ。つまり、帰ってすぐに震災が起こって、わーってなったんですけど。でも、うちの場合は、電話通販が売上のメインだったので。多少は影響があったんですけど、でも売上もそんなには下がらなくて。それで東電さんの保障とかも、会社としては全然もらえないような感じだったんです。あの時は、バイヤーさんが、福島県のものだと放射能があるから取れないということは結構あったみたいなんです。

川村:確かに、風評被害も含め流通に乗せられないから、販路が断たれた、という話は多かったですものね。

常盤さん:うちの場合は、通販に関しては、お客さんが直接電話をくれて。BtoCでお客さんとつながれるので、風評被害も比較的少なく、売上もそこまで下がらずに済んだというところはありました。

コマースデザインとの出会い

福島県支援セミナーで楽天への出店を決意

常盤さん:実は、御社との出会いが、最初(47CLUBさんの時期)にあって。あまり稼働してなかったんですけど、47CLUBさんの合宿みたいなのに、ちょっと参加してみたんです。そのときの教科書が、御社の坂本さんと川村さんの書いた、あの黄色本だったんですよ。当時は御社のことも、全然わからなくて。黄色本は、確か、出たばっかりぐらい。

川村:黄色本は、2010年に出していますからね。

常盤さん: そこで、ちょっと勉強させていただいたものの、なかなか売上が上がらない時期がずっとあって。

川村:そうでしたか。当時は、ああいうタイプのECの本がなかったので、勉強会などいろんなところで、使っていただいていたんでしょうね。

常盤さん:でも結局、47CLUBさんでは何もしなくて。よくある「セミナーを受けてもやらない」という状態が続きました。それで、「ネット通販を別でやりたいな」と思って、楽天の出店説明会に行きました。

でもやっぱり高いなーと。出店料とか手数料も「この売上の状態で、これではな….」と思って、ずっと見送ってたんですが、坂本さん、川村さんに来ていただいた福島県の支援セミナーで、県の支援で出店できる、みたいな機会があったので、もう迷わず飛び込みまして。元々出店したい気持ちもあったし、「タダだったらいける!」と。

コンサル申し込み後の試行錯誤の時期

川村:楽天に出店して1年後ぐらいに、当社のコンサルにお申し込みいただいたんですね。

常盤さん: なかなか売上が上がらず、悩んでて。実は、いつ登録したかわからないんですが、御社のメルマガを取ってたんですよね。それで、「あのとき見た、本の会社さんだ!」みたいな感じで、ブログを読んだりしていました。なので、頼むならここにしようと。

川村:本との出会いから、長い間ありがとうございます。売上アップを念頭においていたので、コンサルでは、販促施策も一通り実行していただいた感じかと思いますが。

常盤さん: はい。あとは、自社サイトを立ち上げもやったり。電話通販もやっているので、電話を減らすにはどうしたらいいかとか、ネットと関係のない施策もちょこちょこやっていたりしました。

川村:なるほど、その辺もご相談いただいていたんですね。

常盤さん:そうそう、電話が多くて大変だから…。

川村業務効率のところのご相談ですね。売れてくると忙しくなりますから。結局忙しいってなったときに「何で忙しいの?」っていうところを潰さないと、ネットの攻めの時間が取れないので。「時間を捻出できないのであれば、捻出するところからお手伝いする」ということで、一緒に考えさせていただいたのだと思います。

常盤さん:最初は、(電話対応を)外注しようとしてて、いろんな会社さんと商談したんですけど、金額が合わないので諦めて。そこで、自社サイトを立ち上げて、自社サイトにお客さんを呼ぼうと。

川村:なるほど。

常盤さん:変な話、今決算書で電話代とかを見ると、すごく安くなってるので、減ったなと思ってるんですけど。いろんなことやって減らしたような記憶はあるものの、何が効果的だったのかと考えると、今、パッとわからないんですけど。

SNSでバズってしまう事件

常盤さん:自社サイトの立ち上げをしたときに、サイトで会員登録すると、何ポイントもらえますっていうのをやって。期間限定ですけど、1000ポイントぐらいつけちゃったり。それで、一気に自社サイトに入れたりだとか。

