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【ヤマト・佐川の送料値上げ対策】ネット通販・ECの送料の決め方・見直し方

2017年10月現在、多くのECサイト・ネットショップが、クロネコヤマトなど運送会社による「送料の値上げ」に直面しています。一部大型の荷物では、数倍まで跳ね上がったケースも耳にしています。。 

そのままにしておくとネット通販事業の利益が激減しますので、値上げしたりコストダウンしたりの対応をされた方が多いと思います。ただ一方で、日頃の忙しさから、重要だけど後回ししてしまい、まだ見直しが追いついていないという方も少なくないのではないでしょうか。あと、まだ送料値上げの連絡が来てないという方もいらっしゃいますね。 

そこで今回は、送料改定でお悩みの方に向けて、「送料値上げ対策と利益確保のアイデア」を、特盛りで紹介します。※弊社コンサルティングでの提案からピックアップしました。 

まずは、以下の「送料値上げ対策シート」をダウンロードしてから、読み進めてください。 

「送料値上げ対策シート」をダウンロード

 

はじめに

私たちは日頃、中小ネット通販事業者を対象に、ECコンサルティングをしています。Amazonなど大手によるECサービスが伸びる中で、いかに中小企業が存在感を発揮し、多様性のあるEC業界を作っていくかを日々考えています。

そんな中、この送料値上げは、中小EC事業者にとっては事業存続に関わる大きな問題です。そこで、私たちが普段のECコンサルティングで支援先に提案している考え方や施策、いろんな方から伺ったお話を取りまとめ、この記事を書いてみました。

もちろん、各店舗によって事情は様々なので、これらが正解とは限りません。ですが、この中の何か1つでもあなたの参考になるものがあれば幸いです。

やるべきことは2つ

私達の考えでは、どの店も、考えるべきことは2つです。

まず、送料値上げで(1)いくら利益が減るかを把握。
その上で、(2)減る分の利益をどう埋めるか考える。

まずは、送料UPで利益がいくら減るのかをまず把握しない話が進みませんね。その上で、「減る分の利益をどう埋めるか」については、送料見直しだけでなく、コストダウンや商品値上げも含めたい(後述)。

私たちは、送料値上げへの対策は、運送会社や送料関連の話にこだわらず、幅広い選択肢から、利益を確保する方法を検討することだと考えています。

「送料値上げ分をそのまま送料に載せる」のはNG

この件、一律で送料を書き換えれば済むという問題ではありません。

たとえば送料込みの商品は、商品価格を変える必要がありますよね。また、商品によっては、値上げしやすいもの・しにくいものがあります。他店との競争状況によっても違います。リピート性の高い商品は、常連客への値上げ告知にも気を配る必要があります。

以上を踏まえ、この記事では、送料値上げ対策のアイデアを列挙します。お店のタイプによって施策が変わりますので、状況別に書いてみました。

この機会に「利益」を見直しましょう

この機会に、そもそものところから、値付けや品揃え・サービスの見直しを考えてみてはいかがでしょうか。うまくすれば、補填するどころか利益をアップできるかもしれません。のちほど、そんなアイデアをご紹介します。

あと、私たちは、今後は送料以外のコストも増える可能性があると思っています。原料費、人件費、楽天ペイ導入など。だから、今回は、利益構造を見直す良い機会なんです!

1:送料値上げで「いくら利益が減るか」を算出

反射的に「なんとか送料を安くあげられないか」などと考える前に、まずは「送料の値上げでいくら利益が落ちるか」を、明らかにしましょう。

EC利益計算シートをダウンロード

「送料値上げで、あなたの利益がいくら減ってしまうのか」が分かる計算シートを用意しました無料です。穴埋め式で、計算が苦手な方でも大丈夫!

こちらからダウンロードできます。


この資料には、計算だけでなく、「他社はだいたい何円値上がりしているか」や、計算しなくても一瞬で「送料負担が大体どれくらい増えるか」を弾き出す方法も案内しています(カンタンな話ですけどね)。ダウンロードしたら、次を読み進めて下さい。

「増えた分を送料に乗せれば良い」わけではない

最初に申し上げたように、送料の値上がり分をそのまま送料設定に反映すれば良いわけではありません

たとえば、送料込み商品の場合は、送料設定ではなく「商品価格」を変える必要があります。モールのマージンも考慮に入れる必要があります

以下の記事では、この点が具体的に説明されています。一読をお勧めします。

≫運賃が350円値上がりしたら、350円値上げしても、同じ利益が出てこないことに気づいてしまったシミュレーション(出典:古屋悟司の気づきと備忘録)

※会計が苦手な方は、この方の本もおすすめですよ!

