売上が激減している…理由は〇〇だった!季節イベントのタスク管理から学んだ教訓

こんにちは。コンサルタントの亀田です。
今回は、季節イベントなどにおける「タスク管理」について。

弊社のご支援先のネットショップから、ある時「売上が激減した!」とご相談を頂きました。そこで原因を調べた所、「商品ページの転換率」が半減していたんです。
更に調査を進めると、季節イベントのタスク管理ができていなかったために、商品ページの転換率が半減し、売上がガタ落ちしていることが分かりました。すぐに対策を打った所、無事に売上が元に戻りました。

なぜ、転換率がこんなにも下がったのか?どんな対策を取ったのか?
今回は、季節イベントにおけるタスク管理の失敗事例と、失敗を未然に防ぐための考え方をご紹介しします。

はじめに

季節イベントは、「父の日」「母の日」のようなシーズナルなギフトイベントもそうですし、クリスマスや行楽シーズン、楽天のスーパーセールなども該当します。
新商品の発売キャンペーンは、季節イベントではないですが、キャンペーン管理として同じように捉えることができます(商戦シーズンがいつになるかは、商品のタイプによるところもあります)。

こうしたイベントやキャンペーンの管理について、みなさんはどのような対策をしていますか?

私たちは、日々様々なクライアントさんをご支援していますが、なんとなくイベントを管理していて、売上の機会喪失をしているケースが、実は結構多いのではないかと考えています。

そこで今回は、具体的にイメージできるように、「季節イベントの管理をやらなかったために、うまくいかなかった失敗事例」をご紹介します。

次に「なぜ記憶ベースの雑なタスク管理になり、トラブルが頻発してしまうのか?」という構造の問題を説明し、小さい組織やひとりでもできる「季節イベントの管理方法」をご紹介します。
イベント管理の手法については、ショップオブザイヤーを獲るようなネットショップでの事例も触れています。ぜひ参考にしてみてください。

売上が半減!季節イベントで、うっかりミスで失敗した事例

それは、7月も後半のことでした。
私がご支援しているネットショップの方から、「売上が落ちた、大変だ!」「売上が半減してしまった!!というご相談があったんです。

売上が落ちたら、因数分解して原因を特定しよう

「売上が落ちた」という相談をいただいたら、やることは大体決まっています。
以下のような流れで、売上が低下した原因を特定していきます。

1.「どの商品の売上が落ちているか」を確認する
2.売上が落ちている商品を特定したら、「いつからどのくらい落ちているか」を調べる

3.「アクセス数が減ったのか」「転換率が下がったのか」「客単価が落ちているのか」を調べる

売上が大きく下がった原因は、実は〇〇だった

大抵はアクセス数が減っているケースが多いのですが、今回は「転換率が半減している」ことが分かりました。ある商品ページの転換率が「7%から3~4%まで低下」していたんです。

なぜ転換率がここまで大きく下がっているのか。更に調査を進めた結果、原因が分かりました。なんと、「父の日が終わっているにも関わらず、うっかり父の日バナーを載せたままだった」からでした。

古い案内がページに載ったままだと、お客さんからすると「このお店って、ちゃんと運営されているの?注文して大丈夫…?」と不安になるもの。季節にあっていない訴求は、お店のイメージダウンや転換率を押し下げる原因にもなるんです。

そこで対策として、「父の日」のギフト訴求を、「夏ギフト」や「季節に偏らないギフト」に差し替えるなど、ページの調整をしていきました。その結果、転換率は1週間ぐらいで元に戻り、無事問題が解決しました。

単純な作業モレが発生してしまう「構造的問題」とは?

それでは、「なぜ、このようなことが起こるのか」「どうしたらいいか?」を掘り下げて考えてみましょう。

イベントはやることがたくさんあって大変

そもそも、イベントはたくさんやるべきことがありますよね
例えば、「父の日」イベントでは、以下のようなタスクが発生します。

イベント準備
  • 特集ページの作成
  • バナーの作成と掲載
  • サイト内の導線の設定 etc
イベント開始(販促)
  • メルマガ&SNSの送信(早割の開始)
  • ページの訴求調整(早割終了間近)
  • メルマガ&SNSの配信(早割終了間近)
  • ページの訴求調整(早割終了→一般販売) etc
イベント終了間近~終了まで
  • メルマガ&SNSの配信(父の日着の〆切間近)
  • ページの訴求調整(「遅れてごめんね」企画)
  • メルマガ&SNSの配信(「遅れてごめんね」企画)
  • イベント終了後の対応(バナーの取り下げ。ページや導線の修正)erc

ここではざっくりとしか書いていませんが、早割開始やイベント終了間際には、細々したタスクも増えます。このように「父の日」のような大きなイベントは、開始から終了までたくさんやることがあるわけです。

構造的問題を引き起こす2つの要因とは?

誰がいつ何をするのか、作業着手や完了の日程を決めておけば、タスク自体は管理することができます。なので淡々とタスク管理し、実行していけばいいのですが、ちゃんとできていないから問題は起こります。

このような状況には、構造的に2つの問題があります。1つは「リーダー依存」、もう1つは「記憶依存」です。
依存状態に陥っており、適切にタスクを管理できていないと、今回の事例のようなことが起こったりするんです。

・社長やリーダーの記憶ベースのタスク管理になり、メンバーは指示に従って作業する
  ↓
・社長やリーダーから何も指示がない場合、メンバーは作業しない
  ↓
・作業にヌケモレが発生する。父の日バナーが載せっ放しでも誰も気づかない
  ↓
・転換率や売上の低下が起きる

職場によっては、メンバーが気づいて「父の日バナーが載ったままですけど、大丈夫ですか?」と指摘してくれるかもしれませんが、タスクを適切に管理していないと、そもそも作業モレに誰も気づけないこともあり得ます。

作業のヌケモレをなくす!タスク管理の考え方

では、リーダーに依存せず、リーダーやメンバーの記憶にも依存しない仕組みを作り、確実にキャンペーンやイベントを運用するにはどうしたらいいか?

