売上目標を現実的に考える方法

こんにちは。コンサルタントの味藤です。

当社では、ネットショップ向けのコンサルティング・サービスを提供しています。そこで、店長さんやEC担当者の方から、よく「○ヶ月後に、売上○万円にしたい」というご相談を頂きます。

例えば、会社や上司から言われた数字目標や、「同じ商材で他社がこれくらい売れてるから、うちも同じくらい売れるはず」などの理由で、売上目標を考えている方、多いんです。

でも、それって、本当に現実的な数字ですか?
「月商◯◯万円を達成したい」と考えたものの、「何をどうすれば実現できるのか‥」と途方に暮れた経験、ありませんか?
理想を高く掲げる意欲はすばらしいですが、現実的な目標でないと達成までの道のりが遠く、途中で嫌になってしまいませんか?

そんな方に、「ネットショップの売上目標の立て方」と「達成のための計画」を考える方法をお伝えします。

基本の考え方

例えば、仮に、「月商500万円」を目指すとしましょう。
でも、この数字だけを見ても、この目標を達成するために「何をすればいいか」は想像しづらいですよね。

目標を「因数分解」して具体化しよう

そういう時は、目標を分解して考えるんです。
「目標の月商」を「客単価」で割ってみてください。

  • 例:月商500万円÷客単価5000円=月1000件

こうすると、単なる数字が、リアルな目標になります。
「月商500万円」よりも「月に1000件売る」方が、何をしないといけないか、イメージがつきやすいですよね。

それに、そもそもが無茶な目標なのか、現実的に達成できそうな目標なのか、という判断もつきやすくなります。

このようにして、売上目標を、具体的な数字に落とし込んでいくわけです。
では、順番に分解していきましょう。

1:必要出荷数で考える

必要な販売数を求める

先ほどのおさらいです。
まずは、「どれだけの数を売らないといけないのか」を把握しましょう。

上記の例と同じ考え方です。必要な販売数は「月商÷客単価」です。

ご自分の店の数字を当てはめて、考えてみてください。

月商「◯◯万円」 ÷ 客単価「◯◯円」 =必要な販売数「◯◯件/月」
何件必要でしたか?現在と比べて、どうですか?

必要な出荷数を求める

次は、「売上目標を達成した場合、毎日どれだけ出荷しないといけないか」を考えます。

例えば、「1000件の商品を、営業日20日間で出荷する」とするとしましょう。

1日あたりの出荷数は「1000件÷20日」で求められますから、「1日あたり50件」を出荷することになります。ご自分の店に当てはめて、考えてみてください。

注文件数「◯◯件/月」 ÷ 営業日数「◯◯日/月」 =必要な出荷数「◯◯件/日」
何件でしたか?現在の出荷数と比べていかがでしょうか?

場合によっては、物流の外注やパートさんの雇用等、体制を変える必要があるかもしれません。

2:必要な来店客数で考える

今度は、少し切り口を変えて、どれだけの人に来店してもらう必要があるかを考えます。

必要来店客数を考える

月間1000人に売るとして、サイトの転換率(来店客のうち、実際に買う人の割合)が「1%」だとしましょう。

なんと、必要な来店客数は「月間10万人」です

販売件数「◯◯件/月」 ÷ 転換率「◯%」 =必要な来店客数「◯◯人/月」

今の来店客数と比べてみて下さい。いかがでしょうか。達成できそうでしょうか。

広告での集客を考える

これらを踏まえ、広告を使って集客する場合を考えてみます。

仮に現在、普通に集客できている人数が「1万人/月」だとしましょう。
10万人集めるために、残りの9万人を広告で呼ぶとします。

そして、楽天広告が、1クリック100円程度かかると仮定すると、9万人を呼ぶのに、いくらかかるでしょうか。
1クリック100円だと・・900万円のお金がかかりますよね。