2:送料値上げで「減る利益」をどう取り戻すか

さて減益のシミュレーションが済んだら、その分をどう補填するか考えましょう。

値上げ、コストダウン、運送会社との取引上の工夫・・色々方法があります。列挙しますので、ご自分にあったものを見つけて下さい。

値上げを試す

送料や商品を値上げできると、ラクですよね。値上げした額がそのまま利益になります。

どれだけ値上げできるかは、「値上げ耐性」次第です。要するに、お店や商品によって、値上げがうまくいくかどうかが違うんです。

※残念ながら値上げしづらいタイプの場合、このあとご紹介する「コストダウン」や「送料設定の変更」を検討してみてください。

自店舗の「値上げ耐性」を考える

まず、「自店舗・自社商品は値上げしやすいか」考えてみましょう。

  • 値上げしやすいお店(値上げ耐性がある)
    • オリジナルブランドが中心で、「他社とカブる商品」が少ない状態。
    • 仕入れ型の場合は、「他店にできないサービスや品揃え」があるため、モノの値段だけで単純比較されない状態。
  • 値上げしにくいお店(値上げ耐性がない)
    • お客さんが、ブランド名やメーカー名だけで商品を選んでいる状態。
    • だからお店はどこでも良くて、「価格・送料・早さ」で判断される
    • つまり、ちょっと割高にするとすぐに他店に流れてしまう

要は「現状、単純比較されていなければ、値上げは許容されます(良さが伝わっていれば)」ということです。

前者の場合、値上げしやすいというか、そもそも「必要以上に低価格にしている」ケースが結構多いんです。後述します。

後者の場合は、なかなか大変です。ただ、何か一点差別化ポイントを用意した上で値上げすると「売上は減ったけど利益はそのまま=出荷が減ってハッピー」になることもあります。後述します。

あと、値上げ以外の策を考える必要があります。品揃えに改善余地があるかもしれません。儲からない商品と儲かっている商品がありますよね。コストダウンの余地があるかもしれません。そんな策で切り抜けつつ、中長期的には、新商品や新サービスによって「値上げできる店」を目指したいところです(言うのはカンタンです、すいません)。

値付け全体を見直す

さて値上げです。

値上げとは、価格変更作業ではありません。
幅広い観点から考えましょう。

単純に全体を値上げするだけでなく、「商品ごとに」お客さんの心理、相場感、リピート促進、ついで買い促進なども考慮して、価格調整することをオススメします。

  • まず商品ごとの利幅を確認
  • トライアル、通常商品、上位商品のバランスを検討
  • 値上げしたあとの、ラインナップの見せ方を想定
  • リピート商材は、常連さんへの告知方法も検討
  • 実行前に、いつ何をするか順番を書き出してみる
  • これらを眺めて懸念を洗い出し、ひとつひとつ解決する

考えることが多いです。頭のなかで考えるだけじゃダメです。ノートを広げ、あれこれメモを書いて考えましょう。うまくいけば、送料値上げ分を補って余りある利益が出るケースもあります。

値上げ耐性のある店では、「値上げして、どれだけ下がるかドキドキしてたけど、全然売上が落ちなくて拍子抜けした」なんてケースが結構あります。

メルマガで値上げ告知したら応援メッセージをもらったという人もいますし、「告知せず2年かけてちょっとずつ値上げした」というケースも聞きました。奥が深いです。

思い切って値上げしちゃう

売れなくなってもいい!と言う気持ちで思い切って値上げしたら、売り上げが激減しましたが、利益はさほど変わらず、出荷数が激減するのでオペレーションも楽になった・・というケースも複数聞きました。

ただ、モノによります。次の話が参考になります。

少しでも差別化するには

  • 「思い切って値上げしたいけど、安い店にお客さんを取られるのもイヤだ」

という方へ。こんな方法はどうでしょう。たとえば、「原価がとても安くて、商品と一緒に使うと価値が高くなる何か」を用意して、おまけします。それだけで単純比較されにくくなります。たとえばレシピ集のような「簡易マニュアルを同封」や、計量スプーンのような「商品を活用する小道具を提供」など。

それでも売上は落ちるでしょうが、「激減」を避けられるかもしれません。なぜならラクできたり楽しかったりするなら「多少高くても買う」人は少なからず存在します。なので、正面からぶつからずポジション取りを工夫することで、売上減&利益増という現象も十分起こりえるのです。

