ワーキングマザーが目指す「幸せな商売」のかたち。PONZ SHOP 宮本さん×川村対談

合同会社ツチカ

こんにちは。川村トモエです。

今回は、楽天を中心に、手芸用のリボンやパーツを販売するネットショップ「PONZ SHOP(ポンズショップ)」を運営されている「合同会社ツチカ」の宮本幸枝さんにお話を伺いました。

実は、宮本さんが楽天に出店したのは、第一子妊娠中のこと。仕事に邁進しつつ、お子さんとの時間も削りたくないとのお悩みから、当社にコンサルティングをご依頼いただきました。

コンサルティングを開始してからまだ1年足らずですが、業務整理が順調に進み、やりたいことに着手する余裕もできて、今はプライベートとうまくバランスを取りながら、「仕事が楽しい」と思えるフェーズまで到達されています。

「お店の世界観を大切にしたいけど、どう発信すればいいかわからない」「人に仕事を振るのが苦手で、うまく業務を切り出せない」「目の前の仕事に手一杯で、新しいことに挑戦する余裕がない」とお悩みの方におすすめです。

はじめに

PONZ SHOPさんの紹介


出典:PONZ SHOP公式サイト

PONZ SHOPさんは、世界各国で集めた手芸用のブレード(リボン)とアクセサリーパーツを販売しているお店です。

もともとは、店主の宮本さんが、趣味のヨーロッパ旅行中にブレードの専門店に出会い、伝統的なブレードの繊細な美しさに一目惚れしたことがきっかけ。夢中になって、たくさん購入したものの、ご自身は手芸をされないので「誰かに素敵に役立ててもらえたら…」との思いから、販売を始められました。

以後、センスの良いセレクトと、商品の魅力をつぶさに伝える姿勢が共感を呼び、手芸好きに愛されるお店として注目されています。

副業で始めたECが本業になるまで

※宮本さん、川村、担当コンサルタントの杉浦が同席しました。

ヨーロッパで出会った「タッセルブレード」が原点

川村:まず、ご自身のお店についてご紹介をしていただけますか。

宮本さん:私のお店は、ハンドメイドをする人のためのハンドメイドパーツを扱っています。ここ7、8年の間、ブームがずっと続いていて、お客さんの幅も広がって、ハンドメイド用のパーツ屋さんもどんどん増えてきていますが、うちはその中でも「なかなか他では見かけない、ちょっと珍しいもの」があるお店にしたいと思ってやっています。

川村:もともと手芸はお好きなんですか?

宮本さん:いえ、私はもともと手芸は全然しないんですよ。以前ヨーロッパによく旅行していた頃に、タッセルブレードっていう、タッセルがたくさんついたリボンみたいなものに出会って。

宮本さん:向こうが本場なんですけど、そういうものを売っているお店に入ったときに、「なんて綺麗なものなんだろう!」って、見ているだけで本当に夢のような気持ちになって。旅行に行く度にいろんなところで、そういうものを買い集めていたんですよね。でも自分は全然使わないから、ただ見るだけでどんどんたまってしまって、どうしようと。それで、ちょっと売ってみようかと思って、minne(ミンネ)で売り始めたのが最初です。

「日本で知らない人が見たら、喜ぶんじゃないかな」と思って売り始めて。そのマインドで今もずっとやっています。

川村: タッセルブレードとの出会いは、どこの国だったんですか?

宮本さん:初めて見たのはフィレンツェです。私はヨーロッパが好きでよく行っていたのですが、その後もチェコとかドイツとか、いろんなところで買いました。どこの国に行っても、そのような手芸のものが置いてあったんですね。当時は2010〜2013年、そんな小さなタッセルは、まだ日本ではそんなに扱っていなかったので、珍しいなと思いました。

川村:私も割とminneとかでアクセサリーを見たりとかすることが多いんですけど、アクセサリーの中でタッセルが出てきたのは、それほど古くないというか。

宮本さん:そうなんですよ。

川村:昔から金目とかプラスチックのパーツは多かったですけど、布もの系、ボタン系とか、タッセルとかフリンジとか、そういう柔らかい感じのものが使われだしたのって、割と最近ですよね。