広告の目標集客数「◯◯人/月」  ÷ 広告のクリック単価「◯円」 =広告費用「◯◯円/月」

売上や得られる利益と比べてみて下さい。
広告だけでは無理だということが分かります。

SEOでの集客を考える

今度は、その9万人を呼ぶために、SEO対策をやるとします。

御社ページの商品数や来店キーワード数から、何をどうしたらいいか考えてみて下さい。
商品数を増やすか、キーワード数を増やすかをしなければ、目標にはほど遠いことが分かると思います。

3:その他の販促で考える

商品登録で考える

前述の9万人の集客を、商品数を増やして目指すのであれば、それなりの商品登録数、商品撮影数、商品ページの制作数が必要です。

登録・撮影・制作、それぞれの工程で、どういったスタッフが必要か、自分でやるのか外注にするのか、人件費や外注費はどの程度かかるか・・・。
様々な要素を洗い出しつつ、目標値を決めて、1日あたりどれぐらいアップしていくのかを考えてみると、具体的にイメージができそうですよね。

リピートで考える

「リピート中心の商材だから、あまり商品登録はしない」というビジネススタイルの場合は、「どの程度のリピート数が必要か」で考えられそうです。
例えば、500万円の売上のうち、「300万円をリピートでまかなう」と仮定します。

新規客のうち、どの程度の人にリピートしてもらう必要があって、その為には何をすべきで、そもそもの数字が現実的なのか、といった、因数分解が大切になります。

4:仕入と生産で考える

仕入金額で考える

そもそも500万円売るには、「仕入金額がいくら必要か」も考えないといけませんよね。
例えば粗利が50%なら、少なくとも250万円の仕入が必要になります。

250万円の仕入がすぐに500万円に変わるわけではないので、在庫回転率の考え方も必要です。
そう考えると、まず250万円の仕入を起こすことを目標に、利益を作っていく必要があると思います。
経営計画を作り、「銀行からお金を借りる」といった考え方も必要となってくるでしょう。

※商品数を増やす場合は、既存の仕入ルートだけでは足りないかもしれません。
 どのように新規ルートを開拓していくかも、考える必要がありそうです。

生産体制で考える

自社で商品を作る場合は、材料費や人件費などが仕入金額になります。

ただ、仕入と違って、単純に体制を強化して生産効率をあげようとすると、固定費がかなり上がってしまう懸念があります。
莫大な投資をして工場を大きくしたり、設備を増やしたりする前に、既存のスタッフで早番と遅番を作って稼働時間を延ばし、機械が寝ている時間を減らすなど、できる工夫がありそうです。
ちょっと話がそれましたが、ご参考までに。

最後に

多角的に見るのが大切

以上のように、500万円という売上目標を一言口にするだけでなく、それをいろんな角度から検証していくと、どの程度目指すのが大変であるか、何ができれば500万円を目指せるのか、具体的な道筋が見えてきます

一足飛びに売上目標を目指すのではなく、それぞれのステージで必要な数字を見極めて、3年計画や5年計画で目指していくことが必要ですね。

以上は、あくまで例です

今回お伝えしたかったのは、「目標達成のためには、上記を分析すればOK」ということではありません。
「目標を因数分解していくと、現実的な道筋が見える」という点です。

商品や業種によってご事情は異なるでしょうし、それぞれお悩みになるポイントも違うかと思います。
ただいずれにせよ、「悩んだら、手頃なサイズに分解する」という考え方を大切にして下さい。

P.S.

このように「目標の実現に向けて、何をすべきか分からない」「プロに客観的に見てほしい」など、お悩みがおありでしたら、弊社コンサルタントがサポートします。ご興味ある方は、以下のページを是非ご覧ください。

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この記事を書いた人

味藤絵美子
有名EC企業にて、店舗の立ち上げから店長まで一連の運営業務を経験し、実績を重ねる。その後、食品メーカーに転職、衰退した人気店の建て直しに尽力。2年間でアクセス数4倍、転換率2倍とし、再成長させる。メーカー型、仕入れ型、大規模、小規模共に経験している守備範囲の広さが強み。ネットショッピングが大好きで、女性ならではの柔らかい物腰の中に、鋭いお客目線が光る。

EC事業コンサルティングを行う「コマースデザイン株式会社」の社員ブログです。

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