もはや多すぎ!?激増する楽天セールイベント 傾向と対策をまとめます

楽天市場ってセールが多いですよねー。
お付き合いのある店長さんからも、「セールでずっと忙しい!なのに前ほど売れない!どうしよう!」との相談をよく貰います。皆さんも、同様のお悩みを抱えていませんか?

それもそのはず、実はもはや楽天では、月の半分がセールイベントなんてことが当たり前になってきてるんです。(詳しくは後述)

そもそもセール参加は、準備から対応まで負荷の高い施策です。頻度が増えて、ありがたみも効果も薄れてきた今、「過去の延長」で、通常業務を犠牲にしてまで乗り続けるのは考えものかもしれません。そろそろお店側も、単に乗るんでなく「うまく使う」など、セールイベントに対する態度を固めたほうがよいはず…。

そこで今回は、セールイベントに忙殺されている楽天出店者さんに向けて、「セールイベントとの付き合い方のヒント」をご紹介します。

日々対応に追われっぱなしの店長さんが、一度、立ち止まって考える機会になれば幸いです。

楽天のセールイベントの状況

はじめに、楽天のセールイベントの開催状況を整理できていない方に向けて、どれだけセールが増え、呼び込みが強化されているのかの実状を簡単にまとめます。

月の半分がセールイベント

まずはセールイベント数の変化を見てみます。
冒頭でもお伝えしたように、楽天のイベント頻度はもはや月の半分を占めるほどになってきています。

ためしに、2017年と2020年の「大型セールイベント(スーパーセールとお買い物マラソン)」をカレンダーで比べてみました。すると…

2020年はセール期間が10日増加!この3年で倍以上に増えています。

これだけ開催されれば、お店側は準備と対応だけで手一杯、1つ終わったらまた次…と、イベントだけ1ヶ月が終わってしまうのも無理ありません。

お客さんからしても、もはや特別感はなく、「ちょっと待てば、またすぐセールでしょ?」と買い控えに走るのも必然に思います。

どんなイベントがあるのか?

では、具体的にどんなイベントが開催されているのでしょうか?主要なところをざっくりまとめてみます。

定番の大型セール

まずは「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」「イーグルス感謝祭」など、定番の大型イベントですね。

かつては、こうした大型セールは『月1回、土曜〜翌木曜の6日間』が定番でした。…が、今では『月2回、木曜〜翌金曜の計8日間』のような開催も珍しくありません。

頻度が2倍になり、開催期間も長くなれば、特別感も薄れてしまいますよね。。

5と0のつく日

そして「5と0のつく日に楽天カード決済でポイントが5倍」施策。これもすっかりお客さんの中に定着していて、5と0の付く日に売上が集中するようになったのは、出店者のみなさんもよくご存知のとおりです。

こんな売上推移に見覚えはありませんか?

5日に1度はポイントが5倍になる日があるのですから、”購入を急がないお客さん”からすれば、そのタイミングで決済しない手はないわけです。

小さなイベントも増加

また、大型セールだけでなく、短日~数日単位の小さなセールイベントも増加していますね。

例えば、

  • 毎月1日のワンダフルデイ(全店ポイント3倍)
  • イーグルス、バルセロナ、ヴィッセルの勝利ポイント(ポイント最大4倍)
  • 楽天39ショップ(送料無料ライン対応)限定のポイント倍付
  • 楽天スーパーDEALのポイントバック高還元
    などは、お客さんの認知も浸透してきていますよね。
    さらに、「予告なしの全店ポイント倍付」や「クーポン配布」のようなゲリラ施策もよく見かけます。

これらが、先述した大型セールや、5と0の付く日と重なることで、時々とんでもない高額ポイント還元率の日が生まれることもあります。

SPUの登場と定着

イベントとは違いますが、お買いものパンダでおなじみ「SPU」の影響も大きいですよね。

SPUとは、「スーパーポイントアップ」の略で、特定の条件を満たすほどにポイントがアップする…という販促の仕組みです。常時開催されています。

SPUは、2016年1月に最大7倍ではじまりましたが、2020年には最大16倍までポイントの倍率が引き上げられています。(※お買い物マラソンやスーパーSALEのポイント倍率が最大44倍のようなハイパーインフレを起こしているのも、この影響です)

うーん、もはや常にポイントセールが走っている状態とも言えるかもしれませんね。

お客さんの呼び込みも強化

上記セールイベントをお客さんに告知する仕組みも増えています。

かつては、主にメルマガ告知だったのが、「お気に入り機能」からのリマインドや、楽天ポイントアプリのプッシュ通知も登場。テレビのCMや、電車の中吊り広告、SNS発信も増えました。

お客さんはますます、安いタイミングを狙ってお買い物するようになってきました

セールイベントが増えてどうなったか?