宮本さん:本当にそうで、誰にも言いませんが、私、結構日本では広めた方なんじゃないかと自負しているんです(笑)。

川村:そうですよね。作り手さんに「そういうのがあるんだ!」って気づいてもらって、広めてもらうみたいな。元を握っているみたいなところはありますよね(笑)。

宮本さん:はじめは、私もチャーム(耳飾り)として使うなんて、全然想像していなくて。ただ、長い状態でクッションにつけたり、カーテンにつけたりという用途の組み合わせでしか販売していなかったんです。でも、ある時タッセルだけ切って、ピアスにしている方が出てきて、「あっ、それー!」と思いました。だからお客さんに教えていただいたっていう。

川村:なるほど。特にフリンジブレードとかだとドレスの裾によく使われたりしますけど、そういうのがヨーロッパで伝統的に発達していたんでしょうね。

拝見していて、宮本さんのお店は本当にセンス、目利きのご商売だと思います。「こういうのは、あんまり見たことがないかも」という素敵なものがたくさんありますよね。同じパーツを販売するお店の中でも、セレクトショップ感がとても強いと感じています。

宮本さん:ありがとうございます。

人の心を動かすものを届けたい

川村「仕入れとページにはこだわりたい」と最初からおっしゃっていましたが、見せ方のディテールもすごくこだわられている感じがします。写真の撮り方ひとつでも、「パーツをぽんと白いところに置いて撮る」とかいう感じではないですよね。普通はそこがやっぱり決まった形になるんだけれど、「どう見せるとよく映るのか」をとても気にして撮られているのが伝わってきます。

宮本さん:パーツをきっかけに「作りたい!」と思ってくれる人が増えるといいなと。ちょっと大袈裟な言い方ですけど、単なる金具ではなくて、「人の心を動かす存在であってほしい」と思うんです。写真にこだわるより、その時間でもっと品揃えを充実させる方が、あわせ買いが増えて売上が上がるというのはわかっているんですけど、それだと刺さらない気がして。せっかくのいいところをちゃんと写してあげないと見えないから、写真でもその辺りを気にしています。

川村:そうですよね。パーツが置いてあるだけで、無機質に写真に写っていると、その子たちが「どうよく使えそうか」が見えづらい。でも、背景情報や置かれている場所で、なんとなくイメージが伝われば、作り手さん側も「それなら、こういう組み合わせはどうだろう?」と感じられますよね。

パーツがただあるというのではなく、提案を入れた形で販売をされているところが、問屋さん的な感じではないんですよ。パーツ関係ってすごく品数が多くて、「ただ並べて、ひとつひとつに時間をかけずにぐるぐる回す」というのが、割とありがちなところだとは思うんです。やっぱり宮本さんのお店は、ご自身で手をかけたいポイントがご商売と直結している。
「なぜ売っているのか」「何を売りたいのか」というところがすごく明確だと思います。

宮本さん:すごく嬉しいです。

実はEC歴が長い

川村:宮本さんは、前職もそうですが、アルバイト時代から数えると、ネットショップのご経験が長いですよね?

宮本さん:そうなんですよ。

川村:そのあたりがECとの親和性というか。いきなり「ECの世界でものを売ってみよう」と始めるのと、もともとECを知っていて、「これを売りたい」と思って始めるのと、全然ハードルが違いますよね。

宮本さん:そうですよね。

川村: 全然わからないところから、元手少なく「EC、始めました」という方もやはり多いのですが、宮本さんは、2004年くらいからアルバイトでECに関わられていたとのことなので、もう足かけ20年近くになりますよね。

宮本さん:そう、本当にびっくりします。

川村2004年だとまだ楽天ができて少し経った頃で、ちょっとずつネット通販が出てきているという状態。当社代表の坂本も2005年だと、まだ楽天にいた頃ですね。

宮本さん:私がアルバイトしていたのは、ヘアアクセサリーを扱う、最初はすごく小さいお店で。普通のご自宅で運営されていたのですが、毎月毎月すごい勢いで伸びていって、楽天のSOYを取るまでになって。そんな勢いと成長をまさに目の当たりにしていたので、「すごい瞬間に私は立ち会ってるんじゃないか」と毎日思っていました。そのお店の経営者の方もワーキングマザーだったので、こうやって仕事をすれば、子どもを育てながらできるんだなとすごく学びました。まだ20歳ぐらいだったんですが…。

川村:当時で、ヘアアクセサリーのお店って、ひょっとして「リトルムーン」さん?

宮本さん:そうです!!

