エデュテ杉谷さんに聞く「ECチーム、みんなでAI活用!」【黄色本 出版1周年記念 ★ EC探訪記vol.1】

EC事業者のチームの教科書として好評の「売れる!EC事業の経営・運営」出版から1年が経ちました。そこで、出版1周年記念として、書籍を愛読いただいている方の「オフィスに訪問し、書籍活用事例を伺うインタビュー記事」をお届けします!

おかげさまで弊著は、EC事業者のチームの教科書として、そして日々の運営相談ができるAI「コマのすけ」が付いた実践書として、多くの現場で活用いただいております。「しっかりとチームで読み込んで実務に活かしている」「コマのすけが頼れる相談相手になっている」といった嬉しいお声も数多くいただくようになりました。

330ページにわたるEC経営・運営ノウハウの全てを頭に入れたカスタムGPT「コマのすけ」は、EC事業について何を聞いても的確な回答をしてくれる、まさに理想的な相談相手としてかわいがってもらっています。

そんな「書籍の活用事例を直接お話を伺うシリーズ第1弾」となる今回は、コンサルタントの槐(えんじ)とともに、知育玩具・ギフトの有名店エデュテさんを訪問。マネージャーの杉谷かおりさんに「EC運営におけるAI活用のリアル」について具体的に伺いました!

  • 杉谷さんはAIをどう活用しているのか?
  • AIと働く時代、これから必要なこととは?

AI活用どうしよう…と悩んでいるEC事業者さんのヒントになるはずです。ぜひ最後までお読みください。

「赤ちゃんの木のおもちゃ・知育玩具の公式通販エデュテ」にお邪魔しました

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坂本&槐:本日はよろしくお願いします!

杉谷さん:よろしくお願いします!

坂本:まずはエデュテさんについて教えてください。

杉谷さん:私たちは、0歳から3歳くらいまでの子向けの「木のおもちゃ」や「海外のベビーグッズ」を取り扱っているメーカーです。大体30代から40代のお子さんがいらっしゃる女性の方にご利用いただいています。

出典:エデュテ本店(https://www.edute.jp/)

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▶︎エデュテ楽天市場店(https://www.rakuten.co.jp/edute/)

エデュテさんの現在地

「チームはうまく回っている」

坂本:ECチームは現在どのような体制で運営されているんですか?

杉谷さん:本店、楽天、Amazonの各担当者1名ずつと、デザイン1名、SNS担当1名の5人チームです。私が統括しています。

坂本:チームの運営状況はいかがですか?

杉谷さんチームはうまく回っていると思っています。エマジェネティックス(注:人の行動や思考の特性を数字と色で見える化するツール)や、毎日朝礼でのタスク管理、それから月に1回のスタッフとの個人面談を取り入れて、メンバーの特性を理解するようにしています。

坂本:月1でメンバー全員とお話をされてるんですか!

杉谷さん:はい。面談では仕事や職場以外のプライベートなことを話しています。この時間を取ってから、私のスタッフに対する理解度がすごく深まったんですよ。「ここまでだったらお願いできるな」「そろそろきついだろうな」といった感じで、タスク面も精神面もフォローできるようになりました。

坂本:素晴らしいですね。

本はスタッフ教育に活用している

「私の言ってることはこの本に書いてるから読んどいて」

坂本:そんな状況の中で「売れる!EC事業の経営・運営」は、どう活用していますか?

杉谷さん:スタッフ教育に使っています。「私の言ってることはこの本に書いてるから読んどいて」みたいな感じです。

坂本:メンバーと話す際に、本をペラペラ見ながら話す感じでしょうか?

杉谷さん:そうですね。主に楽天担当者と私とで、一緒に読んでいます。「今、自分が何に困っているか」を逆引きできるのが便利ですね。全部は読まなくてもいいので、とても使いやすいです。

坂本:ありがとうございます。「家庭の医学」みたいな感じですかね。

「お互いに何をしているかを知っていれば、いざこざも減る」

坂本:ちなみに、どの章がヒントになったとかありましたか?

杉谷さん:私は「バトンリレー」のところですね。「組織がうまく回る状態」を言語化してメンバーに話したことはなかったので、新しい気づきでした。

坂本:具体的にはどのような気づきでしょうか。

杉谷さん:例えば、スタッフ層だと「バックヤードが何をしているのかわからない」みたいなことがありますよね。「なんでこんな忙しいの」とか「なんで在庫ないの」といった不毛ないざこざがあったりとか。

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坂本:はい。

杉谷さん:でも、同じ組織の一員として、お互いに何をしているかを知っていれば、いざこざも減るし、組織も変わる。この点、私が部下に伝えなきゃいけないところだったなとすごく反省しました。

「担当者が1人で本を読んで問題解決できるように」

坂本:ほかに書籍を読んで何か実践したことや、変化を感じたことはありましたか?