川村:それは、有効ですよね。やっぱり1000円引きになると思えば、できる人は登録しますもんね。

常盤さん:それで既存ユーザーさんに収まると思ったら、Instagramに拡散されちゃって、ちょっと大変な事になってしまって(笑)

川村:(笑)元々の電話顧客向けだったのに…。

常盤さん:そうなんですよ。Instagramに載せられて1回バズって、大変なことになって、商品価格の調整やらいろいろやって。収まったと思ったら、今度はブログですよね、「安く買えますよ」みたいな感じで、誰かのブログに載っちゃって、またそれでバズちゃって。2回くらい、想定外の山があって、ちょっとびっくりしちゃったんですけど(笑)

川村:今の時代、お得情報発信してる人も結構いますからね。そういうお得情報みたいなところでは、「メール便で、実質無料だから超お得!実質タダ!急げ!(笑)」みたいなことにされちゃいますよね。

常盤さん: これは、しくじったなと思ったんですけど。

川村:でも、結果的には電話は減ったのに売上は減っていないですから、自社サイトの効果は出ていると。まぁ、登録者のどれくらいの人が、1000円のお得メインの人なのか。本来の顧客だけでなく、お得登録で残った人もいたらいいのですけどね。本店に登録してもらうのも大変ですが、やっぱりユーザーは増えましたね。

常盤さん:ユーザー数としては、増えましたけどね、お得ユーザーも結構いたんで(笑)

川村:本当に一過性のね、それだけのための人もいたり。

常盤さん:だから、いい勉強かなぁと思って(笑) まさか、拡散すると思わなかったんで。

川村:昔じゃ考えられないけど、やっぱり今って、SNSの時代なんで「ある人たちだけに届けたい」情報は、ちゃんと制限かけてないと本当に拡散されますよね。

常盤さん:だから、びっくり。バズるという言葉自体、うちの両親は全然わかんないのに。「バスったって、何それ?」みたいな(笑) Instagramとかストーリーとかっていう言葉もそれで覚えました、うちの両親は。

コマースデザインを選んだ理由

独り立ちを支えてくれる「家庭教師的な存在」

川村:当社とは、本やブログ、メルマガで接点があって、コンサルも申し込んでいただけた理由を聞かせていただけますか?

常盤さん:接点があったというのと、やっぱり「自分でやっても、なかなか自社の売上が上がらない」というところで悩んでて。その時に、御社のブログを読んでいて、丸投げのコンサルタントや運営代行という感じではなくて、こちらに実践させて、知識をつけさせて、独り立ちさせてくれる会社さんだなというふうに思ったので。家庭教師的な感じかな。それで、コンサルティングを受けたいと思いました。

川村:結局、「運営代行的に言われたことだけやってました」というのだと、契約が終わったら本当に何も残らない、ずっと契約をし続けないといけないサービスになってしまうので。うちとしてはやっぱり自走していただいて、自社で運営できるようになってもらうためのお手伝いをする。横で走りながらお手伝いして、幸せにご卒業していただくというのが、1番いいなと思っています。その形がやっぱり常盤さんにはピンときたというか、合っていたということですよね。

身の丈以上の投資より、着実に自分の力をつけたい

常盤さん:あとは、人によると思いますが、モールのコンサルタントさんにちょっと相談をすると、どうしても広告の話になりがちだったり、勉強会のようなものに参加した人からは、例えば「3ヶ月でこれだけ月商上げましょう」とか。どうしても、広告使って売上ドンとあげるぞ!みたいな話も少なくないみたいで。。うちなんてそんなにドカンと上がったら、会社組織的に対応が難しくなるし、そこまでがっつりやるのもなと思ったり….。「いや、それちょっと、うちじゃ無理でしょう」と思ったりして。

川村: ああ、そうなんですよね。

常盤さん「無理やり売上を上げてというのは、うちの体制だと合わないな」と感じていて、自分でどうにかしたいっていうところで、御社にお願いしたいなと思ったかな。

川村:うちの場合は「広告をなるべくかけないで」って、最初から言っているんですよ。もっと広告費をかけられれば、売上自体は上がるというのは、本当に確かなんですが。ただ、それは利益度外視な話になっちゃうので。