川村:なんと!超有名店でアルバイトされていたのですね!あの頃、夜会巻きコームとかもちょうど当たってすごかったですよね。私も買ってましたよ。確かに、リトルムーンの代表の文さんは、経営者としてもカッコいいですよね。当時から出店されている楽天のお店の中には、リトルムーンさん以外でも、ワーキングマザーの方が鮮やかに成長させているお店も目立っていたように思います。

宮本さん:当時、文さんから、「子どもがいるせいでだれかに雇ってもらえないのなら、自分が自分を雇えばいいのよ」って教わったんです!それをずーっと強烈に覚えていて、文さんの姿が私の働きかたのロールモデルなんです!

川村:シビれますね!最近でこそ、女性活躍云々の話が話題になってきてますが、あの当時に軽やかにそれが言える方と働けていたってうらやましいなぁ。

それにしても、何というか、期せずして英才教育感がすごいですね。有名店でたまたま修行していたシェフみたいな感じですね。

宮本さん:(笑)本当に。その後は、色々なことをやって、ライターもやったり…それが一番長かったですね。ライターは結婚してやめたのですが、その後、前職では楽天の立ち上げから全部任されました。

川村:前職は、そういう募集があって入られたんですか?

宮本さん:はい、アルバイトの経験を生かせると思いましたし、ECを立ち上げる人を募集していたので、「やりたい!」と思って応募しました。職人さんが中心の平均年齢70歳ぐらいの職場で、「メールって何?」ぐらいのパソコンもないようなところからのスタートで過酷でしたけど、やればやるほど売れました。結構ニッチであまり知られていなかったのですが、品質はすごくいいものを扱っていたので、「私が広めなきゃ!」みたいな使命感で、どっぷり5年間ぐらい勤めました。

川村:なるほど。その根底には、ライターのご経験も生きていますよね。「いいところを見つけて発信したい」という感覚をお持ちなんでしょうね。

コンサルティングを申し込んだ理由

悩みを話せる人がほしかった

宮本さん:実は、その前職時代に、少しの間、御社にお世話になっているんです。

川村:そうなんですよね!先ほどの前職の話であれ?っと思って、はい、思い出しました。あの時の宮本さんですよね。すいません、社名も全然違うし気づくのが遅くなりました。

宮本さん:いえいえ、あの時は契約期間が短かったんです。前職の社長に「誰か(EC運営の)悩みを話せる人がほしいです」とお願いして。

私は前職に就く前に御社の黄色本を買って読んでいて、それをすごく覚えていたんです。「ここにコンサルを頼みたいな」と思っていたら、そんなにびっくりするような値段じゃなかったんですよね。コンサルって、何十万だと思っていたので。

川村:いろんなところがありますからね。

宮本さん:「(この金額なら)全然手が出せるな」と思って、それで社長も「いいよ」って言ってくれたのでコンサルをお願いしたんですね。でも、途中で私が妊娠して、めでたく円満退社ということになったんです。なので、半年ぐらいでコンサルをやめちゃったんですけど。

川村:今のお店をご自身で立ち上げられてから、また当社を思い出していただけたんですね。

宮本さん:やっぱりいろんな悩みが増えてきて、スタッフのことも、売上も、本当にちょっとしたことまで。例えば、「今日、メルマガ打った方が方がいいのかな」みたいなことを誰かに言うだけでも、話しているうちにまとまったりということはあると思うし、「そういう人がいるといいな」ってずっと考えていたんです。

楽天に出店してすぐ、1年も経たないぐらいで楽天NATIONS(ネーションズ)に参加したんですが、そのときにそういう仲間ができたんですよ。いろんなことを話し合える仲間ができて、すごく楽になりました。「人に話すって、こんなに楽になるんだ」と初めて思ったけど、NATIONSはギブアンドテイクしなくちゃいけないから、相談するばかりというわけにもいかず、どうしようかなと思っていたときに、「そういえば、コマースデザインさん!」と思い出したんです。

「自分でやっちゃう」が常態化していた

川村:コンサルティングを申し込んでいただいた時は「もうちょっと家族で過ごす時間がほしい」とお話しされていましたね。

宮本さん:話し相手や相談できる相手がほしいのもあったのですが、あまりにも忙し過ぎて、考える時間が全然なくて。「いいものを紹介したい」という気持ちとかけ離れた、殺伐とした精神状態で。でも「しょうがないよな….」と思いながら、毎日過ごしていたんですね。

スタッフも働いてくれているし、「仕事の割り振りがうまくできてない」という気はしていたのですが、だからって「どうやって振ればいいんだろう」と。振るのも時間かかるから面倒くさいし、「自分でやっちゃう」というのがずっと常態化していたので、そういうことも相談したいなって思ってました。

コンサルティングの成果

いい意味で割り切れるようになった

川村:当社のコンサルティングも、宮本さんが前職で受けていただいた時と今とでは、内容が変わってきていると思いますが、いかがですか?

