ネットショップの成長が止まる原因「仕事を振れない」「仕事を抱え込む」その理由と対策

こんにちは、坂本です。

弊社では、ネットショップのお手伝いをしています。社長さんや店長さんと話していてよくあるパターンが「自分が仕切れば売れるけど、『社員には出来ない』から引き継げない」あるいは「次の事業をやりたいけど、引き継げないからやれない」

つまり、人に仕事を振れないせいで、次のステージに進めないというケースがよくあるわけです。本当によくあります。なぜでしょうか?どうすればいいのでしょうか?まあ例によって私自身も抱えているテーマではありますが、「全然振れない」に直面していた頃と比べて相当マシにはなったので、その経験も書いてみます。

「仕事が振れない」人のよくあるパターン

これ、もう本当に沢山見てきたケースです。売る力のある人ほどハマる「落とし穴」ですねー!

センスを活かして活躍する

ビジネスを成長させ、結果を出せる人は、大抵センスに優れています。 ※本人には自覚がないことも多いです。

  • お客さんの気持ちが手に取るように分かり、最も心に響く言葉を選べる
  • ありそうでなかった商品を生み出し、人から「まさにそれが欲しかった」と言われる
  • ビジネスの構造を見極め、同業者が気づかなかった「最適解」を発見する
  • あれこれ試しているうちに道筋を見つけられるので、様々な状況で堅実に結果を出せる

自分で考え自分で動く。だから早い。ぐるぐる考え、ズバッと実行。空振ることもありますが、色々体当りして解決。
ご本人は、自分の強みをよく理解しています。自分の強みを発揮して結果が出て、お客さんも喜ぶ。忙しいけど幸せな時期です。

しかし「センス」は伝わらない

しかし、ビジネスが大きくなって、スタッフが増える。部下ができる。人に仕事を振る(依頼する)ことになりますね。すると、壁にぶつかります。

スタッフとの噛み合わない会話。

「いやだって、普通に考えたら、こんなことしないよね?考えた?」
「・・考えたし、自分なりにやってるんですけど・・・・・」
「いやだって、これ普通おかしいよね」
「・・これは自分にとっては普通なんですけど・・・・・」
「いやだって、もっとちゃんと考えてよ」

その人の武器であった「センス」が、副作用を発揮します。「素の自分の感覚」が他の人と違うわけですから、会話が噛み合わなくなるわけですね。「普通」が食い違っています。才能が足を引っ張ります。

説明が手間=「自分でやったほうが早い」

そんなわけで「自分とは感覚の違う人」に説明して理解してもらい、仕事をやってもらうのは、大変です。手間がかかります。

  • 今は忙しい。時間かけてコイツに分かるよう説明するくらいなら、自分でやったほうが早い。頼まない。
  • 頼まないから、忙しい。忙しいから時間がない。忙しいから、時間かけてコイツ(略)。自分でやったほうが早い。この繰り返し。

こういうパターンもあります。

  • コイツが分かるよう説明するのは無理だから、指示だけ出そう。事細かく指示してあげるから、言われたとおりやりなさい。ちゃんとやりなさい。あーもうなんで間違えるかな。こうです。こうしなさい。まったく、なぜ自分で考えないのか!

「言われたとおりやりなさい」と「自分で考えなさい」は矛盾してますね。これでは、作業的な仕事は振れても、「考える仕事」は誰にも頼めず、結局自分一人が頑張らなきゃいけないという状態になりがちです。

そうならないためには、「感覚」を「言葉」にすることです(後述)。

※ちなみに、売上が伸びれば伸びるほど忙しくなるので、独力で回している場合は「売れれば売れるほど更に振りづらくなる」という落とし穴もあります。

本当は「振りたくない」?

ちょっと脱線です。

仕事が振れないんだよねーって言っている人の中には、実は「ボクが一番優秀」を示すため、つまり「自分の存在価値」を作るために、わざと仕事を振らず 「優秀な自分が頑張るしかない、という状況」を意図的に作っている。そんなケースも少なからずある・・ような気がします。

意図的にやってたら結構アレですがw
これ結構、無意識のうちにやっているんですよねー。

該当する人は、「感情」を言葉にすると良いでしょう。「自分は何を怖がっているのか」「自分が本当に目指していたものは何だったのか」「目先で十分なのか」「これから先の自分の可能性を信じられるか」等について考えると良いかもです。感情は、観察して言葉に置き換えればコントロールしやすくなります。

「仕事を振れる」ようになるには?