それに 「広告費かけて売上は上がりました。でも何も残ってません」という状態から、どうにかがんばってやっていくというのも、なかなかハードルが高いですよね。あまり堅実ではないし、ドーピングした状態になっちゃうというのがありますから。そこはギャンブル性がある感じで、「とにかく売上をボンと上げてみたい」というような、強い勢いがないと難しいところだけれども。普通は「中小のお店は、そんなに冒険できない」っていうところはありますよね。

常盤さん:体力もそうですね。

川村:ベンチャーじゃあるまいし、みたいなね。投資として、広告費をボカンとかけられるように、お金をどこかから借りたりとかできればいいですけど。「自社の貯金の中からやりくりして、それで回していって」というふうに、経営していくことを考えたら、やっぱり広告は難しいですね。

だから、うちと一緒にやっていると、売上の上がり方も、比較的ゆっくりにはなりますが、「確かに自分でやれるようになってるな」というところをご理解いただけていると、続くのかなと思いますね。また、販促していくと、今度は課題として、どうしても忙しさの問題が出てくるので。そういった新しい課題に対しても、何かしら手当ができるようにお付き合いをしていますね。

常盤さん:はい、そうですね。

コンサルティングの成果

アクセス人数と客単価が上がった

川村:常盤さんは、当社のコンサルティングを受けて、どのような成果を感じられていますか?

常盤さん:単純にね、売上というのが、やっぱり一番わかりやすい成果だなと思います。

川村:お時間は少しかかりましたけれども。

常盤さん:あと内訳でいうと、アクセス人数と客単価が上がったっていうところで。多分、お願いしたときって、「1グラム1円の最安値味噌」と言って売ってたり。最安なんで客単価がすごく低い時があって。今でも、まだ低い方ではあるんですけど。それでも客単価が上がったのと、アクセス人数は多分すごい上がったんじゃないかな。

価格訴求には限界がある

川村:お味噌って、素材の多いものでもないから、差別化の打ち出し方がすごく難しいですよね。店頭でも、なんとなく選んでるっていう人も多いでしょうし、その中で売れるためには、やっぱり価格訴求するしかないのかなみたいな感じで、おそらく常盤さんも1グラム1円というのを…

常盤さん:それやると、最安値で一番上に出てくるんですよ。

川村:「目立たないことには!」という、苦肉の策ですよね。

常盤さん : ただ実際、検索表示的には上がったので。利益はともかく、数は出て、レビューもそこそこついたので。味噌のページの1ページ目から2ページ目ぐらいまでは行ったんですけど、でも、それもずっとは続けられないじゃないですか。

川村 : そうですね、結局、価格訴求は、段々限界になってきますし、「売れば売るほど、赤字に近い」って、つらいですからね。

常盤さん:本当に1円で買う人っているんですよ。1円のときは、スプーンで味噌を掬って、ピュッて袋に入れて送ったり。

川村:えぇー!

常盤さん:1グラム以上入ってますよね。真剣に1g量るのも厳しいので、とりあえずやってましたよ(笑)

川村:「1円から買えます」みたいな量り売りを、本当にやっていたんですね。すごい、常盤さんの試行錯誤と悩みの跡が…

無理をしなくても、リピーターや新規顧客を取れるようになってきた

常盤さん:でも、当時は会社の利益が結構あったので。会社として利益がなかったら、とてもできない。

川村:それは、そうですよね。やっぱり仕入れじゃなくて製造っていうところと、原価の部分でがんばってたということはあるでしょうけど。にしても、あんまり健康的じゃないですし、そのやり方を続けたくないですよね。

常盤さん:そうです。そういうこともやったりしてました。

川村:そういう無理をしなくても、売上が立つようになったというところが、ショップの売上的な成果としては大きかったっていうところでしょうか?

常盤さん:そうですね。コンサルを始めてから、前年を割ったことが全然なくて、今もないんですよ。コンサルを受けながら、集客してるので。リピーターがある程度ついて、新規もそれなりに取れているので。

川村成長のサイクルが続いているのは、すばらしいし、嬉しいですね!

コンサルティングを続けるメリット

「壁打ち相手がいる」ありがたさ

川村:他に、何かしら当社が貢献できていることはありますか?