宮本さん:変わりましたね。前職の時は、まずSEOのことを教えてもらって。ずっとそればっかりやってた記憶が。私が多分、そういうオーダーをしたのかもしれないです。でも、今回はもっと会社として土台の部分、スタッフがどうとか、そういうところから入ってくださって、「まず、業務移管しないと何も新しいことはできないと思います」と言われて、色々書き出してみたりしましたね。

川村:当時(最初のコンサルティング)は、お店の売上的な部分で、まず「できていなさそうなところをやると、ベースアップができるから」ということで、SEOから入るのは割と多かったと思います。
今は、販促的なところ以上に、組織や業務全体のことを重視しています。結局、販促は攻めの施策で、攻めをやれる時間がなければ何もできないので。当社もコンサルティングを通して、「忙しいからできません」という状況になる人が多いと感じています。「忙しさ」が結構大きな問題になっているんですね。

特に経営者というお立場だと、店長以上に見る場所も、考えることも、判断しなきゃいけないことも多いし、さらに、人から聞かれることも多いので、常に何かを頭に入れて悶々としてるんですよね。結局、自分がずっと引っかかっていることは後回しになってしまって、本当に時間的に急ぎのものだけをさばいていくことになってしまう。

(自分の頭の中にあることを)「しゃべることで楽になる」ということはあると思うんですけど、NATIONSは学び合いだから何か還元しなきゃいけないところがあって、「自分のことだけに集中できない」という問題も出てきてしまいますよね。
きっと、宮本さんは、NATIONSをやられていたときの仲間がいる状態というのが前提になって、自分のやるべきことを進める上で、壁打ちができる相手が必要だということがわかったのではないでしょうか?その意味で、杉浦がちょうどお役に立てているんじゃないかなという気がしています。

宮本さん:本当にその通りで、すごいです。びっくりしちゃう。

川村:みなさんの抱えている課題って、大体傾向があるんですよ。私も実際そうですし、経営の立場でこどももいるとなると、1日が本当に早く終わりますよね。だけどやっぱり責任もあるし、色々抱えている中で、何かしらは外していかなきゃいけなくなるんですけど、自分で外すことって、なかなかきれいにはできないじゃないですか。だから、ある程度、外の人の目が入っていた方が、いい意味で割り切れるというところはあると思うんですよ。

宮本さん:スタッフに「できるかな?」と思いながら振ったことでも、実はスタッフの方が上手にさばいてくれてたりとか。あるあるかもしれないですけど、適性はスタッフの方にあることが分かったり。そういうこともたくさんあって本当によかったなと思ってます。

川村:よかったです。本当に、人によってやっぱり強みと弱みが違うから。自分の強みのところって、自分にとっては簡単だから、他の人ができないと、「こんなこともできないの?」って思ったりするじゃないですか。 だけど実際、それ以外のところ、自分が2番、3番目ぐらいの得意でやってることって、他の人が得意だったりするケースも割とありますよね。

宮本さん:はい、「思い込みだったんだ」っていうのが、いっぱいあります。

川村:振るときはすごく気になるけど、手放してしまうとそこまでこだわらなくなったりしますよね。

宮本さん:そうですね。俯瞰できるようになったりして。

仕事も大事だけど、こどもも大事

杉浦:当時を思い出すと、宮本さん、あまりにも忙しすぎましたよね。お子さんをお世話した後、「深夜に働くのは当たり前です」みたいな。

宮本さん:そうですね。

杉浦:業務改善を始めて2ヶ月目ぐらいまで、ミーティングに出てこられると、顔がつらそうでしたよね。「宮本さん、最近寝てますか?」とお聞きして、一旦課題を止めて「今日は12時間くらい寝てください」とお伝えしたりしていました。

宮本さん:ありました、ありました(笑)。そっか、もう顔に出てたんですね。

川村:そりゃ、そうですよね。要は、何も減らさずに(コンサルティングの施策を)足すことになるので。そうするともっと忙しくなるんだけど、コンサルを頼んだことだし、アドレナリンを出してがんばられていたと思うんですが。そもそもきついところに、さらに業務を乗せるのは、気合いはあっても大変な状況でしたよね。

