ネットショップの業務効率化につながる「同梱物」の工夫を事例で紹介

私は仕事柄、ネットショッピングをすると、各お店の「同梱物」を事例収集する趣味があります。今回はその中からネットショップの業務効率化に繋がる工夫を感じたものを紹介します。

いつもの同梱物を見直すだけで、お客さんからの「よくある質問」を減らせたり、「バックヤードで繰り返し発生する作業」を減らせるかもしれません。 同梱物を何年も見直してないなという人は必読です!

とはいえ、紹介する同梱物の事例の中には、大がかりな仕組みが必要なものもあり、すべての人に参考になるものではありません。なので「こういった工夫も出来るんだな」と頭を柔らかくするための材料としてご覧いただき、習慣的にやっている作業を見直すきかっけとしていただければと思います。

下記順番で5つの事例を紹介していきます。
(同梱物に限らず、忙しい状況全般への対策については、前回のブログをご覧ください。)

1.定型的な問い合わせを防ぐ

ネットショップを運営していると、しょっちゅう同じ問い合わせが寄せられますよね。

例えば、
「初期不良があった。返品したいけどどうしたら良い?」
「後払いで注文したが、支払いはどのようにすれば良い?」など。

こういったよくある質問は、お客さんに疑問を感じさせてしまう前に、お店からの案内によって、お客さんの自己解決を促せると、お客さんもお店もハッピーですよね。

そしてこのような典型的な問い合わせは、同梱物の工夫で減らせる(=お客さんに自己解決してもらえるはず)かもしれません。

ここでは私の個人的な買い物で見かけた事例を、いくつかご紹介します。

返品用の着払い伝票を同封する

ネット注文して届いた商品には「宛名(ショップへの返送先)」と「品名:返品衣類」が印字された返品用の着払い伝票が同梱されている

店の工夫

このお店の工夫は、「返品用の着払い伝票」を一緒に同封している点です。

写真の画質が悪くて見えないと思うので(スミマセン)解説しますと、返品用の着払い伝票には予め「宛先(ショップへの返送先)」と「品名:返品衣類」が印字された状態になっているのです。

どんな効果がある?

返品用伝票が付属されていることで、返品方法についての問い合わせを減らす効果が期待できます。

ネットショップでは、商品に初期不良があり、お客さんから「どのように返品したら良いか?」といった質問が来ることは多いはず。その都度、同じように対応方法を案内するのは、店としては非効率ですよね。

そこで、この「返品用伝票」の同封です。お客さんはしっかりと案内を読まなくても、「この伝票を貼って返送すれば良さそうだ」と自身で察知できるため、問い合わせを防ぐことにつながります。 また、予め宛先や品名を印字しておけば、お客さんは自分の名前と住所を書くだけでよく、返送時の負荷を軽減する効果も見込め、一石二鳥です。

とはいえこれらは手間もコストもかかりますから、どのお店にもおすすめという訳ではありません。お店の規模や状況によっては、判断が分かれるところだと思います。

返品可能商品をわかりやすくする

あるお店の納品書の中では、商品ごとに「返品を受け付けるか/受け付けないか」が、ひと目で分かるようチェック印をつけられるようになっている

店の工夫

こちらのお店では、納品書の中で、商品ごとに「返品を受け付けるか/受け付けないか」が、ひと目で分かるような案内になっています。

赤枠で示した「チェック印」の有無がそれです。返品可能な商品にだけ、チェック印がつけられるようになっています。

どんな効果がある?

この工夫によって、「本来返品できない商品が、お客さんから返品されてきてしまう」事態の発生割合が減らせそうです。

「チェック印」によって、「返品を受け付けていない商品の確認」が簡単になりますから、商品返品時のお店への確認頻度も下げられるかもしれません。

後払い支払い用紙を同封する

店の工夫

最近コスメを購入した際に、「後払い用の支払い用紙」が商品と一緒に同梱されていることがありました。 (写真はどこかにやってしまいました・・・スミマセン。)

通常、後払い決済のフローとしては、「後払い用の支払い用紙」は、商品とは別送でポストに届くものですが、後払いサービスもどんどん進化しているようです。

どんな効果がある?

