社内勉強会レポート:自転車グッズのキアーロ

こんにちは、川村です。 2017/04/11、大阪のネットショップ「自転車グッズのキアーロ(テラオ株式会社)」の佐々木伸一さんが、当社に遊びにきてくれました。 社内でミニ勉強会を開催し、これまでの取り組みや、最近お考えのことについて、お話を伺うことができました。以下、ご本人に許可をいただいて、簡単にレポートします。

自転車グッズのキアーロ佐々木さんのご紹介

佐々木さん(通称ヨナーイ)は、ネットショップ業界の有名店長で、日々最前線で店舗運営をしつつ、並行して全国で講演をされています。少し前は、楽天のイベントにてキングコング西野さんと講演されていました。

元々、岩手の酒造メーカー「あさ開」で「オリジナルブランドの商品(日本酒)」を販売し、ショップ・オブ・ザ・イヤーを6度受賞するほどの人気店に育てあげました。結婚を機に、全く違う特性をもつ「型番商品(自転車用品)」を販売する大阪の会社に、役員として参画。激戦のジャンルであるにも関わらず、なんと2年間で売上を2.5倍以上に伸ばし、利益も大きく伸ばしました。

メーカー直営店でのオリジナル商品販売と、 仕入れ型店での型番商品販売は、 運営スタイルが全く違う・・というのが業界の常識です。

にも関わらず、両方で大きな成果をあげられたのは、それぞれの商品特性を超えた「より本質的・根本的な観点」から商売を捉え直し、再定義し、お客さんに価値を伝えていったからこそだと思います。

以前からお話を伺う機会は多くありましたが、今回は弊社内での勉強会として、これまでを振り返りつつ、最近のお取り組みや将来の展望について、お話を伺いました。

キアーロさんから伺ったお話

大変勉強になりました!かなり色々伺いましたが、以下、講演内容を一部抜粋してお届けします。

佐々木さんが入社してからやったこと

  • 着任後、一番最初に、広告とポイントを一切やめた(コストカットの「止血」施策)
  • 売上は下がるが、オーガニックな売上が分かり、店舗の正しい実力を把握できる
  • 正常な状態になったところで、ボトルネックを特定して、施策を実施
  • 具体的には、優先度の高いSEO対策&問い合わせ対策。集客効果・転換率向上・業務効率化を実現

現状を正しく把握する・・のが大切なのですが、「売上が落ちるのが怖くて、広告とポイント頼みの運営をずるずる続けてしまう・・」というのはよく聞く話です。大局観を持ち、原理原則に沿って冷静に進めていくことが大事ですね。

途中、CPC広告で失敗をしたり、常に順風満帆だったわけではないそうですが、改善を続けた結果、客単価も上がり、売上とともに利益もアップという実績に至ったとのこと。

現在と今後に向けた取り組み

  • フォローメールや同封物などの顧客接点を通して、店としての考え・メッセージを伝えてきた
  • 共感した旨のメールやレビューが多く届いている。成果ばかりを追ってしまいがちだけど、店としての根本・あり方が大切
  • 売上・利益・業務効率などの守りの施策をしっかり打ち、土台が整った所で、攻めの施策「独自化」を強化
  • 従来の主力商品に依存せず、お客さんの動向を観察し、オリジナル商品を企画するなど
  • かつて売上の主軸だった商品が価格競争になり、追随しなかったので売上が激減しかし、別の商品群で、それ以上の利益が作れている
  • 更に、メーカーと共同で、お客さんの安心感が高まる企画を開始
  • メーカー側の立場や志を理解し、担当者と関係を作り、メーカーの意を汲んだ絵を描いて持ちかけたそう

お話を聞いていてとても驚いたことは、「メーカーと良好な関係を作って、一緒に企画をしていること」でした。商いの世界で有名なことばに、近江商人の「三方良し」(売り手良し・買い手良し・世間良し)があります。私は前々からこのことばに対し、「作り手は…?」と疑問を思っていたのですが、キアーロさんのお話を聞いて、さすがだなあと思いました。

丁寧にコミュニケーションを取り、各方面に筋を通し、手堅く実務を回している「八方良し」のビジネスモデルだと思います。

自転車の未来の話

最後に、今後の未来予想をお聞きしました。すると、予想外のことばが。

「自転車は、将来的になくなると思ってる」

自転車グッズを販売している方の口から、まさかの自転車消滅論です。今、自転車を使う層はどんな人達なのか。将来どうなるのか。自店舗はどうするか。先々を見通し、「自転車がなくなる、その先のこと」まで、既にプランを練っていました。しかも、慌てふためくことなく楽しんでいる様子に、ただただ脱帽した講演でした。

講演後も、弊社メンバーから「メーカーが顧客視点を持つには?」「物語を作るコツ」「商品登録オペレーションのポイント」などなど質問が相次ぎ、タイムオーバーに。「肩たたきあって笑い合える関係なら、大概のことはうまくいきますよ」という言葉が印象的でした。

キアーロ佐々木さんからのコメント

最後に、佐々木さんからコメントをいただきました!

    • 前職時代に知り合ってから、坂本さんの

「基礎を大切に実力を上げる」

    • コンサルティングに共感し、長くお友達としてお付き合いさせて頂いてますが、ようやく普段から愛用している無料ツールの開発者さんや、転職して入社された顔なじみさんなど、コマースデザインの皆さんともお話しすることが出来ました(笑)。

 

どうしても効率の良い(楽ができる)施策や派手な売り方に目が行きがちですが、オリジナルと型番の両方を体験して思うのは、基礎力の高さが最強だな、という事です。お魚をキレイに食べ切るような商売が残って行くんだろうなと思っています。

私の知る限り「最も上手な魚の食べ方」を考えるコンサルさんですので、今後とも店舗の現場からのお話とコンサルさんの視点で、上手にシナジーを創りつつお付き合いさせてください。

この度はお邪魔させて頂き、ありがとうございました!また遊びに行きます(笑)

今後も、ゲストをお招きしての勉強会を予定しています。弊社メンバーは、このように様々な機会を通して学びを深め、クライアントと業界の皆様に貢献すべく、日々研鑽を積んでいます。頑張ります!

PS
「基礎を大切に実力を上げる」コンサルティングに興味のある方は、弊社までお声かけください。弊社のコンサルティングでは、「長く使える、本質的な考え方とノウハウ」を提供しています。

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この記事を書いた人

川村 トモエ
コマースデザイン株式会社 取締役 コピーライター/コンサルタント
ライターからEC業界に転身。商品コンセプト立案やキャッチコピーなど「売れないオリジナル商品」の立て直しを得意とし、ヒット商品を多数企画。中小規模の店に対してわかりやすいコンサルティングを提供しつつ、講演や寄稿も行う。黄色本・マンガ本の著者でもある。
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