杉浦:「根性はあるので」とお話されていましたが、その根性の度合いを超えた働き方をされていた気が…。

宮本さん:こどもと遊んでても、やっぱりずっと気になってしまうとかね。夕方、幼稚園の帰りに「遊びたい」って言うから公園に行ったりしても、ずっと気になってることがあるから、「もう1回滑り台やりたい!」とか言われても、「うん!!?」みたいな感じになってましたけど(笑)。今は「もういいよーいいよー」みたいな感じで、滑り台も存分にできるようになりましたね。

川村:(笑)幼稚園の帰りとかね。遊びたがりますよね、こどもは。

宮本さん:そういう、ちょっとしたところで、気持ちが変わりました。

川村:「早く歩いて!ママ会議だから」ってなったりしますもんね。

宮本さん:もともと前職を辞めてから出産したので、「別に急いで復帰しなくても…」とは思ってたんですけど、こどもが生まれてみるとかわい過ぎて、ちょっとやばいと思ったんです。やばいっていうのは、どっぷりになってしまうと。

川村:あの、こう(真っ直ぐに)なっちゃうからと。

宮本さん:「こんなにかわいいってことは、私の人生かけてしまうぞ」と思って。でもそれって絶対、こどもにとっても私にとってもよくないから。「何か他のこともしないと、本当によくないな」っていうくらい愛してしまったんですよ。

川村:いや~、それはよくわかります。

宮本さん:だから、すごくそのときに、「仕事をしなくちゃ」と思って。こどもが生まれたからお金がほしいというのもあるけど、それ以上に「何か違うもので私も夢中になるものを1個持ってないと、こどもだけになってしまいそう」と思いました。それで働き始めたものの、やっぱり忙しくて。今度はバランスが取れなくなってきて、本当は「こどもが大事で、仕事も大事」っていう風にしたかったのに、もう仕事のことで頭がいっぱいになっちゃってたから、これは「本末転倒だぞ」と思っていたときでした。

川村:そうですよね。だって、妊娠中に楽天に出店されてるんですよね。

宮本さん:そうなんですよ。

川村:もう立ち上げも子育ても両方いっぺんにやっているみたいな。こどもが一気に2人いるような勢いでやってたんですよね。

宮本さん:自分の性格上、今やらないと多分ずっとこどもだけになりそうと思って。

川村:やるからには、どちらも手を抜くことができないタイプですよね。多分宮本さんの性格的なところで、力をフルパワーで入れていく感じというか。だから、もうこっちもあっちもで、パンパンになっちゃいますよね。大概それが行きすぎると体を壊してしまうんですよね。

宮本さん:そうですよね。でも本当は、めちゃくちゃダラダラしたり、何もしたくない人なんですけど。それではいけないという気合いで、ある種の強迫観念みたいな感じで動いてます。本当はずっと寝てたいタイプですけど(笑)。

川村: 寝てると不安になるんですよね、きっとね。

宮本さん:なんかいろいろいろいろ考えちゃうから、逆に動いてる方が。

川村:やっぱり、思いついちゃうタイプだと、「動かないとダメだ」みたいになっちゃいますね。

業務整理後、スタッフから嬉しい反応が

川村:業務整理については、今は自分がやりたいところだけを残して、それ以外の振りたい仕事は大体移管することができた状況でしょうか?

宮本さん:はい。業務移管した後もどんどん新しい仕事は出てきますが、「この仕事はあの人だな」というのが私の頭にもあるし、スタッフさんの中でも「これは自分がやるだろうな」という意識ができているので、「あえて振る」という作業も必要なくなりました

川村:自分のところに1回持っちゃうと「あえて振る」になるけど、持たずしてというのは、もうそういうレーンができたということですよね。宮本さんが「これはあの人の仕事だろうな」と思っても、スタッフの方が「え!?」みたいになると合意できてないですけど、その人も「受け取る気でした」ぐらいの状態になれているのは、業務だけ移管するのではなく、「役割と責任の領域まで分担できている」ということなので、組織としてすごくいいバランスだと思います。
経営する側としてもありがたいし、すごくいいサイクルになっていますよね。

宮本さん:はい。

杉浦:パートさんもいい方々ばかりで。宮本さんのことを助けてくれる人がたくさんいるので、そういう環境もあって、業務の分配が非常にうまく進んでらっしゃる印象があります。

