こんにちは、石黒です。
今回のテーマは、売上が爆増する「顧客メガネ」の身に付け方についてです。
「顧客メガネ」とは、お客さんの視点に立って物事を考えること。顧客メガネをかけて、商品ページを修正したり、マーケティング施策を考えたりすると、売上がどんどん伸びるんです。実際に「顧客メガネ」を意識して商品ページを修正したら、売上が25%アップしたという事例もあるくらいです。
お店のジャンルや規模に関係せず、誰にでも使える再現性のある話なので、具体的なやり方や考え方・顧客メガネを身につけるための行動習慣を紹介します。「売上をもっと伸ばしたい!」という方はぜひお試しください。
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「顧客メガネ」が身につくと、売上をどんどん伸ばせる
「顧客メガネ」とは?お客さんの視点に立つこと
顧客視点を踏まえてページを修正すると、すごく売れやすくなるんですよ。
「お客さんから見て、お店がどう見えているか?」を考えて、それに基づいて商品ページを直す。この感性や感覚を、コマースデザインでは「顧客メガネ」と呼んでいます。
この顧客メガネで、売上が25%増えたお店もあります。
仮に毎月100万円売れる商品なら、売上が125万円になったわけです。ある商品の月の売上が25%増え、それを横展開できると考えたら、結構な売上アップになりますよね。
では早速、具体的な事例を見ていきましょう。
たった1枚の画像追加で、売上が25%アップ!
実際に、顧客メガネで売上が25%アップした、インテリア雑貨のネットショップの事例を紹介します。
とあるインテリア雑貨のECサイトに、サイズ選びが難しくて専門的な商品にも関わらず、メーカーのカタログそのままのような情報が掲載されていました。
ある日、このECサイトを運営されていた方は、ハッと気づいたんです。
「私たちが当たり前に使っている業界用語って、ほとんどのお客さんは理解できないんじゃない?」と。
そこで、売り手として当たり前に使っていた「マチ」「ハバ」といった専門用語の解説を、商品ページに追加することを決めました。
この商品を選ぶ時って、こんな用語があるけれど、分かりづらいですよね。この用語には、こんな意味があります。だから、この商品のサイズを選ぶ時にはここを見て、こうなっていたらOKですよ。
そんな説明画像を1枚足しました。すると、効果抜群!たった1枚の画像を追加しただけで、商品ページの転換率が4%から5%にアップし、その結果、売上が25%増えたんです。
この事例から、「いかに顧客視点を持つことが大切か」が分かるかと思います。「お客さんからしたら分かりづらいよね」とパッと気づける人は、改善点を次々見つけることができ、売上をどんどん伸ばしていくことができます。
でも、ほとんどの人が、どうしても「どうしたら売れるか?」というように売り手目線で見てしまうんですよね。すると、顧客メガネに辿り着けないんです。お客さん側の視点を一朝一夕で養うことは難しく、センスと言ってしまえばそれまでかもしれません。でも、そこで終わらせたくないので、センスに頼らずに顧客視点を養う方法をいくつかお伝えします。
「顧客メガネ」を身につける上で大切な考え方
「売る」と「買う」の主語はお客さん。お客さんが買わないと売れない
「売る」と「買う」という言葉がありますよね。ここで注目したいのは、それぞれの言葉の主語です。
「売上を伸ばす」という言葉があるように「売る」の主語は自分であり、「買う」の主語はお客さんです。
でも実は、本質的には「売る」という行為は存在せず、「お客さんが買わないと売れない」んです。だからこそ、主語はお客さんであるべきで、お客さんからどう見えているかが何よりも大切です。
ただそうは言っても、「よその店はどうやって売ったのか?」「何をマネしたら、同じように売れるのか?」ということは、どうしても気になってきますよね。「他のお店の成功事例をマネして、売上を伸ばそう」と考えがちですが、買うか買わないかを決めるのはお客さんです。
だからこそ、一番重要な情報を持っているのは他のお店ではなく、ましてや成功事例やコンサルタントでもなく、「お客さんが何につまずいたか?」「どういった所がよくて、この商品を買っているのか?」という、お客さんからの見え方であることを忘れないでください。
あらゆる成功事例やコンサルタントが発信する情報も、全ては「お客さんからどう見えているか?」に迫るためのヒントにすぎない、ということですね。
「顧客メガネ」でわかる、本当に必要なマーケティング
マーケティングの話となると、「これからはLINEが大事だ」「いやいや、ライブコマースが大事だ」なんて、トレンドが色々ありますよね。この手の話は全て用心して聞くべきです。
例えば、弊社の支援先でコミュニティを強みにして、売上を伸ばしている方がいらっしゃいます。
- ビール愛好家でコミュニティができている
- 子供が同じスポーツをやっている親御さん達が、コミュニティが盛り上がってる
- アレルギーを持っている子供を育てている親御さんのコミュニティが活発らしい
など、同じ悩みやテーマを持っている人達の場合はコミュニティは成立します。
考えてみてください。同じ子供用商品でも、「ランドセル」の場合はどうでしょう?