杉谷さん:以前は、楽天担当者が「杉谷への質問の仕方がわからない」という悩みがあったんです。私も「聞かれないから教えられない」状態でした。
でも、この本には「私が知っている答え」がたくさん書いてあるんですよ。なので担当者が1人で本を読んで問題解決できるようになりました。「これどういう意味ですか?」とかの質問も全然ないです。

坂本:自己解決が進んでいると。それは素晴らしいですね。

杉谷さん:あと本とは別なんですけど、ブログも読んでいます。特に私が!

ECをやってると、どうしても「うちがどう」とか「競合がどう」といった自社の狭い足元しか見なくなりがちなんですけど、坂本さんのブログは「ECの動向はこうなんだ」みたいな大きなところを書いてくれるので、私個人の知識として役に立っています。そのまま偉そうに社内の朝礼なんかで使わせてもらってます。

坂本:ありがとうございます!

「コマのすけ」の活用実例を見せてもらいました

「こういう数字なんだけど、何か販促で打つ手ない?」

坂本:書籍にはAIコンサルツール「コマのすけ」がついていますが、どう使われていますか?感想文では「チームで活用されている」とありました。

杉谷さん:コマさん(=コマのすけ)は、私と楽天担当者の2人で使っています。一番使ってるのは私だと思います。
テクニカルなところというよりは、アイデア出しで使っていますね。「こういう数字なんだけど、何か販促で打つ手ない?」みたいに日々の相談をするときに話しかけています。

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坂本:壁打ち相手ですね。

杉谷さん:はい。私が見逃してるところはないか、コマさんにチェックしてもらっている感じです。

「ChatGPTはコマさんほど具体的ではない」

坂本:コマのすけは「SNSインフルエンサー活用」「SEO」といった販促の分類を理解しています。なので、状況を伝えると「これがまだできるかも」といった提案をしてくれますよね。

杉谷さん:そうですね。

坂本:例えば「Aはできているけど、Bはまだ」といった施策の幅の面と「お客さんに十分に魅力が伝わってない」といった施策の深掘りの面、両方が十分に足りているかをチェックして、伸びしろを見つけてくれる。

杉谷さん:まさにそんな感じです。しかも具体案を出してくれるので、次のアクションも楽です。チャッピー(ChatGPT)も「クーポンやりなよ」「SNSやりなよ」っていうのは出せますけど、コマさんほど具体的ではないんですよね。この具体性がものすごく良いです。

「ポイントだけじゃなく、二択で提案を出してくれる」

坂本:差し支えなければ「コマのすけ」との対話の履歴を見せていただけませんか?

杉谷さん:いいですよ(笑)。使い方があってるかわかりませんけど。私のコマさんの履歴、すごいですよ。

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坂本:ほうほう、なるほど。

杉谷さん:このときは「本店を伸ばしていきたいよ。全体の売上比率はこうだよ」って相談したんですね。そしたら、コマさんすごくて。「ポイントはこうです」だけじゃなく、二択で提案を出してくれたんですよ。「これします?それともこうします?」みたいな。だから、あとはそこから選べばどんどん話が進むんです。「どれが活かせそうですか?」「じゃあこれやりたいです」といった感じで。

坂本:対話しながら、さらに具体化していく感じですね。

杉谷さん:そうですね。ほかのケースもあります。
「本店で買うメリットが分からない」と私自身が思ってコマさんに、今うちがやってるサービスを伝えたんです。そうしたら、コマさんが「やってることはすごいから、これをちゃんとお客さんに見せないと」っていうのを教えてくれて。で、それを前提にうちのページを見たときに、やっぱり打ち出し方が弱いと思って。実際に「やろうかな」と思うに至ったんです。

坂本:「できているつもり」を、揺さぶってくる。

杉谷さん:そう!そうなの!それで再確認してみると、やっぱりできてないっていうのが結構あるんですよね。

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※編集部注:伏せ字にしました

坂本:先ほどの「幅と深掘り」の話ですね。
いやあ、コマのすけには「こういう時にこう言って」っていう設定はしてるんですけど。なんだか僕の想定を超えた活躍をしていますね。自分が作って送り出した子供がなんか愛されている感じがして面白いです(笑)

AIと働く時代。これからの人材育成に必要なこと

「AIの使い方は人によって全然違う。だからこそ共有した方がいい」

坂本:コマのすけの履歴は、メンバーにも見せていますか?

杉谷さん:いえ、していないです。やっぱり見せた方がいいですよね。

坂本:そうですね。1人で生成AIを使っていると、その人なりの使い方になってしまいます。なので、チームでどんなことに使っているか共有する場を持つと「こんな使い方してるよ」「それってどうやってやるの?」みたいな感じで使い方のアイデアが浮かんでくるようになりますよ。

坂本:生成AIって一人の閉じたデバイスの中で使いますからね。周りからは見えないので、他の人がどういう使い方してるのかの情報ってとても貴重ですよ。

杉谷さん:そうですよねー。うーん、恥ずかしいところもあるんですけど(笑)

たしかに、AIの使い方とか見方って人によって全然違いますね。同じ会社でも、ポジションによって全然使わない人もいるし、興味や関心も、レベル感も全然違うと思います。だからこそ共有した方がいいんでしょうね。

坂本:そうですね。人間って、話を聞いたときに「体験したことはないけどやってみよう」となる人と「体験してないことはやれない」となる人と、2タイプにわかれるんです。後者のタイプの人には、実習のように手を動かして「ああ、なるほど」となる機会を作ってあげると1歩目がスムーズになると思います。

杉谷さん:一緒にコマさん使ってるメンバーにも、どう使ってるか聞いてみます。

「AIと働ける人間」をどう育成するか

坂本:「AIを活用した意思決定」について整理したいです!ホワイトボード使ってもいいですか?