宮本さん:すごく皆さんやる気があって、「振ってくれて嬉しい」という感じの反応をしてくださるので。

杉浦:「もっと仕事をしたいです」という話もあったみたいですね。うまく役割をお渡しできている感じがしますね。

宮本さん:そうですね。本当は見かねたっていうところもあるのかもしれないけど、私の殺伐感を(笑)。でもみなさん本当にいい方ばっかりで。

川村:でもね、やっぱり「もっと(仕事を)ちょうだい」って言いづらいじゃないですか。スタッフさん側からすると。言われたことをやる感じだと、気になることも「あれ大丈夫かな?」ってうかがうような形だけど、「この役割を渡してくれたんだったら、こっちもやるよ」というのは、きっとすごく言いやすいというか。スタッフの方はママさんが多いですか?

宮本さん:そうですね。

川村:お互い、状況も制約もわかるし。わかり合えるのもいいですね。

宮本さん商材がよかったと思って。ハンドメイド好きな方がたくさん応募してくださって、こちらは選びたい放題だったので、すごく恵まれていたなと思います。

川村:(自分が)よくわからないものを売ってるところより、自分も「その商品が好き」と思えるところは、働く側としても理想的ですよね。

ピンチが自分を伝えるチャンスに

川村:業務整理の他に、利益改善なども実践されたと思うのですが。値段をつけっぱなしで置かれていた商品がありましたよね。

宮本さん :利益計算はしていたんですが、大体でしか値づけしてなかったのを、全部の経費を入れて見直してみたんですね。例えば、中国で買い付けするために間に入ってもらった代行会社があって、その手数料は入れていたけど保管料が入っていなかったり。
そういう経費もきちんと入れて計算してみたら、実は商品によっては赤字だったということがわかって、これに広告をかけていたら、全然ダメじゃんということを初めて知ったんです。その辺が適正になるように値上げをしたんですけど、やっぱり一番気になったのは、「お客さんがどう思うか」というところでした。

もう本当に、すごく心を込めて「こういう事情でやります」というのをもう長々と、長すぎるかなと思うくらいに書いてみて、それを杉浦さんに見てもらったんですね。そしたら「すごくいいと思います」みたいな反応で。
その文章の中で、私のお店のモットーみたいなのを最後の方に入れてたんですよ。「こういうモットーでやっていて、本当は上げたくないけど…」みたいなところも書いていたんです。
そうしたら、杉浦さんに「モットーのところを、もうちょっと上に持ってきた方がいいと思います」「そうした方がより値上げに対する(お客さんの)理解が深まるので」とアドバイスいただいたんですね。それで、100商品ぐらい値上げしたんですけど、もうここまでする必要あるのかなと思うぐらい丁寧に、1個1個全部リンクを貼って表示して、その案内を出したんです。

川村:でも値上げしたからって、売上が下がることなく….

宮本さん:むしろ「文章を読んで、すごく感動しました」というメールをいただいて。「そんな思いでやってらっしゃるんですね」「すごくファンになりました」って言っていただいた方もいて、「よかったー」と思いました。

川村:値上げって「諸般の事情により…」みたいな感じで、一般文書のようになりがちじゃないですか。それだと、値上げするということは伝わるけど、「本当は値上げしたくない」ということは伝わらないですよね。つまり、どんな事情が背景にあるのかわからない

でも本当は「私達はこういうお店で、こういう風にお客様と向き合って、こうやって売っていきたいけれども、こういう事情だからごめんなさい」というメッセージをお店は言うことができるんですよね。ただ一般的に、こういうことになるとお店の色を消す人もいるんですよ。すごく考えているのに、「丁重に丁重に」ということだけを意識して、メッセージがなくなってしまう

宮本さん:私も最初そうでした。

川村:本当に申し訳ございません、みたいな。

宮本さん:そうなんです。なんかちょっと失礼なんじゃないかと。あんまりこちらの事情や気持ちを書くと、逆に怒りを買いそうと思ってたので、私は押さえてたんですけど、杉浦さんに「いや、そうじゃないです」って言っていただけたので。

杉浦:御社の場合はリピート率から見える形で、潜在的なファンの方がものすごく多いなと感じていました。宮本さんも自分からお店の思想を表すタイミングが今までなかったので、値上げという危機的な状況ではありましたが、そのタイミングをうまく使って、お客さんとのコミュニケーションを広げられるのではないかなと思って。私にとっても、お店のことを表していくというのは、やっぱり大事なことなんだと学びになりました。

