仕事を任せるのが苦手な方へ。不安感を克服したネットショップの事例を紹介

こんにちは、石黒です。

今回のテーマは「スタッフに仕事を任せて自分の時間を捻出したいけれど、仕事を手放せない」という悩みについてです。

ネットショップの運営はとにかく業務量が多いもの。すべての仕事を一人で抱えていると、売上アップなどお店の成長に時間をかけられません。そのため、単純作業はスタッフに任せ、幹部メンバーはより重要な業務に専念できるようにするのがとても大切…なのですが、これがなかなか難しいんですよね。

そこでこの記事では、なかなか人に仕事を任せられないネットショップ担当者の方へ向けて「仕事を任せる不安感との向き合い方」についてお伝えします。

同様の悩みで足踏みしていた人が、どのようにこの問題をクリアしたか、具体的な事例に沿って紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

なぜ仕事を人に任せられないのか?

冒頭でもお伝えしたように、仕事を誰かに任せるのは億劫なものです。「なんとなく心配」「大丈夫かな」と漠然とした不安感を感じている方も多いのではないでしょうか。(実際に2021年のマンパワーグループ社の調査によれば、管理職の9割以上が「部下に仕事を任せられない」と感じた経験があるそうです)

なぜ私たちはここまで仕事を人に任せることに抵抗感をおぼえるのでしょうか。

これはあくまで当社の経験則ですが、以下のような構造的背景があると考えられます。

1.お客さんの気持ちをよく理解し、喜ばせるセンスを活かして活躍・出世する

2.晴れて役職について部下ができるが、お客さんと部下は違うため、話が噛み合わない

3.そのため部下への説明に時間がかかり「自分でやったほうが早い」と感じてしまう

4.簡単な作業は任せられても「考える仕事」は頼めず、結局自分で頑張る状態になる。ときには、自分の優秀さを示すために、無意識に「自分しかできない仕事」を作り出してしまうことも

※より詳しく知りたい方は『ネットショップの成長が止まる原因「仕事を振れない」「仕事を抱え込む」その理由と対策』の記事をご覧ください。

ただし、不安の原因は人それぞれであり、単純な方法で解決できるものではありません。世に語られるセオリーが必ずしも当てはまらないのが現実ですよね。

では、どうすればいいのでしょうか?

その答えは「自分の仕事を任せる不安」と正面から向き合い、自分自身の仕事に対する考え方や、大切にしていることを明確にすること。これが最も重要だと思います。

事例をもとに詳しく見ていきましょう。

自身の不安に向き合うと真因が見えてくる

あるネットショップを運営するAさんのケースを紹介します。

Aさんは、スタッフに仕事を任せる必要性を理解していながらも、不安感から一歩を踏み出せずにいました。そこで、不安感の原因を究明するため、当社コンサルタントの支援のもと「なぜ不安に感じるのか」を分析することにしました。

最初は、スタッフの能力や任せたい仕事のレベル、マニュアルの有無などが不安の原因ではないかと考えていました。しかし、日々の仕事の中で、自身が何を考え感じているのかを言語化しつつ分析をしていくと、次のような思いが浮かび上がってきました。

  • うちのお店は、私が続けてきた接客とサービスが自慢だ
  • この武器があるから、多少割高でも生き残れてきたという自負がある
  • 誰かに接客を任せたら、その接客やサービスの品質が落ちてしまいそうだ
  • そうなれば、お客さんは離れ、売上が落ちてしまいそうだ

実際に、Aさんは返品を受ける際に、ひとこと感謝の言葉を伝えるなど「小さな心配り」を大事にしていたと言います。このような細やかな対応が店の強みであり、それがあったからこそ、お客さんとの信頼関係が築けているという自負があったのです。ところが、自分以外の誰かに仕事を任せたら、この小さな心配りが失われ、お客さんが離れてしまうのではないか。Aさんはこのような不安感から、仕事を他人に任せられずにいたのです。

こうして自身の不安と向き合い、その真因を理解したAさんは「自分が大事にしていることをしっかりと継承してくれる人を育てれば、仕事を任せられるかもしれない」と考えるようになりました。

真因がわかれば仕事は任せやすくなる

その後、Aさんはさっそく自身の仕事を引き継いでくれる人材の採用と育成に取り組みます。「心配りのある接客ができる人」という採用・育成基準はすでに明確だったため、準備はスムーズに進みました。

まず採用では、Aさんが大切にしている考えや日々の業務で実践していることに共感し、それを体現できる人材を集める募集文を作成しました。選考においても、同じ観点を重視して候補者を評価しています。その結果、Aさんの接客スタイルをしっかりと引き継いでくれる理想的な人材と出会うことができたといいます。

続く研修でも、Aさんは、大切にしている価値観や具体的に求めることを丁寧に言語化し、採用したメンバーに継承をしていきました。これにより、スムーズに育成が進行。現在では、Aさんは理想の後任者を得て、安心して仕事を任せられるようになっています

振り返ってみると、この成功は「不安感と真正面から向き合って、真因をきちんと突き止めたからこそ」だと我々は感じています。不安を無視したりごまかしたりせず、多少時間をかけてでも自身の気持ちとしっかりと向き合ってみること。その有益さを感じていただければ幸いです。

余談ですが、自身の理想や大切にしていることを言語化するアプローチは、販促においても非常に有効です。以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご一読ください。

不安な気持ちと向き合い、仕事を任せられるようになろう

今回は「仕事を誰かに任せる不安感との向き合い方」について、実例をもとに紹介してきました。

不安感は、真正面から向き合って言語化してみると、真因が見えてきます。無理にかき消そうとするのではなく、一度立ち止まってじっくり考える時間を持つ方が、建設的かつスムーズに解消できるものです。

仕事を誰かに任せるのは不安だなと感じたら、ご自身が無意識に感じている「何か」をじっくり見つめてはいかがでしょうか。その何か(真因)がわかれば、案外あっさり任せられるようになるかもしれませんよ。

ぜひ今回の記事を参考に、任せる不安と向き合ってみてください。

P.S)サポートが必要な方は当社までご相談ください

とはいえ、一人で自分の不安感と向き合うのは簡単ではありませんよね。そもそも自分は無意識なわけですから、真因を見つけるのは難しいことですし、ネットショップは忙しいので向き合う時間の捻出もままならないことも多いです。

  • 客観的な視点から意見がほしい
  • モヤモヤをぶつける壁打ち相手がほしい
  • 考えるための時間を捻出したい

もしあなたがネットショップ出店者で、上記のようなお悩みをお抱えであれば、コマースデザインがお力になれるかもしれません。

情報整理のエキスパートとして、あなたが抱える状況や想いを詳しくヒアリングした上で、不安感の言語化や前向きな解決策を見つけるサポートを行います。

多くのクライアントに寄り添ってきた私たちだからこそ、あなたのお役に立てることがあります。お悩みの方はお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

石黒健
エクステリア通販会社にて、店長業務に加えて物流・ユーザサポート・システム開発まで幅広く担当。市場ニーズと競合度を見極めて自社オリジナル商品を企画、自ら販促全般まで行って人気商品を量産。楽天ショップオブザイヤーにてジャンル賞を受賞したが、独自ドメイン店にも明るい。休日はバンド活動中。

ECコンサルティング会社コマースデザインの社員ブログです。

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