杉谷さん:どうぞー!(笑)

坂本:データをもとに方針を決め、実行に持っていくためには、いくつかのステップがあります。

仮に(1)データを取り出して(2)整理して考えて(3)方針にして(4)打ち手に落とし込んで(5)実行、完了する…だとしましょう。でもこれまでは、このステップをまとめて一度にやろうとすると、人間にとても大きな負荷がかかって大変でした。

杉谷さん:はい。

坂本:でも、今はもう、この各ステップをAIが補助する時代になりました。例えば、最初のデータの取り出しとか、2つ目の「整理して考える」ところはAIやってくれますよね。

方針についても、AIが加工して出したレポートについて、AIに「どう思う?どういうことが言える?」と聞けば、選択肢A・B・C案を提案してくれるようになった。

杉谷さん:そうですね。

坂本:つまり、段階的にAI対話しながらステップを実行していけばよくなった。もっと端的に言えば「AIが提示する選択肢の中から、どれがいいかの方針を決めればいい」わけですね。

杉谷さん:エデュテでは(3)の方針作りでまだAIを活用できていないと思いました。数字を読んだだけで終わっている状況です。もうちょっとAIに頼るべきなのかな…。でも頼るとしても「AIへの聞き方」をまず知らないと、たぶん希望する答えは出てこないと思います。ここは人間側を強化しないといけないところですね。

坂本:そうですね。それに付け足して、AIが挙げた方針A・B・Cのどれがいいのかを判断する力も必要ですね。今は杉谷さんだから判断できるのであって、わからない人は選べないと思います。

杉谷さん:確かに!

坂本:だから、ここで人の役割が出てくる。AIに相談して実行する流れではあるけれど、都度「こっちじゃなくてこっち」「やるのはここまで」と指示して意思決定する人が必要

つまり「AIの提案をもとに、どこまでやるか・やらないかを判断できる”AIと働ける監督役の人間”をどう育成するか?」が、AIの活用と同じくらい重要な問いになるっていうことですね。

この「AI監督役の人間の育成」ってAIの話とは別なので要注意 …あれ、僕、めっちゃいいこと言いましたよね。(笑)

杉谷さん:そうですね。そう思います(笑)

坂本:「AIの活用」と「AIと大局で対話ができる人材育成」の両方が大事ですね。自分で言うけど、弊社の得意分野です!

ECの担当者層にもマネジメント層にもおすすめしたい

坂本:では、最後に「コマのすけ」や「売れる!EC事業の経営・運営」をどのような方におすすめしたいか教えていただけますか。

杉谷さんECの担当者層にもマネジメント層にもおすすめしたいです。マネジメント層って、自分たちがこれまでにやってきたことのすべてを棚卸しした上でメンバーに引き継いで渡せるわけじゃないですよね。そんなときに、マネジメント層に代わって、すべてまとめて知識を渡してくれるのが、この1冊だと思います。マネジメント層も自分の時間が空くんじゃないでしょうか。

坂本:ありがとうございます。

杉谷さん:担当者層からしても、そもそも何もわからないと質問がはじまらないですよね。特に新人さんの場合です。知らない業界のことって、わけわからなすぎて質問がそもそも思い浮かばない。ベースがないと質問ができない。
でも「売れる!EC事業の経営・運営」を読み進めれば知識が蓄積されていくので、質問につながると思います。

坂本:マネジメント層からすると、EC運営の全体感が共有・共通化できるから、説明コストが下がる。もっというと組織もうまくいくかもしれない。担当者層からすると、何を聞いたらいいのかわからないときに、とりあえず本やコマのすけを頼れば自己解決ができたり、質問の切り口発見に繋がったりもする。うーん、なるほど。参考になりました。

おわりに

以上、エデュテさん訪問記「杉谷さんとのECxAI談義」をお届けしました。

今回、杉谷さんとのお話を通じて感じたのは「君たちはどうAIを活かすか」的なテーマが、いよいよ重要になってきたということです。

もはやAIを積極的に頼るのは大前提であって。フェーズ的にはすでに、チームでAI活用事例を共有するのはもちろんのこと、「AIの提案を判断・活用できる人材の育成」まで進んでいるように思います。

特に「AIと対話できる人材」が、これから大きなテーマになってくるのは間違いないはず。たぶん、どの業界も、この流れに乗っていくんだろうなあと思います。

ともかく。EC事業者の皆様にとって、日々の運営を前に進める力強い伴走者となれるよう、コマのすけも、私たちも、さらに歩みを進めていかねばと。そう決意したのでありました。

改めて、杉谷さんはじめ、エデュテのみなさん、ありがとうございました。

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