川村:宮本さんのところは、もともと安さで売っているお店ではないですよね。「品揃えのセンスがいいから、ここで買おう」という人が多い。安さで買おうとすると、「最安の店を探して買う」という感じになると思うんですが、そうじゃないというところ。

あとは杉浦が言っていたように、今まであまりお店の色や人間味をそこまで出す場所がなかったと思うんです。センスと語りって相性が悪いかなという感じもあるし、「お店側としての語りをどこで出していいのかわからない」という悩みは、結構あると思うんですよね。でも、自分のお店で買ってもらうというのはどういうことかを考えると、やっぱりものがいいからだけではない、「そのお店で買う、ということがいいよね」というお客さんの認知が大事だと思います。

宮本さん:そうですね。

川村値上げというネガティブなメッセージの機会ではあったけれど、結果的にはポジティブにお店のことを知ってもらえるきっかけにもなっただろうし、あとは丁寧に1商品1商品、商品を並べることで、逆に「これもあったんだ!」って再発見してもらえたかもしれないですね。今まで影に隠れていた商品の発掘機会にもなったと思います。

宮本さん:ある意味、架け橋みたいなことになるんだっていうのは、本当にびっくりしました。

川村:でも、やっぱりうまくいかない場合もあると思うんですよ。もともとのお店のスタイルとか、価格競争の商品だったりとかすると、そうなっちゃうと思うのですが、お店の商材と、宮本さんの気持ちと、お客さんが、三方ちょうどいい感じに通じたんだろうなとすごく思いますね。

ただ利益が上がってよかったね、だけじゃなくて、お客さんのお店への理解が強まったんだろうなと。でも、これは日頃の運営の賜物だと思います。宮本さんはすごく不安だったと思いますが、本当によかった。

宮本さん:よかったです、勇気を出して。

相談できる存在自体がありがたい

川村:当社のコンサルティングを受けられて8ヶ月目になりますが、一番貢献できた(できている)ことはなんでしょうか?

宮本さん相談できる存在自体が貢献っていうか。何か問題が起きた時に、ちょっと前だったら、その場でじっくり考えてしまっていたんですけど、そうするといろんなことが止まるし、後から考えると、実際そんなに悩むことじゃなかったなっていうのが結構あって。でもだからって、困ったときに「後で考えるからいいや」とはなれない自分がいたんですよね。先送りしてることがちょっと許せないというか、誠実じゃない気がして、「問題を解決してからじゃないと進めない」という気持ちがあったんですけど。

でも「これは後で杉浦さんに聞こう」となったら、すぐにそのことを置いて次に進めるようになったんです。これは本当にもう、1日に多分10回以上あって、本当ちっちゃいことから大きいことまで、悩んだときも立ち止まらずに、今度まとめて聞こうと思えることで、すごくスムーズになって。曖昧ないい方ですけど、「こういうことが助かってます」というよりは、いらっしゃってくださっていること自体が…

川村:すごいね、杉浦くんの存在が。

杉浦:ありがとうございます。そう思っていただけて嬉しいです~。

脳内の渋滞が解消されて、本来の自分が戻ってきた

宮本さん:本当に誰でもいいわけじゃないんですよね、相談したい相手って。今までの実績も含めての信頼だと思うんですが、「杉浦さんに聞こう」と思うことが、私の背中を押す何かになっているということ。

あとは、もともとの自分のいいところでもあり、悪いところでもあるんですけど、私はいろんなことをしたがる性質みたいで。「こういうことをしたら面白そう!」という企画をすごく忙しかった頃も思いついてはいたんですけれど、「いや、でもそんなことやる暇ないよね」とすぐに打ち消していたんですよ。
例えば「インスタライブをしたいな」とずっと思っていたけれど、「でも、それ誰がやるの?」、「そんな時間ないよね」と自分で打ち消していたんです。でも時間ができたことで「じゃあ、インスタライブやるんだったら決済はこうしようかな」とか「どういう商品でやろうかな」と一歩進んだことを考えられるようになって本来の私の感じが戻ってきたような感じがしています。

川村: すばらしい!

宮本さんやりたいことを我慢しなくなったっていうか。

川村:スタッフの方に役割を振るのと同じように流れ先ができたというか、全部宮本さんの中で抱えて「何かしなきゃ」と思っていたのが、これは「杉浦行き」という回路ができたことによって、脳内の渋滞が解消されている感じですね。

宮本さん:本当にそうですね!

