4ステップで「楽天ペイ」切替え!導入時の注意点を実施済み店舗に聞きました

今回は、楽天市場出店者に向けて「楽天ペイ切替え時に注意するポイント」をご案内します。

昨年、「全店舗に楽天ペイを導入」のアナウンスが出た際に、当ブログでもまとめ記事を書きました。
≫「楽天ペイって結局何?押さえておきたい3つの影響」はこちら
それから2018年4月以降、徐々に楽天ペイ導入が進み、実際に切り替えた店舗さんからの体験談も集まってきました。

そこで「楽天ペイ対応 第二弾」として、現場の声を元にした”切り替え時に抑えておきたい4ステップの作業手順”をまとめました。「うっかり見落としがちなこと」や「作業が大変だったもの」などをカバーする内容です。楽天ペイの切り替え対応に不安をお感じの受注担当者さんは、ぜひお読みください。

なお、楽天ペイ切替には、必要な対応の「全体感」を把握してから臨むべきです。
楽天からも作業手順のチェックリストが出されていますが、切り替え直前に、チェックリストを見ながら作業するだけでは、痛い目をみます。(理由は後述します)

「全体感」を掴んでもらえるよう、準備作業時に注意したいポイントを補足した資料もご用意しました。ダウンロードの上、切替対応にお役立てください。

「楽天ペイ」についておさらい

まずは「楽天ペイ(楽天市場決済)」のおさらいです。

昨年、2018年内に全店導入されるという発表がありましたね。
楽天ペイを一言で説明すると、楽天市場出店の全ショップで決済方法が統一化され、注文の決済処理も楽天側で代行するという仕組みです。

ご存じない人は、以前に当ブログでまとめた概要を、先にご確認ください。楽天ペイの導入により「起こる変化」や「運営者が注意すべきポイント」などをわかりやすくまとめています。
≫「楽天ペイ」って結局何?これだけは押さえておきたい!3つの影響

お客さんへの影響

楽天ペイが導入されると、お客さんの買い物は便利になります。

どのショップでも希望の決済方法が選べますし(現在はショップによって違う)、将来的に全ショップでの決済方法が統一されれば、お客さんは複数店舗で買い物をした後、「一度の決済手続きのみ」で買い物を完了できるようになる予定です。面倒が無くて良いですね。

店舗運営者への影響

しかし一方、店舗側にとってはちょっと「面倒になります」。

楽天ペイに切替えると、決済処理作業を楽天に切り出せるので、楽になりそうなのですが・・・
実際は、その反対の声が多く、ほとんどの方が「従来の受注フローより運用しづらい」と感じているようです。
楽天に決済処理を切り出すことで、以前より手間が増える部分もあるとか。(後述します)

今後、楽天ペイに統合される以上、あらかじめ注意すべき点を知っておく必要がありますよね。そこで、以下、「切替準備時」と「切替後の運用時」に分けて、確認のポイントをお伝えしていきます。

※ここでの情報は、既に楽天ペイを導入した現場店長さんの体験談を元にしています。楽天のマニュアルとは違う角度の情報として、お役立てください。

※「楽天ペイ対応 第三弾」として、「後払い導入の注意点」をまとめています。未対応の方はこちらも併せてご覧ください。

≫ 楽天ペイに「後払い決済」が導入!お店への影響は?何をすべき?

楽天ペイ切替の心構え

本題に入る前に、楽天ペイ切替の心構えをお伝えします。大事なことなので読み飛ばさないでくださいね。

事前準備と計画立てを入念にする

楽天ペイ導入予定日が決まったら、思わぬミスがないよう、入念な事前準備と計画立てをしてから切り替えに臨んでください。

特に、後述する「楽天ペイ切替え前に必ず実施しておくべき作業」への対応を漏らさないように要注意!