その解決方法が、季節イベントの「タスク管理の考え方」です。
これは、季節イベントに限らず、楽天スーパーセールや新商品のリリースなどにも適用できます。

例えば新商品のリリースでは、常連のお客さんに特別割引で案内したり、クーポンを配ったりしますよね。販売実績がある程度たまったら、大々的に広告を打ったり。このように徐々にアクセルを強め、ギアを上げる販促活動においても、この考え方は有用です。

カレンダーに日程を入れるだけ…では危険な理由

では、具体的にどのようにタスクを管理すればいいのか?
おそらく皆さんは「Googleカレンダーに、イベントやタスクの日程を入力すればいい」と思ったことでしょう。

それはそれで正解ですが、別の課題があるのです。実際に試してみると分かりますが、カレンダーにタスクを登録し、リーダーが自分でリマインドする方法では、リーダーがカレンダーを見ることを忘れるリスクがあります。

可能性としては低いかもしれませんが、緊急事態が起こった場合はどうでしょう?
例えば取引先が倒産してしまったら、リーダーが「バナーを下げる」というシンプルなタスクを忘れてしまい、作業がモレてしまう恐れがあります。これはまさにリーダー依存が引き起こしているミスです。

「タスク管理+定例会議」でリーダ依存&記憶依存を解決

そこで、「リーダー依存」「記憶依存」を脱却するための対策をご紹介します。

まず、記憶依存を避けるために、カレンダーやExcel・スプレッドシートを利用し、タスクを記録して管理しましょう。そして、今からお伝えする方法をぜひやってみて頂きたいのです。

それは、定例会議です。毎日決まった時間にミーティングし、次にやるべきタスク、「誰がいつ何をするのか?」を確認します。季節イベントの管理も、会議での確認事項に入れておくといいでしょう。

実際、ある有名な店舗では、カレンダーに記入し、毎日の定例会議でタスクを確認していました。会議といっても、朝礼の後、シンプルに「今日やることの確認」が主な内容です。エクセルなどの進行表を使い、以下のような流れでタスクを確認していきます。

・ホワイトボードの前に集まる(Zoomでも◎)
 ↓
・その日のタスクの確認をする(例:〇月〇日にXXXをします)
 ↓
・タスクの進捗を確認する(前回発生したタスクについて、完了したかチェック)

詳しい定例会議の進行方法については、こちらのブログを参考にしてください。

進行管理役は、期待の若手に担当してもらうのも〇

このような定例会議には、進捗チェックに加えて、もうひとつ重要な要素があります。
それは、会議を仕切るリーダーの存在です。

リーダーは、社長や店長がやってもいいですが、常に考えなければならないことがたくさんありますよね。また、立場が強すぎて「トップの指示通りにメンバーが動く状態」が常態化する恐れもあります。

そこで、メンバーに主体的になってもらうためにも、社長や店長とは別に、進行管理リーダーを決めておくといいでしょう。学校の日直のように持ち回り制にするのも1つの方法ですが、「この人はリーダーができるかもしれない」という、期待の若手に仕切ってもらうのもいい案です。

やると決めたことを、実行しきることが大事

重要なのは、決めたことをしっかり実行することです。
しかし、この決めたことをきちんとやり切ることが、意外と難しいんですよね。

だから、カレンダーやエクセルに「〇月〇日、誰が〇〇する」と記入し、定例会議で「このタスクは済みましたか?済んでませんか?」と定期的に確認するのです。
すると、「すみません、まだ終わってません」と言いたくないから(笑)、みんな自然と動くようになり、業務がスムーズに進むようになります。

まとめ

今回は、季節イベントの売上激減の事例を元に、タスク管理の考え方を紹介しました。
これは、季節イベントだけでなく、新商品のリリースやキャンペーンにも適用できる考え方です。

タスク管理がしっかりできていないと、転換率や売上が激減したり、「新商品の注目度が上がらない」といったマイナスの影響が出る恐れがあります。大事な作業がモレて、売上や機会を損失してしまわないよう、きっちりタスクを管理しましょう。

この時、特に気をつけて頂きたいのは、「リーダー依存」と「記憶依存」です。
お店が小さいと仕方ない点もありますが、ある程度事業が大きくなり、「作業モレが起きている」「カオスだな…」と感じたら、体制を整えて改善すべきタイミングです。

ぜひ、今回お伝えした「タスク管理」&「定例会議」を検討してみてください。

P.S.

タスク管理の強化がマストであることはわかっていても、最初はメンバーの顔色が気になったり、周りへの負荷を考えると「どう説明しようか」と悩むことも多いのではないかと思います。実際、どんな良策もチームの連携や協力は不可欠ですから、タイミングや伝え方は非常に大事です。
弊社コンサルタントは、スムーズに対策を打てるよう、親身かつ客観的な視点でサポートいたします。一歩踏みだす思い切りがつかずお悩みの方は、ぜひお気軽に弊社にご相談ください。

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この記事を書いた人

亀田 直人
大手印刷会社にて人事を経た後、営業として、店頭を中心とした様々な企業の販促支援に従事し、紙から鉄まで多様な企画・制作に携わる。色数や印刷方法など、「成果物の完成度」にズレがちなクライアントの要望をそもそもの目的に合わせ整理し直すなど、「成果とコストの見合った効果的な提案」を得意とする。趣味はサッカー(ポジションはGK)、二児の父。

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