常盤さん:これがやっぱりね。壁打ち相手というのは結構あるなと。伝票を出したり、発送したりというスタッフはいるんですが、実質、本当にEC店舗を運営しているのは僕1人という状況の中で、相談できる人っていないですよね。家だと僕の上司は、父や母になっちゃうんですけど、相談しても、さっきのインスタグラムの話じゃないですけど、やっぱりわかんないじゃないですか。

あと、自分で悩んでることを相談する時って、本当に聞きたい時もあるんですけど、「自分の中の答えが、これで合ってるかな?」と思って、相談してることも多分あると思うんですよ。

川村:はい、仮説があって。「どう思う?」って聞きたいやつですよね。

常盤さん:これで合ってると思うんだけど、やっぱり同意してくれる人によっては、不安だったりするし。別にECだけじゃないと思うんですけど、そのときに専門家というわけじゃないにしても、相談してOKだったら安心するし、「いや、常盤さん、これこうじゃないですか」とかって言われると、「じゃあ、ちょっとこの考えはやめた方がいいかな」って、ブレーキにもなるし、その辺の何ていうのかな….

川村:最終的な判断は自分でするけど、やっぱりその手前の。

常盤さん:そう、手前のところの相談も結構してたような気がしますね。

外からのフラットな目線が必要

川村:わかります。仮説で「これでいける」って思っても、「何か背中を押されたい」とか、「懸念はないのかな?」というところを、ちょっと外から確認してほしいとか、一言もらいたいというのはありますよね。

常盤さん:そうですね、あとは、外からの方が冷静な目であったり。特にうちは、家族経営なんで、経営の相談をすると、ある意味、「身贔屓じゃないかな?」みたいな判断も結構あるんですよね。そこは、やっぱり外部のコンサルタントさんなので、相談したときにフラットな目で見てもらえるので、そこで、自分の立ち位置が分かるというか。

川村:ご家族で、しかもね、かわいい息子が言うことだからみたいな感じに、親はなりますよね。

常盤さん:あと、「商品がかわいすぎて」っていうのもあるじゃないですか。

川村:あっ、なるほど!「うちの商品は、いいものだから」と。

常盤さん:そうそう。

川村:それは本当に、メーカーとしては、持っていて当たり前だし、「逆に悪いものを扱ってるんだから」っていうのはよくないと思うんですけど。

常盤さん:でも、持ちすぎると、フラットな目で見れないんですよね。結局お客さんが買うときには、刷り込みで「うちの味噌は、いい味噌だよ」と思って買わないので。

お店の状況を汲んで、寄り添ってもらえる

川村:私もワークショップなどでご縁があって何度か行っていますが、福島の皆さんって、横の繋がりも結構あるから、仲間の方たちともいろいろ相談し合ったりとか、情報交換もされたりすると思うんですけど。やっぱり「言えること、言えないこと」もありますもんね。

常盤さん:「言えること、言えないこと」はあるし、あと、やっぱり、規模が違いすぎると、参考にしづらいですね。

川村:確かにそうですよね。勉強にはなるけど、どう応用していいかわからないし。

常盤さん:やっぱり大きい店舗だと身構えちゃいますし。

川村:すごさはわかっても、自分に落とし込んでいくのって、すごく大変ですよね。「どう、身の丈で使うのか」というのは、難しいところではあるかなと思うので。私達はお店の状況を共有いただいて、その判断をする経緯とか感覚を理解した上で、「それが合っているのか?」というのを、外からの目線で話すので、そこが使っていただきどころなのかなと。

常盤さん:確かに、寄り添っていいただいたような気はしますね。御社はコーチングを社内でかなりやられてるんじゃないかなと勝手に思いながら…。うちの会社の状況や僕の性格も考えながら、判断が間違ってそうなときも、否定はしないけど、「こういう方がいいんじゃないですか」という感じで、方向転換をうまくしてくれてたのかなと。

川村:そうですか。やっぱり、やってる人が主なんですよね。私たちは従の存在だから、「主体となる人が、なぜそう考えるのか」とか、「その状況にあるのはなぜなのか」っていう、まずそこを認めないと、勝手なことを言うのは失礼でしかないですよね。