コミュニティができるかというと、できないですよね。ランドセル選びは人生で何度もあることではないので、「ランドセルの選び方」などのコンテンツが重要な商品です。
他にも、例えばバスマジックリンの場合は、コミュニティもコンテンツも必要ないですね。むしろ「安く適量な在庫で、適正価格で販売すること」の方が重要です。
こうした具体的な商品で想像するとイメージしやすいように、コミュニティやコンテンツの要不要は、商品によって変わります。似た商品でも必要なアプローチは異なるので、マーケティングを考える上でも、顧客メガネを持てるかどうかが鍵になります。
「顧客メガネ」の育て方
ではここから、「顧客メガネ」の育て方を紹介します。
自分の常識を捨て、お客さんを理解し寄り添う
とある1人運営の社長さんの話です。この方は、前々からお客さんのことを
「うちの商品を買いに来るお客さんは若い子が多く、言葉遣いが雑だなぁ。もうちょっと、ちゃんとしたコミュニケーションをとれたらいいのに…」
と思っていました。それがある時、ハッと気づいた瞬間があったそうです。
「あぁ、この世代の人たちにとっては、これが普通なんだ。自分に対して失礼に振る舞っているとか、お店に対して雑な対応をしているとかではなく、これがこの人たちの常識なんだなぁ。」
このジェネレーションギャップの気づきをキッカケに、「この人たちはどう思っているんだろう?どう考えているんだろう?」と考え、とにかく理解して寄り添い、自分の常識を押し付けないように意識を切り替えたそうです。
そこからは「こうしたら、もっと喜んでくれるかな?」「こんな風になったら、もっと買いやすくなるかな?」とお客さんのことだけを考えるようになり、「顧客メガネ」の感覚をつかんだようです。すると成果がメキメキと出て、すばらしいお店へ成長を遂げられました。
このブレイクスルーをもたらしたのが、ECのノウハウやマーケティングの話ではなく、顧客メガネである点が面白いですよね。
自分主語で「売る」のではなく、「相手が買うんだから、相手を理解しないと」と視点が変わったことで、見える世界が変わったエピソードでした。
お客さんと接する機会を増やす
もう一つ事例を紹介します。アスリート向けウェアの専門店の事例です。
このお店はなんと、職種に限らず、スタッフ全員がCS(カスタマーサポート)の仕事をするんだそうです。
そうすると、自然とお客さんと接する機会が増えますよね。例えば電話を取った場合、「こんな気持ちでウェアを買ったり、買い直すんだ」と知ることができたり、お客さんと「次の大会がどうだ」という会話になったりするわけです。そうした会話から気づきを得ることが、とても多いんだそうです。
実際に他のお店の方からも、「育成目的でCSの仕事をしてもらっている」という話を耳にしたことがあります。例えば、コピーライティングの担当者にCSのメンバーに加わってもらったり、反対にCSをやっているチームの人に販売や検索対策の仕事をしてもらう、という具合です。
このように、お客さんと接する機会が多いほど、顧客メガネは身につきやすくなります。
他にも顧客メガネを養う方法として、何人かのチームでECを運営している場合は、後輩や部下、あるいは上司に「いかにこの感覚を理解してもらうか?」を考えてみることも有効です。
ECは非対面の業務なので、お客さんから届く情報も、レビューや問い合わせのメール・チャットなどのテキストであることがほとんどです。「何が売れた・売れない」という物ベースで見るからこそ、どうしてもお客さんの理解になかなか辿りつかなかったりするんですね。これでは自然と学ぶ機会が少なくなってしまいます。
もともと店頭での販売経験が多い方や、CS対応を長くやっていた方が、顧客視点を理解する場合はテキストベースの仕事は向いているかもしれません。そういった経験が少ない方は、意識的にお客さんとの接点を持つことを心がけましょう。
まとめ
今回は「顧客メガネ」について、実際に売上アップした事例や、習得するための具体的な方法をお伝えしました。
「顧客メガネ」は、あらゆる商品やサービスに応用できる、商売の本質とも言うべき力です。例え売る商品が変わったとしても、一度身につけば一生使うことができます。
お客さんの視点に立って考える「顧客メガネ」が身につくことで、これまでと同じ数字、同じレビュー、同じ情報、同じノウハウ、同じ手法だとしても、全く違う世界が見えるようになります。そしてその新たな視界によって、たくさんの改善のヒントを得られるようになります。
ぜひ顧客メガネを身につけて、商品ページの改善や、売上アップに活かしてみてください。
P.S.
弊社は、EC事業専門のコンサルティング会社です。
私達のコンサルティングは、こういった「顧客メガネ」を踏まえたご提案をしています。また、EC担当のみなさんが顧客メガネを身につけるためのサポートも行っています。最初はなかなか難しいものですが、一度習得すると、その後は見える世界が劇的に変わります。顧客メガネをかけられるようになったことで、面白いように売上を伸ばしていけるようになった方も少なくありません。
「売上が伸び悩んでいる…どうしたらいいか分からない」「いい商品なのに、どうも魅力が伝わらない」とお悩みの方は、突破口が見つかるかもしれません。ぜひ、お気軽にお声掛けください。
この記事を書いた人
- エクステリア通販会社にて、店長業務に加えて物流・ユーザサポート・システム開発まで幅広く担当。市場ニーズと競合度を見極めて自社オリジナル商品を企画、自ら販促全般まで行って人気商品を量産。楽天ショップオブザイヤーにてジャンル賞を受賞したが、独自ドメイン店にも明るい。休日はバンド活動中。