というのも、楽天ペイに切り替え後は、元の受注フローに戻すことは出来ません。
切替え前の対応に漏れがあると、最悪の場合、決済処理が出来ず、せっかくのお客さんからの注文を一旦キャンセルなんてことも。売上もお客さんの信頼も失いかねませんので、重々ご注意を・・・。

楽天のチェックリストだけに頼らない

楽天ペイは受注の仕組みが一新される大きな変革です。そのため、切替作業時に対応漏れのないように、楽天側がチェックリストを用意しています。ですが、冒頭お伝えしたように、「チェックリストを見ながら、上から順番に作業をすればOK」というものではありません。切替対応の「全体感」を把握してから臨まないと、痛い目をみます。

たとえば、上述のように作業漏れに後から気が付くと修正が効かないリスクがあります。他にも全体感を把握せずに作業を進めた結果、期日に間に合わないなんてケースもありえます。

※楽天のチェックリストには「やること」は書かれていますが、「どうやるか?」「どのぐらい時間がかかるか?」は書かれていません。対応方針は店ごとに考えなければならず、この「考える」作業こそ、時間がかかる部分です。
全体の作業ボリュームを把握しないまま進めると、切替え予定日に準備が間に合わなくなり、悲惨です。

そこで、チェックリスト項目だけでは見えてこない「現場で必要な作業」「準備の所要時間」などを補足した資料を用意しました。ダウンロードの上、社内での準備対応にお役立てください。

楽天ペイ切替前に準備すること

それでは、実際の準備作業について、説明していきます。

1.変更点を把握し、社内で新フローをつくる

楽天ペイの導入で、何が変わり、それに対してどう社内で対応するか?を考えます。

楽天と交互に作業するようになる

一番大きな変化はステータス管理です。下図をご覧ください。
新しくなる受注処理の流れを、社内で確認しておきましょう。

現状は、決済処理の全ステップを、自店舗で対応しますが、楽天ペイ導入後は楽天が決算の代行をします

引用:楽天市場 資料
切替前

楽天ペイ導入前は、決済処理の全ステップを、自店舗で対応します。ステータスの管理もある程度自由に設定できるため、店舗ごとにやりやすい運用が可能でした。

切替後

楽天ペイでは、
・[店舗]注文内容の確認をし、楽天に決済処理の依頼を出す
・[楽天]決済処理を代行し、店舗に完了連絡を入れる
・[店舗]発送・梱包の作業をする
と、楽天と店舗とのキャッチボールで処理が進みます。そのため、両者が「ステータスを次々と動かしていく」という新対応が発生します。
店舗では各処理が完了する毎に、注文のステータスを動かす必要が生じます。

店舗独自のルールは使えない

また、楽天ペイでは、決済上の対応が「全店舗で一律」となるため、店独自のルール(※)は廃止になります。
独自ルールで対応してきた方は、変更後の対応を把握しておきましょう。

※使えなくなる「店独自のルール」の例:
・これまで店側で「決済手数料」や「返金手数料」の負担をしていた場合、楽天ペイ切替後は、一律お客さん負担になる。
・前払い決済の入金期限の独自設定は出来ず、楽天ペイ切替後は「注文後14日以内に入金がないとキャンセル」となる。

社内での新フローが必要に

上記にあげたような変更点が見えてくると、今の運用体制から、何をどう変える必要があるのか、見通しが立つはずです。現状との「差」を踏まえつつ、社内でシミュレーションしながら、新フローを踏まえた受注手順をつくっておきましょう。
また、社内にマニュアルがある方は、内容の更新を進め、受注に係わるスタッフに共有しておきましょう。

2.サイト内の切り替え準備を進める

サイト内のインフォメーションや、設定の切り替え準備も考えておく必要があります。

「楽天銀行」と「代金引換」には要注意

楽天ペイ切替に際し、多くの設定が発生します。
詳細はダウンロード資料のチェックリストをご覧頂きたいのですが、とりわけ要注意なのが、「楽天銀行」と「代金引換」の設定です。

ほとんどの店で使われている「代金引換」は、楽天ペイのサービスに含まれていないんです。なので、引き続き使用する場合には、店舗さんご自身で別途設定せねばなりません。
これを忘れてしまうと、代引きで購入したかったお客さんが、離脱してしまうきっかけとなります。忘れずにご登録下さい!

また、「楽天銀行」決済では、楽天ペイ切り替え前後で、口座が変わります。
切替後にお客さんへ案内する口座情報が新口座になっているか、見直しましょう。

サイト掲載素材・メールテンプレの準備が大変

楽天ペイ切り替え当日は、速やかにサイト内の決済案内など各種インフォメーションを切り替えることになりますが、これには事前の仕込みが肝心です。

当日、その場で都度修正する方法だと時間を喰ってしまい、対応完了が後ろ倒しになりがちです。
当日は「切り替え作業だけ」で済むように、情報を更新する箇所のリストアップと、切り替え用の原稿作成を先に終えておきましょう。