ただ、こまごました仕掛けは意外と時間がかかるものです。主力商品でないなら、一旦ズバッと値上げしてしまって、そのあと急いで仕掛けを作る方が現実的かもしれません。

いっそ取り扱いを止めてしまう

売っていても利益はないし、リピートもないし、ついで買いなどの派生購入にもつながっていないなら、「扱いをやめてしまう」のも1つの手です。今回の送料値上げをきっかけに取り扱い商品を絞り込み、専門店へと転換したケースもあると聞きました。(今後どうなるかは分かりませんが)

商品紹介を見直す

値上げしなくても大切なことですが、値上げするなら尚更、「魅力が伝わる商品説明」に力を入れましょう。

弊社の過去の記事が参考になります。「割高な商品でも魅力的に見える商品紹介」について紹介しています。価格・ポイント頼みで、商品紹介が空回りしてるかも・・という方は、ぜひ読んで下さい。

送料設定を見直す

次は、地域別の送料や、「◯円以上で送料無料」のサービスなど、送料まわりのサービス設定を見直します。※まだ途中ですが、読み疲れた方は印刷して、あとでお読みください!

配送地域ごとに送料を決定する

東京は◯◯円、関西は◯◯円、沖縄・北海道は◯◯円という感じで、配送先のエリアによって送料に差をつける方法です。

以前は、全国一律設定で分かりやすさを重視する店も多かったのですが、最近では「遠方は値上げする」のが定番になりましたよね。

※料金体系が複雑になると問合せも増えます。額だけでなく「見せ方」についても、注意してくださいね。ここで手を抜くと、お客さんが混乱し、買い物を諦めてしまう(他店に流れる)リスクがあります。

段階的な送料設定

3,000円以上の方は送料500円。5,000円以上なら350円。8,000円以上で無料…といったように、お客さんの注文金額によって送料を決める方法です。最近増えてますよね。これをクーポンでやるケースも多いです。「代引き手数料無料」みたいな形で色をつけるケースも見かけました。

これは客単価アップも狙えるため、利益の確保に役立ちます。ただ料金体系が複雑になるので、オペレーションも考慮しつつ検討しましょう。

客単価分布の調査

値上げ云々に関わらず、そもそも「◯円以上送料無料」サービスが、どれだけ響いているのか・・って、調べたことはありますか?

少し手間ですが、現在の客単価を分析し、送料無料ラインが役立っているのかを見て判断します。これを把握せずに、目分量で適当に送料無料ラインを設定すると、だいたいこうなります。

送料無料ラインが客単価からかけ離れている場合、「◯円以上送料無料」サービスは響かない

自店舗のお客さんが、現在の送料無料ラインにどう反応をしているのかを確認した上で、見直したいですね。

競合調査

競合店舗の送料設定も見ておきましょう。

送料設定を見直す際には、スタッフの方にお願いして競合を調べて、このように、簡単にまとめておくと比べやすいです。エクセルでも手書きでも良いと思います。

競合店舗と比較しながら送料設定を見直す際は、例えばこの表のように簡単にまとめておくと比べやすい

観点としてはこんなところでしょうか。

  • 料金体系(送料表)
  • 〇円以上送料無料のライン
  • 主な商品の値上げ状況

※「送料込商品」がメインのお店なら気にしなくていいかと思います。

コストダウンを考える

結構バカにならないのがコストダウンです。日々の業務に流されてそのままにしていたあれこれを、見直すチャンスかもしれません。

ワンサイズ下の荷物にする

たとえば、140の箱で出していた荷物を、どうにか工夫して120の箱に収めるような話です。

昔ネット通販を始めた際に「なんとなく大きなサイズの箱を使ってた」けど、いま思い直して試してみたところ、「ワンサイズ下の箱でもちゃんと収まった!」というケースが・・・実在します。

試してみてください!

別の配送方法を検討する

別の配送業者さんや、別サービス(メール便など)を検討します。これは皆さん考えたと思います。

運送会社ごとに、同じ条件(距離、荷物サイズ、ボリュームディスカウント等々…)での見積もりを取って比較するわけです。

  • ヤマト運輸が値上げになったら、佐川急便や日本郵便などの他社をあたる
  • 宅配便(宅急便)一択だったなら、小型の荷物はメール便などで対応する

・・ただ、どこの運送会社も似たような状態です。もし仮に、今は「運送会社が新規契約を取るために一時的に有利な条件を提示してくれた」としても、頃合いを見て、また値上げの話が出るのが必然です。期待しすぎずに一応確認する感じですかね。。

あと、完全に乗り換えて一本化するだけでなく、「使い分ける」選択肢もありますよね。たとえば、特にお客さんから要望がない場合は安い方の会社やサービスを利用し、要望があったときにだけ、ヤマトを利用する等。リスクヘッジにもなりますし。