セールイベントが増え、告知も強化された結果、お客さんの買い物の仕方が変わりました。そしてお店側も、昔のような「労力に似合うだけのリターン」が得られなくなってきています。

詳しく説明します。

お客さんは「セール慣れ」

まずお客さんの変化です。

セールの回数が増え、場数を多く踏めるようになった結果、お客さんは、いつ頃セールがあり、どのタイミングで決済すればお得に買えるのかをすっかり学習してしまいました。いわゆる"セール慣れ"です。
これによりお客さんは、「セールイベント期間外の買い控え」や「セール期間内でも一番お得になるタイミングを選んでお買い物をする(※)」といった行動を取るようになりました。

(※)最近、大型セール期間の中でさえも、山と谷が出てきていませんか?セール2日目と、最終日前日の「5と0の付く日」だけドンと売れて、合間の日はセールなしの時と大して変わらない…なんてケースが増えているんです。。

お店は「セール依存の消耗戦状態」に

お客さんがセール慣れしてきたことで、お店側も変化を強いられています。

たとえば、セールのないの日に売上が立たなくなったので、”利益が取れない”と知りつつも、やむなくセール参加。そして、忙しさが増す一方で、続けるほどに効果も目減り。どんどん状況が悪化していく…なんていうお話を本当によく聞きます。まさにセール依存の消耗戦状態ですよね…。

イラストにしてみるとこんな感じです。

そして売上のベースアップ対応は後手に…

上記のような変化の結果、お店の基礎力改善など、売上のベースを作る「ベースアップ対応」は後回しにされがち…なんてことが増えているように思います。

冷静に考えれば、セール参加を増やした分だけ青天井に売上がのび、リピーターも増え…なんてことはそうありません。セールが連れてきてくれるのは、価格やポイントなど、お得感に引き寄せられるお客さんが中心。その場限りの一見さんも多く、必ずしも、お店の売上のベース作りになるとは限らないはずです。ですから、ベースアップ対応は別途、意識的に続けていかねばなりません。

つまり、ガムシャラにセールイベントに乗り続けてさえいれば、いつか状況が好転する…とはなかなかならないわけです。

そろそろ「セールありき」で無理に売上を作る体質から脱却し、「セールに頼らず、無理なく稼げる体質」へと舵取りをしていったほうがよいのではないでしょうか。

どうセール体質から脱却するか?

では、セール体質からの脱却に向けて、お店側はどう動いていくべきなのか?
色々な方法が考えられますが、ここでは、ざっくりセール体質から抜け出すイメージをつかんで頂くため、大きく2つのステップにまとめてみました。

1:参加規模を絞ってリソース確保

まずは第1ステップ。セールイベントの参加規模を絞り、リソースの確保から始めてみてはいかがでしょうか。

先述したように、現在の楽天のお客さんは「買い物をするタイミングを選べる」くらいセール慣れしています。もはや、単に「セールやってます!」というだけでは特別感もあまりない状態と言えます。
ですから、むやみにセールイベントに全乗りし全力投球するのではなく、「お客さんが動く、ここぞのタイミング」に絞って注力することで、リソース確保につなげられるはずです。

たとえば、

  • 開催頻度の高いマラソンや細々イベントには参加せず、スーパーSALEに絞る
  • スーパーSALEに参加するときも、イベント全日程には乗らず、動きの良くなる「5と0の付く日」限定で参加する
  • そもそも売上の立ちにくい閑散期は、イベント参加を控える
    などなど。

あるいは商品数を絞ってセール参加するのもよいでしょう。

2:ゆくゆくは脱セールを目指す

参加規模を減らし、リソースの確保が進んできたら、その時間を使って、お店のベースアップ施策に取り組みましょう。

この場では具体的な方法論には触れませんが、セール対応を優先するあまり、「検索対策(SEO)」や「接客対策」がおざなりになっているケースも少なくないかと思います。

浮いたリソースは、これら基礎を見直す時間にあて、「セールイベントがなくても売れる状態」を築いていきましょう。こうした基礎的な施策はセールと違って即効性がないので時間はかかります。…が、根気よく続けていけば、セール体質から少しずつでも抜け出していけるはずです。

※ちなみに、どこをどう直せばベースアップになるのか?方法がわからないという方は当社のコンサルティングをご検討ください。コンサルタントが御社の状況を見ながら、伸びしろと手の動かし方をご一緒に考えます。
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注意:いきなり止めない

ただし、セール売上で経営を成り立たせている場合、いきなりセールをやめてしまうと、売上が落ちて資金繰りが厳しくなる恐れもあります。
一気にイベント参加の仕方を変えるのでなく、少しずつ、あるべき姿に近づけるよう「軌道修正」のイメージで取り掛かりましょう。

おわりに

以上、楽天のイベント傾向をまとめつつ、「セール忙殺から抜け出すヒント」をご紹介してきました。

そもそも、ECの強みは、価格ではなく利便性や非日常です。つまり、近所のリアルショップには売っていない商品を、24時間いつでもセレクトできて、取り寄せられる。これこそが価値だったはずです。

今の「無理してでもセール参加しないと売れない」という状況をそもそも疑って、本来の自分のお店や商品の強みは何か、立ち返ってみてはいかがでしょうか。

本当に値下げしないと売れない商品なのか?価格だけで選ばれる商品なのか?もしかしたら、そもそもセール参加自体が不要だった…なんてケースもあるかもしれません。

この記事が、何かの気付きになれば幸いです。

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この記事を書いた人

コマースデザインスタッフ
コマースデザインは、EC事業のコンサルティング会社として、ECのお役立ちツールECコンサルティングを提供しています。全サービスの累計支援先企業は23,000社を突破しました。「色々な個性を持ったお店が数多くあり、お客さんに豊かな選択肢があるEC業界」を目指し、中小ネットショップ事業者の皆様の「強み」を引き出す支援を行っています。
詳しくは、コマースデザインについてをご覧ください。

EC事業コンサルティングを行う「コマースデザイン株式会社」の社員ブログです。

値引きや広告に頼らない販促施策を中心に、小さな会社や1人事業のための業務改善・組織運営術など、経営全般にわたって支援をしています。

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