従来の「後払い決済」フローの場合、よくお客さんから聞かれるのが、「後払いで注文して商品を受け取ったが、支払いはどのようにすれば良いのか?」という質問です。数日後にポストに支払い用紙が届くはずですが、お客さんはそうした情報を把握していないと不安になり、店に問い合わせてしまいますよね。

ですが、先ほど紹介したように「支払い用紙を商品と同封」することができれば、こうした問い合わせは減らせるでしょう。

【注意】
この対応は、「楽天ペイの後払い決済」では導入不可です。本店などで後払いを独自活用しているお店の場合は、導入可能かもしれません。気になる方は、後払い決済代行企業に、サービス内容や料金などを問い合わせてみてもらえればと思います。

2.オペレーションを短縮する

続いてご紹介するのは、同梱物の工夫によって「バックヤードで繰り返し発生する作業の時短」を目指せる事例です。

取り入れたからといって、1件1件の時間短縮効果はわずかかもしれません。ですが、毎日発生する作業時間を1秒でも短縮できると、長い目で見た時に大きな改善効果に繋がります。

封筒に直接宛先印刷する

住所と宛名が印字された紙封筒

店の工夫

メール便対応商品の場合、シール台紙に宛先を印字して、梱包資材に貼るケースが一般的かと思います。

ですがこのショップでは、紙封筒に直接宛先を印字しています。

どんな効果がある?

シール台紙を使用している場合だと、シールを剥がして、梱包資材に貼り付ける手間がかかります。

一方で、この店の場合は、こうした手間をカットできるわけです。

納品書一体型伝票を導入する

指で示した部分をめくると、納品書になっている伝票

店の工夫

この伝票、指で抑えている部分をめくると、納品書になっているんです。画期的!

この伝票の詳細は、以前に当ブログで紹介したことがあるので、詳しくは以前の記事をお読みください。

どんな効果がある?

納品書を用意するときって、ぐしゃぐしゃにならないよう気を遣って、三つ折にしたり、ビニールに入れたりしますよね。ですがこの伝票なら、「納品書を折ったり封入したりする手間」が掛かりません。

1通につき、数秒の作業かもしれませんが、何百件も積み重なると、大きな時間を割いていたりしますから、時短効果は大きいでしょう。

また、伝票と納品書が一体化しているため、AさんにBさんの納品書を入れてしまった・・・といった、取り返しのつかない「入れ間違いリスク」もゼロにできます。店としては助かりますよね。

ただしコストがかかる仕組みなので、導入を検討される際には、改善効果と天秤にかけた上でご判断ください。

おわりに

色々な事例をご紹介しましたが、いかがでしょうか?

ネットショップを取り巻く状況はどんどん変化しており、お客さんからの見え方も変わっているはずなので、同梱物を何年も更新していない場合には、ゼロベースで改めて見るといいかもしれません。

店によって色々な工夫をしていますから、皆さんも日ごろから観察していくと面白いと思います。普段お買い物している際に「これって分かりづらいな」「これって分かりやすいな」と思ったら、こうやって写真やメモしていくのがおすすめです。そうすると業務改善につながるヒントを得られることもきっとあるはずです。

ただこういった改善はコストも手間もかかるもの。なので「実際の改善を検討してみよう」という際には、同封物を工夫して減らせる手間(例えば、問い合わせ対応など)と実行にかかるコストを天秤にかけた上で判断するといいかと思います。

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ECの運営や業務効率化で困ったときは、私たちにご相談ください。EC運営のプロとして、御社にあった対応方針を考えていくサポートができるかと思います。

P.S. 事例として掲載させていただいた店舗さんへ

このブログ内では、私が個人的に買い物をしたことがある店舗さんの事例を紹介させていただいています。店舗情報が特定できる情報は伏せておりますが、事例写真の公開に不都合がある場合にはご一報ください。

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この記事を書いた人

味藤絵美子
有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。

EC事業コンサルティングを行う「コマースデザイン株式会社」の社員ブログです。

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