梱包資材など各種コスト見直し

送料以外のコストを見直して、削減できるものを探します。
たいがい、どこのお店にも「無駄なコスト」があるものです。

何年か前に思いつきで始め、惰性で続いているが、よく考えるとあまり意味が無いとか、なぜこうしているのか誰も説明できない作業やサービスのことです。

特に、社長さんの思いではじめたことほど、なかなか撤廃できないものですが、お客さんの期待以上に「明らかにやりすぎている」「無駄に頑張りすぎている」サービスもあるかもしれません。例えばこのあたりを見回して、削れるものがないかを確認しましょう。

  • 無償の返品交換等の過剰サービス
  • 過剰な梱包資材や、納品書のムダ
  • 検証せず惰性で入れ続けているチラシ
  • 問合せ対応手順、ピッキング手順etc.

現場からは言い出しにくいものです。決裁権のある方が積極的にアイデア出しを促してみてはどうでしょうか。話すだけならノーリスクですから、無茶なアイデアも歓迎しましょう。

商品の「内容量」を減らす

これは、「お試し・入口商品」の比率が多い方には是非考えて頂きたい施策です。

お試し商品を買うお客さんは、まず試すことが目的だから、価格が手ごろであれば、内容量をシビアに考えないことが多いはずです。であれば、多少、内容量を減らしても、あまり気にされませんよね。

もちろん、お店や商品によりますので、そうだとは言い切れませんが、考える価値はありますよね!

「お試し商品がお得すぎて、そればかり売れて、儲からない」というケースは本当によくあります。本当にその量が適量なのかこの機会に見直すことをオススメします。

中長期的なポジション変更

加えて、特に「値上げ耐性」が低い方は、中長期的なことも考えてみませんか。

競争に巻き込まれなくなるには、どうしたらいいんでしょうね。どう思いますか。難しい問題ですが、弊社ではこんなことを考えています。 ご興味があればご覧ください。

言うのは簡単で、実践は中々難しいのですが、、現状のままでいるリスクと、上手くいった場合のメリットを考えると、なかなか解けない難問ですが、考え続ける価値があるテーマだと思っています。

おわりに


代表の坂本です。

お読みいただきありがとうございました。今回は、主に送料値上げの対応が追いついていないECサイト・ネットショップの方に向けて、「送料の決め方と利益確保のヒント」をお伝えしてきました。

この記事は、私を含む弊社のメンバー4人がかりで、知恵を出しあって作りました(大邉・味藤・川村・坂本)。気合が入りすぎて長くなりました。。

疲れましたよね。最後にもう少々お付き合いください。

あとで検証しましょう

この記事ではいろんなパターンや考え方やケースをざっとご紹介しましたが、実際のところはやってみないと分かりません。値上げや送料など取引条件を調整したら、その後の経過を観察してくださいね。

ひとりで悩まないで下さい

このテーマは重いので。。ついつい先延ばししたくなりますよね。締め切り効果が強いので仕事に引っ張られてしまい、本当に重要な仕事はフラフラと後回しになるものです。

もしあなたが1人で仕事をしているなら、この状況を周りの人に伝えながら進めることをお勧めします。言葉にすると考えがはっきりして、フラフラすることが減るはずです。

もし丁度良い相談相手がいない場合は、弊社のコンサルタントがお力になれるかもしれません。今回お話ししたような、利益の分析、値上げ、値付けの見直し、商品や送料の見せ方、キャッチコピー、各種分析、お客さんへの値上げ告知、品揃えの絞り方などの利益アップのご提案や、業務効率化やパートさん採用などEC運営のよろず相談をお受けしています。

※料金は月額78,000円です。アルバイト1人採用するのと変わらない料金ですし、値上げやコストダウンが上手くいけば、すぐカバーできる額だと思います。よろしければご検討下さい。契約前の相談は無料です。→詳しくはこちら

この記事を書いた人

大邉 勇介
TSUTAYAにて、リアル店舗の新規出店業務に携わる。マーケティングからコンセプト立案、在庫調達、売場作成まで幅広く経験。2000坪の大型店、海外、図書館内出店まで、手掛けた店舗は120を超える。楽天市場の超ヘビーユーザーでもあり、豊富な事例知識を使った提案に強みを持つ。映画の目利きに自信あり。

このブログについて

中小ネットショップ専門のコンサルティングを行う「コマースデザイン株式会社」の社員ブログです。

値引きや広告に頼らない販促施策を中心に、小さな会社や1人事業のための業務改善・組織運営術など、経営全般にわたって支援をしています。

当社について

Eコマースの運営ノウハウ本を出版し、10回以上増刷されて業界で1位のベストセラーとなりました。

弊社の知見や取り組みは、NHKなど多くのメディアでも紹介されています。

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