特に「理論より体当たり」な人や、「生まれ持ってのセンスで普通にできちゃう」人ほど、苦手意識があるように思います。

なぜこうなった

前述の状況をまとめます。

  • 自分はセンスがある。だから正解を出せる。
  • 部下はセンスがないので分からない
  • わからない相手に説明するほど時間がない
  • 自分でやってるから忙しい

なるほど。でも、「考えればわかる」「分からないのは努力不足」というスタンスで、「お前がここまであがってこい」と言っているうちは、どうしてもうまくいかないような気がします。少なくとも、自分はそうでした。

伝え手側・教える側は、もっと歩み寄るべきだと思います。

  • センスで済ませないで「そもそも自分はどうして『出来ている』のか」を考えたことはありますか。
  • 説明できないのは、受け手ではなく、伝え手の噛み砕き不足ではありませんか。
  • そもそも一律で「高いセンスが必要」ですか。仕事によっては伝えやすいものもありませんか。

ということで、以下「センスを言語化する」ことについて考えてみます。

「感覚的表現」を掘り下げてみる

そこでおすすめしたいのは、「とりあえずコレやって」「もっとちゃんと考えて」ではなく、もっと言語化することです。

たとえば、商品紹介を作るときに、とあるベテラン店長さんが、スタッフに対して「もっと『臨場感』のある説明を書いてよ!」「これじゃ普通の説明だよ!」と、いつも文句を言ってるとします。

でも「臨場感」って何でしょうか?「普通の説明」との違いは?

  • ジュワワー、パリッパリッ、みたいな擬音を入れるってこと?
  • 「はいこちら現場です。この季節、静岡の茶畑は鮮やかな緑で・・」みたいにレポートするってこと?

でも、よくよく聞いてみると、その人のいう臨場感は、

  • 「現地の人・作っている人からじゃないと聞けないようなエピソード」を交えつつ商品紹介すること

だったりします。
いや、擬音だって現場レポートだって臨場感っちゃ臨場感ですよね。

でも、この人の中ではそうではないわけです。本人からすると「いや普通、買物で臨場感のある説明つったら擬音のはずないでしょうハッハ」って思うんでしょうが、「普通」はNGワードですよ。

こういう場合、つまり「その『臨場感』ってなんだよ」という状態になったら、「臨場感がある商品紹介」と「臨場感のない商品紹介」の何が違うのかを、それぞれの実例を比較しながら、じっくり考えて言葉にすると良いでしょう。そうすれば「この文脈における『臨場感』という言葉が意味していること」が明らかになります。

あるいは、あなたの上司がこういう人なら、質問して聞き出していくと良いでしょうね。

「重要性」を言語化する

ところで、なぜそんなに「臨場感」にこだわるのか?これも言語化が必要です。

「いやだって臨場感大事でしょうー!ネット通販は自動販売機じゃないんですから!鮮度感ですよ!」

説明になってませんw
これもじっくり聞いていくと、実は頭の中ではこんなことを考えてたりするわけです。

この人が「臨場感」にこだわる理由は、

  • スーパー等では説明なく売られている商品でも、当社サイトで「現地っぽい話」を読みながら買うことで「取り寄せている気分」「特別な体験」感が強まる。つまりモノだけでの勝負ではなくなる
  • 商品の実物に臨場感が加わることで「高く見える」「満足度が上がる」「記憶に残る」。つまり他店に埋もれなくなる。

なるほど。
確かにそれは重要なことですね。それだけこだわる理由がわかりました。

でも言われないとわかりません!

「勘所」を言語化する

職人的なコツの部分ですね。例えばこんな感じです。

  1. 「臨場感あるエピソード」を見つけるためには、職人さんや農家の人から話をもっと聞くこと
  2. エピソード候補を沢山集め、そこから「それは面白い」という一番のエピソードを選び出すこと
  3. そのためには・・

こうやって言葉に出来れば、だいぶ説明できるし、伝えやすくなっているはず。

これらを伝えておけば、スタッフから少なくとも「独力では答えが出せないけど気づいたことを報告する」といった側面支援はしてもらえるはずです。作業だけ切り出して振っている場合も、このように丁寧に考え方を伝えることで、作業の精度が上がります。作業者でも考えながらやっているなら、いずれ成長し、企画側に回れます。

その他の対策

というわけで今回は、「センスを伴う仕事」を、自分以外の人に頼む際に大切なこととして、「言語化」を挙げて説明しました。

でも、他にも色々あります。

  • 仕事を分割する
    • 難易度の高い箇所と低い箇所に分解して、難易度の低い箇所を切り出す。手堅いです。ただ、根本解決にはならないですね。
  • 違う解き方をする
    • たとえば、「現地の風景と生産者インタビューの動画を載せまくる」と、それで解決するかもしれません(しないかもしれません)。いまの解き方が唯一の方法ではないですし。
  • 諦めて任せる
    • まあ最悪うまくいかなくてもこの程度のロスだから思い切って任せてしまう・・と思いきや、任せちゃったほうが「自分が想定しているのと違うアプローチ」で「自分の案より全然結果が出る」なんてこともありますねww

いろいろあります。
こういう話に興味のある方は、弊社にご相談下さい(後述)。

要はどうすればいいのか

センスを言語化しよう

このように、センスのあるアナタがサラッと言い放つ「◯◯が大事だよね」という言葉の裏には、いろんな意味があります。短い言葉に意味が詰まっている。zipファイルみたいに圧縮されている。・・だから解凍が必要なんです!解凍=言語化です。思い当たる人はぜひ一度、言語化にチャレンジしてみてください。