だから、お話を汲んだ上で一緒に考えたいと。私たちは味方でありたいので。その味方ってどういう存在かっていうと、頭ごなしに「合ってる、間違ってる」を判断する存在じゃないと思うんですよね。なので、そこを亀田も意識して、伴走させていただいていたんだと思います。

効果検証を持続して、右肩上がりに

常盤さん:御社のコンサルティグを受けて、昔よりも論理的に考えるようになったかなと思います。コンサルティングを始めてからも、新聞広告をたまにやったりするんですけど、その時は必ず、効果測定をするようになったり。あと数字で先を考えるようになったというのは、効果としてはあるかなと。

川村:すばらしいですね。やりっぱなしっていうのは、割と大きくあることですけど、でもそれだと、正しいのかどうかの判断がつかないですからね。

常盤さん:そうなんですよ。

川村:ええ、やっぱり論拠を持って判断をしてもらうことで、主観だけではない、継続的な判断力がつくようになるっていうのは大きいかなとは思いますよね。

常盤さん:はい。

川村:なるほど。効果検証をしていただいてるのであれば、右肩上がりなのもよくわかります。ただお付き合いしてるっていうだけじゃなくて、常盤さんの基本動作とか、習慣が変わってきてるんだなっていうのをすごく感じますね。

常盤さん: はい。ありがとうございます。

コンサルティングの改善点

申込当初は、売上の半分がコンサルティング費用だった

川村:せっかくの機会なので、当社のコンサルティングの改善点についてもお聞きしたいんですが。

常盤さん:こういう時代に難しいと思うんですけど、僕は最初15万ぐらいの売上のときに、コンサルを始めたと思うんですけど。やっぱり「15万の売上で、8万のコンサル費はちょっと…」と思いました。当時の売上の半分以上が、コンサル費というのは、親もよくOKしたなと。でも他のコンサル会社さんを見ると、15万とか20万とか取ってるんですよね。それを見たら、不満はないんですが。

川村: 本当にその辺は、うちもジレンマがあって。それこそ(料金の捻出は)本当に大丈夫ですか?と確認をしたり、場合によっては、「もうちょっと、売上が立ってから」とお伝えすることもあります。やっぱりコンサル費用の方が負担になってしまって、すぐに売上が伸びるというわけでもないので。そこの難しさはあるんですけど、ただ、「それでもお願いしたい」って言っていただけるのであれば、というところでやっている感じですね。

常盤さん:そうですね。僕も、それでもって感じでしたけど。「とにかく、この目の前の上がらない売上をどうにかしたい」というところで。「最初赤字でも、後からついてくればいいかな」みたいな感じだったんで。

川村:そこも体力なので。常盤さんのところは、コンサル費用を何とかしていただく体力を持っていたんだなと思います。

メールのみのコンサルティングは、ちょっと敷居が高い!?

常盤さんメールコンサル*の時代も僕はあったんですけど、メールは返信期間のルールもあったので、「もうちょっと早く、返事が欲しいな」と思ったこともありました。でも、チャットワークを使うようになったら、今度は返事が早くなって、こちらが対応できないくらいになっちゃって(笑)。だから、今は大丈夫です。

川村:(笑) なるほど、常盤さんはメールの時代とチャットの時代、両方をご存知だから。

常盤さん:あと、Zoom(オンラインミーティング)もいいですね。

川村:やっぱり話せるっていうところが。

常盤さん話すことで、自分が思ってなかった課題が出てきたり、会話の中で思いつくことがあったり。あとは、何か急に聞きたいことが出てきて、その場で解決できたり。担当のコンサルタントは亀田さんですけど、最初のメールだけの段階より、距離が近くなるような感じがあって。気軽に相談しやすくて、精神的になんというか…

川村:敷居が下がっているという感じ。直接話した方が親近感が湧きやすくなりますよね。

常盤さん: メールの時代は顔もわからなかったですもんね、アイコンだけで。「たまにブログに写真載ってるけど、どんな人かな?」みたいな。

川村:最初のご挨拶は電話でしたっけ?

常盤さん:電話ですね。

川村:あーじゃあ、声とアイコンしかわかんないですもんね。

常盤さん:でも、コンサルが始まると、本当にメールだけのやり取りだったので、声も聞かないし、わからないんですよね。「メールで優しそうだな」と思うものの、温度感がないので、「これ、大丈夫かな?」と思いながら。

川村:その辺りが、割とZoomとかチャットで解消はされている感じでしょうか?