川村顕在化しないストレスみたいなものがあったと思うんですよね。「本当はあれもやりたいんだけど、できない」と思って取り下げてしまう状態だったのが、ストレスが流れたことによって、やりたいことを取り下げなくても通せるルートになっている。杉浦道ができたことによって(笑)。

宮本さん:あはは、なるほど!

川村:ストレスが解消されると、ご自身がやりたい方向へすっと上がっていけますよね。

宮本さん:すばらしい解釈。いや、その通りです。今すごく楽しいんですよね。やりたいことにブレーキをかけなくなったので。大変なこともあるけど楽しいです。

川村:結局自分でやりたいことを我慢しながら回すのは、回っているのはいいことなんだけど、「やらなければいけないから」みたいなところが大きいと思います。でも「自分がやりたいことができる」というのは自然に出てくることだと思うので、楽しいって思えるのは最高ですよね。

杉浦:職業人としても、「働くことが楽しい」というのは理想的ですよね。

宮本さん:本当にそうですね。ずっと「忙しいのはしょうがないかな」と思っていて。別にそれはそれで嫌じゃなかったのですが、でも今こうやって楽しくなってみると、「あれは、自分に向かないことだったんだ」って気がついたというか。

川村:それって、何か超えてみないとわからないみたいなところはありますよね。

宮本さん:そう、そうなんですよね。

川村:自分ではこれが当たり前というか…

宮本さん:「こういうものでしょう」って思ってたんですけど、「違った」みたいな。

川村:「あー空って高いんだ」、みたいな。屋根の下でずっと暮らしていると、そういうものだと思うけど、「屋根はないよ」ってなったらね(笑)。とても素敵なことだし、嬉しいです。

今後の展望について

「らしさ」を大事に、やりたいことにチャレンジしていく

川村:これからの展望についてはどうお考えですか?

宮本さん:そうですね、もうちょっとこどもとの時間も持ちつつ、自分らしく、やりたいことにこれからもどんどんチャレンジしていきたいですね。売上をいくらにしたいっていうのが全然ないので。そこは、本当は持つべきなんでしょうけど(笑)。

川村:(売上の)目標を決めてからだと、逆算になってしまいますよね。逆算しなきゃいけなくなると、結局軸がずれてくるみたいなところもあると思うので、無理に「行けるところまで行こう!」となる必要はないと思うんですよ。

私たちは、その人の「幸せな商売」が何なのか、みなさんと共有しながら、そこに向かって行くだけなので。
宮本さんにとっての幸せな状態は、プライベートの時間も確保しながら、自分のやりたいことにブレーキをかけない状態で進んでいくということ。そうしているうちに、何か閃いたり、やりたいことが出てきたりするというタイプなんじゃないかなと思います。そういう宮本さんらしさをご自身でも大事にされているし、その「らしさ」に寄り添って私たちもサポートをしていきたいと思っています。

まとめ

仕事も家庭もこどもとの時間も…大切なもの全てに、心血を注いでこられた宮本さんのストーリー。私女性で同世代の子どもを働きながら育てているので、共感できる「あるある」のお話もたくさんありました。育児と家庭と仕事、どれも順位づけし難いが故に、宮本さんのように、根性で頑張りすぎる方はとても多いと実感しています。

たくさんの荷物を背負いすぎて、大変になっていたところにご支援でき、コンサルティングを通して進むべき道が明確になり、業務の大改革も実現されました。忙しさが大幅に改善しただけでなく、注力すべきところをきちんと把握できたおかげで、お店の売上も順調に伸びています。

人それぞれ個性が違うように、お店によって目指したい「商売のかたち」は様々
特に、中小事業者は、生活と仕事が直結しているからこそ、どちらも犠牲にならないような生き方をする必要があると考えます。
だからこそ、私たちはひとつの答えを外から提示するのではなく、壁打ち相手となって、ご自身の考えを整理して進んでいくことを重視しています。宮本さんのように、多くの経営者の方や店長さんに大変ご好評を頂いております。ご興味のある方はぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

川村 トモエ
コマースデザイン株式会社 取締役 コピーライター/コンサルタント
ライターからEC業界に転身。商品コンセプト立案やキャッチコピーなど「売れないオリジナル商品」の立て直しを得意とし、ヒット商品を多数企画。中小規模の店に対してわかりやすいコンサルティングを提供しつつ、講演や寄稿も行う。黄色本・マンガ本の著者でもある。
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