ちなみに、一般的に、決済方法の案内がよく掲載されている箇所としては、「商品ページ内、ヘッダー、フッター、基本設定、カート内の案内」あたりです。ご参考まで。

3.「使えなくなる決済方法」を早めに処理する

予約注文と定期購入・頒布会を実施している店舗では、もう1点事前対応が必要です。
それは、「楽天ペイ切替後に使えなくなる決済方法」の注文に対し、早めに確定処理を済ませておくことです。

「クレジットカード」「楽天口座決済」「代金引換」の3種類だけは、楽天ペイ切り替え後も処理できますが、それ以外の注文は、切り替え後に決済処理ができなくなります。
なので、通常フローとはタイミングが異なりますが、早めの注文確定処理を実施しましょう。

この対応を忘れてしまうと、決済処理ができず、最悪の場合、一旦キャンセルしてから、お客さんに再注文をお願いすることになってしまいます。信頼を失い、トラブルを招きますから、抜け漏れのないようにお気をつけください。

4.切替当日のスケジュールを調整しておく

切替前の「準備」としてお伝えする最後の内容です。

言わずもがなですが、担当者が作業に集中できるように、予め時間確保をしてください。切り替え当日はやることが盛り沢山ですから!
一人店長の場合は、休店中にするという手もあります。

楽天ペイ切替後に注意すること

続いては、楽天ペイに切り替えた後のお話です。
新フローでの受注時に、現場担当者が気をつけたい注意点をお伝えします。

1.同梱処理手順を再認識しておく

同梱処理が発生する場合は、要注意。楽天ペイでの同梱手順を確認しておいてください。
従来のRMSに実装されていた「同梱引き当て」機能が無いため、目視&手動での対応になります。

なお、楽天ペイでは、1注文レコードごとに決済処理をするため、レコードの合体はできません。もし同梱対応する場合は、複数の注文レコードの内、どれか1つに金額を合算し、残りの注文レコードでは「金額を0円に訂正」する必要があります。

また、発送完了の処理も、1注文レコードごとの対応が必要です。上記同梱対応をした場合は、全ての注文レコードに同じ伝票情報を入力し、「発送完了報告」を上げましょう。

2.金額変更を最初に行う

楽天ペイでは、注文レコードを「注文確定」ステータスにすることで、楽天による決済処理がスタートします。

一旦処理が始まると、金額の変更がややこしくなるため、金額変更を伴う注文(※)の場合には、最初に対応しておくのがオススメです。

※金額変更が発生する事例
・北海道や沖縄など遠隔地へのお届けで、送料が上乗せされる
・有料のオプションサービスがある
・店独自の割引クーポンの利用がある
(備考欄に金額変更を伴う要望が書かれている場合もあります。備考欄の内容確認も、先に対応できるとベターです)

3.「発送済」ステータスに注意する

RMS上の「発送済」の注文処理ステータスにはご注意ください。
「発送済」ステータス部分は、実際の発送日とタイムラグが起きます。

どういうことかと言うと、店舗側では当日の商品出荷を完了させたとしても、RMS上で実際に「発送済」ステータスが反映されるのは、発送日の「翌日」です。

例えば9月11日に店舗が発送した場合、楽天からの「発送完了報告日」の取得は9月12日になる

つまり、「自店の倉庫からは発送済みだが、RMSのステータス上はではまだ発送待ちになっている」というズレが生じる、ということです。社内でのステータス確認時に誤認がないよう、ご留意ください。

まとめ

楽天ペイ切替え時の注意点をいくつかお伝えしました。対応イメージは湧きましたか?

この他にも、店舗側で注意すべき点が細々とあるはずですから、楽天のマニュアルやRUx動画などで、公式情報を確認しておきましょう。

ちなみに楽天ペイは、今後さらに機能が充実していくようです。
決済方法の拡充をはじめ、領収書ダウンロード機能なども、順次追加されていく予定と告知がありました。その都度、今回同様に、社内のオペレーションを見直していきましょう。

P.S.
今回のブログでは触れていませんが、楽天ペイが導入されると料金も変わります。経費負担増加への向き合い方を考える必要があります。

状況によりますが、大体1%ほどのコストアップになる可能性が高いです。請求が来てから慌てないように、試算をしておきましょう。

なお、本件に限らず、7月の楽天EXPOで発表もあったように、これから立て続けにコストアップが起こります。
参考)楽天EXPOの内容を紹介。楽天が「料金改定」と「方針転換」を発表!

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この記事を書いた人

味藤絵美子
有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。

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