常盤さん:そうですね、はい。

川村:うちとしても続けていただく中で、皆さんの課題感と、どうしたらそれを一緒に解決していけそうかっていうところで考えると、きっちりメールじゃなくても、チャットでぱって言って済むこともあるから、チャットにしようかとか。

「月1回ご訪問します」みたいなコンサルティングだと、データを報告して終わりみたいなところも多かったりするんですけど、そういうのではなくて。どちらかというと近況を伺いながら、状況を把握させていただいて、ご提案しやすくなったりとか、ご相談してもらいやすくなったりっていうところが、大きいかなと思いますね。

ご相談が割と負荷なくしていただけているということで、とても良かったですし、これからも遠慮なくご相談いただければと思います。ありがとうございます。


※2020年5月以降、メールだけではなく、チャットやオンライン会議を活用したコンサルに変わりました。

今後の展望について

ECの比率を上げていきたい

川村:最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?

常盤さん:今後は、まずはメイン商材の味噌の生産をもうちょっと増やしたいなと。さらに設備投資をするのではなく、今の生産体制の中で作れる最大の量を目指して作るといういうのが、まずひとつ。あと他の商材、味噌以外の商材ももうちょっと売上が上がればいいなと思っているので、そこは考えながらやっていきたいなっていうところはあります。

今、ECの売上が、全体の25%ぐらいで、電話通販が55%ぐらい、卸が20%ちょっとぐらいの比率なんですけど、ECの比率をできれば半分ぐらいまで持っていけたらいいなと考えています。いつまでにということもないんですけど。

川村:まだ、電話からECへの移行はできそうですよね。

常盤さん:そうですね。お客様の特徴にもよるんで。今、電話でもちょこちょこ新規のお客さんを取ってるんですけど、中には、2回目はネットで買われる方もいますね。

新しいフェーズも視野に

常盤さん:他には、ちょっとOEMにも興味があるので、どのタイミングかはわからないですけど、そういうのもやってみたいな。

川村:OEMは代わりに作ってあげる方ですか?

常盤さん:いや、作ってもらって、売る方ですね。

川村:なるほど。

常盤さん:自社でできそうなものだったら、売れてくれば、それを自社で作って売るとか。最初は仕入れでもいいんですけど、そういったものが「うちで、売れるのかどうか」みたいなところを見ながらやるのも面白いかなーみたいな。

川村:そうですね、親和性のありそうな切り口で、試しに品幅を増やして、売ってみてっていうのは、実験的にやっていく分にはいいと思いますね。 なんか、いいですね。新しいフェーズな感じで。

常盤さん:昔は、そんなこと考えたことがなかったんですけどね。

まとめ

家業を継ぐことを決意し、東京から福島に帰郷され、ECを始めた常盤さん。

試行錯誤でネットショップを軌道に乗せ、全国にファンがいるお店に成長するまでのお話を、お伺いしました。

数年で安定的に売れるようになり、コンサルをお申し込みいただいた時の目標を達成。今は、次のチャレンジに向け、新たなフェーズに入っています。
なにより、無理せずに、右肩上がりの成長のサイクルが続いていることが、みなさんの幸せな商売実現を目指し、日々支援している私たちにとって、とてもうれしいことです。

このように、私たちはEC事業のパートナーとして、じっくりお話を伺い、お店や店長さん、スタッフの皆さんの状況を汲んだ上で、ご提案をし、継続的なご支援をしています。
「色々やっているけど、なかなか売上があがらない…」「自力でお店を運営できるよう、知識やノウハウを身につけたい」など、いつでもご相談に乗ります。

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この記事を書いた人

川村 トモエ
コマースデザイン株式会社 取締役 コピーライター/コンサルタント
ライターからEC業界に転身。商品コンセプト立案やキャッチコピーなど「売れないオリジナル商品」の立て直しを得意とし、ヒット商品を多数企画。中小規模の店に対してわかりやすいコンサルティングを提供しつつ、講演や寄稿も行う。黄色本・マンガ本の著者でもある。
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