他には、たとえば接客なんかもそうです。お客さんから問合せがあったときの対応の仕方、写真のとり方、メルマガで商品を紹介するときの伝え方など、色んなところで微妙なコツがありますよね。

昔の職人ならそういうコツは「盗む」ことでしょうが、仕事が高度化している現在、富士山の五合目くらいまでは自動車で登ってもいいと思います。そこから先は徒歩(自力)で頑張る必要がありますけど。

高度な仕事を習得するためには、言語化できるのはほんの一部で、結局は本人が苦しんで会得するしかないのかもしれません。でも、とっかかりの部分が言語化できていれば、そこから先、自力で歩くための杖になると思うんです。センスがある人は、後進のために、杖くらいは作ってあげていいんじゃないかなー。たぶん自分のスキルも2ランクくらいアップしますよ(私の経験では)。

頭では分かるが「腹落ちしない」場合

なるほど言いたいことはわかった。たしかに、自分の感覚を押し通すだけではダメな気がする。でも実際、現実問題、いまの職場では結局オレがやらないとうまくいかないし。だいたい任せればうまくいくなんて気軽に言うな。腹落ちしない。プンプン。・・でも今のままじゃダメだとも思っている・・。なんて思春期みたいに悶々としている人は、この方々の提供する体験学習(チームビルディングプログラム)が良いかもしれません。

https://www.facebook.com/akira.nagao1
https://www.facebook.com/shinya.nakayama

理屈ではなく体感で分かります(たぶん)。ただ通信講座みたいなものと違って合宿だったり1日掛けてロープくぐったり3時間目隠ししたりするので、大勢受けられるものではないんですよね。次いつやるのかな。。興味ある方はとりあえずフォローされると良いかと思います。著書もオススメ。

※今回書いた話は坂本の考えと経験であってこのプログラムの話とは別です

「スタッフのための家庭教師」が欲しい場合

なるほど、そんな感じでスタッフとじっくり話したいが、やはり時間がない

会社の根幹は自分が伝えるが、ネット販売の基本はもちろんのこと、運営全般、値付け見直しや利益確保、中長期的な店舗コンセプト定義、何かあったときのトラブル対策、モールの細かい部分の対応などなどは、誰かが代わりにスタッフの相手をして欲しいなー。家庭教師みたいな人いないかなー・・

という場合は、弊社コンサルタントがお手伝いできるかもしれません。家庭教師というよりは「よろず相談相手」ですね。弊社では、売上アップだけでなく、運営全般のご相談も応じています。

ちなみに、がっつり現場をやってるスタッフさんと弊社コンサルタントが二人三脚になり、販促施策に限らず色々深い話をして(ここ重要)、社長さんがそれを見守る、というのは、典型的な成功パターンの1つです。(スタッフさんが嫌がっている場合 or 社長さんが売上しか見てない場合はうまくいきません)

興味がある方は、こちらのページをどうぞご覧ください。

「業務・組織体制を見直したい」場合

※2020/04追記
業務コンサルの専門プランを作りました。半年間集中コンサルティングで、社長・店長を見違えるほど身軽にします。組織で動いているお店も、1人店長も、どちらも成功事例が沢山あります。

戦略も戦術も大切ですが・・「そもそも日々の業務で忙しい」せいで、焦るばかりで何も進んでない状況だったりしませんか。でも実際のところ、よくよく調べてみると「人に振れるはずの仕事を抱え込んでいる」「頼むのが苦手でそのままになっている」などの、解決可能な伸びしろが結構あるんです。この記事にある「何から頼んだらいいか・どう頼めばいいかわからない」という方へのお手伝いもしています。このコンサルティングでは、組織の状況を伺って、状況に合わせて様々な施策をご提案します。興味のある方は、ぜひリンク先のページを読んで、イメージを掴んでください。

最後に、一番言いたいこと

冒頭では「仕事を振るためには・・」などと書きました。でも「仕事を振りたい」のは自分の都合ですね。本当に大事なのは「一緒に働いている人が、その仕事の本質を理解・納得し、習熟しようとする意思を持って自己観察しながら取り組んでいる」状態だと思います。言い換えると、「振られた仕事」ではなく「自分の仕事」として取り組んでいる状態です。

「そんな状態を作ってあげる」ことは、なんだかボランティアみたいですが、実は自分のためです。なぜなら、そうやって成長した人は、強い味方・仲間になってくれるからです。本当にありがたいのは「仕事を振れる相手」じゃなくて「味方」です。振り返ってみて本当にそう思います。

多分あなたは良い人に囲まれています。センスの有無で片付けないで、もっと「人と一緒に働く」ことの可能性を考えてみませんか。今より楽になると思いますよ。

カテゴリー: EC業務の効率化

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