フジカン大塚さんに聞く「孤独な経営を支えた書籍とAIの話」【黄色本 出版1周年記念 ★ EC探訪記vol.3】

EC事業者のチームの教科書として好評の「売れる!EC事業の経営・運営」出版から1年が経ちました。そこで、出版1周年記念として、書籍を愛読いただいている方の「オフィスに訪問し、書籍活用事例を伺うインタビュー記事」をお届けします!

エデュテ様ユーチル様に続く書籍活用事例シリーズ第3弾となる今回は、コンサルタントの坂本が、愛媛県でカップラーメン専門店を運営する大塚さんを訪問。

かつての銀行から廃業を勧められるほどの苦境から、書籍とAIを武器に再起を遂げたお話を伺いました!孤独な戦いの中で、どのように学び、実践し、未来を切り開いていったのか。書籍が「指針」となり、AIが「相談相手」となったそう。

  • 地方EC経営者が直面する孤独な現実とは?
  • 書籍から学んだ「原理原則」が経営をどう変えたのか?
  • 一人でも実践できるAI活用の具体例

地方で、少人数で頑張るEC事業者さんに勇気を与える内容だと思います。ぜひ最後までお読みください。

カップラーメン専門店を運営するフジカンさんにお邪魔しました

坂本:今日はお時間をいただき、ありがとうございます。

大塚さん:よろしくお願いします。

愛媛県で問屋業を営む3代目の大塚さん。本業の問屋業が時代の変化で苦境に立たされる中、カップラーメン専門店「カップ麺まとめ買いのさんどらいふ」という独自路線で再起を果たしました。楽天市場での販売を中心に事業を展開。さらに、楽天をテコにBtoB事業も軌道に載せ、売上の多くを占めるまでに成長させています。

出典:カップ麺まとめ買いのさんどらいふ(https://www.rakuten.co.jp/fujikan/

しかし、地方でほぼ一人で全業務をこなす日々。周囲に理解されない孤独な戦いの中で、書籍とAIが大きな支えとなっているといいます。

「幅広い品揃え」から「専門店と独自価値」で再起

坂本:では、大塚さんが、現在に至るまでの経緯からお聞かせいただけますか。

大塚さん:はい。うちは愛媛県で問屋業を営んでいる3代目なんですけど、本業の問屋業が時代の変化で本当に苦境に立たされまして。一度は別の仕事に就いたんですけど、兄に呼ばれて家業に戻ってきて。その頃は経営的に厳しく、周囲からも将来を考えたほうがいいよと勧められるくらいでした。

坂本:厳しい状況だったんですね・・!そこからどうやって立て直しを図ったんですか。

大塚さん幅広い商品を扱う問屋から、カップラーメン専門店への転換を図りました。「◯◯◯」という独自価値を作って、大手にはできない差別化をしたんです。◯◯◯の工夫とか、いろいろやって。

実は楽天経由じゃなくて、一般の景品とかの卸もやってまして。東京の専門業者さんから景品を作って欲しいって言われて、オリジナルを作ったんですよ。それで去年は、かなりの売り上げがあって。

坂本:BtoBも大きな柱になっているんですね。

大塚さん:はい。楽天のお店を16年やってるっていうのが、信用力としては結構大きいですね。厳しい中で生き残ったんですよね、っていう意味で。

「楽天の店を16年とかやってるっていうのがやっぱり結構大きい」
社内に飾られた盾が、その信用の証です。

「坂本さんの本の内容がすごい僕には刺さったんですよね」

坂本:日々の運営はどのような体制で行っているんですか。

大塚さんほぼ一人でやってます。梱包も最終チェックは僕がやってるんですよね。送り状とその商品が合ってるかっていうのは。受注処理から商品企画まで、朝から晩まで働く毎日です。

坂本:そんな中で、書籍との出会いがあったんですね。

大塚さん:はい。僕は大体もうインターネットとか本が好きなので。いろんな人のテクニックの本ってあるじゃないですか。坂本さんの本はその本質的なことを、その普遍的なこと、原理原則とか、その内容がすごい僕には刺さったんですよね。

長期的に見る大切さとか。どちらかというとECってやっぱり短期的なテクニックの話も多いじゃないですか。それも大事ですけど、テクニックばかりだと長続きしないよっていうのもあったし。広告のことを「栄養剤」っておっしゃってましたね。栄養剤ずっと打つ、注射をずっと打つのは病気ですからみたいなことを何か書いてもらって。なるほどなって思って。

坂本:ありがとうございます。1人運営の中で、書籍がどんな役割を果たしましたか。

大塚さん指針になりましたね。周囲では自分の軸になるものが、「そうそう」っていうものがなくて。ネットとか「遠くにあるもの」に「そうそう」っていう感覚を持ちます。そうしていろんな情報や人と出会って。その点と点が繋がり始めて、気持ちよくなってきてます。

AIコマのすけが「相談相手」になった

坂本:AIコマのすけも使っていただいているんですよね。

大塚さん:ほとんどの業務を1人でやっている中で、「どういう風に売っていくか」とか悩んだ時にコマのすけに相談しています。

「部屋を作ったら時間ができた。集中できる時間が増えています」
一人運営だからこそ環境づくりに工夫を凝らしているそう。

大塚さん:まわりの店舗さんの話だと、意外とみんなAIそんなに使ってないですよね。

坂本:いやあ、僕の周りはもうかなり使ってますよ!

大塚さん格差すごい開いてますよね。やばいっすね。なんですかね、年齢のせい?

坂本:年齢じゃないと思います。澤井さん(※)は、学習速度が速くて「やってみました。オリジナルのプロンプト作ってみました。Pythonの本を買いました。今、GPTにPythonでプログラムを書かせています」って。信じられないその速さとパワーが、「自分で実務する」ほうに向いてたのが、いま仕組化に向いたので、えらいことになってます。

大塚さん:たしかに仕組みを作れば、スムーズになりますよね。

※澤井さん:澤井珈琲の澤井さん。詳しくは事例で紹介しています。

楽天のガイドラインを瞬時に要約

坂本:AIのいろんな用途がありまして。楽天のサポートニュースとか、長い案内が来るじゃないですか。これを(Windowsのショートカットだと)[Ctrl] + [A]で全部コピーして、ChatGPTに貼り付けて「まとめて」って言うと、要約してくれるんですよ。

大塚さんそうやってまとめないとね。一方的に送ってきて、読んだでしょ?みたいな話になるんですよね。こういうガイドライン作りましたからよろしくって言って。もう読む暇がなくて。

坂本:弊社のサポートニュース読む担当者はやっぱりAI使いますね。

商品ページのコンテンツを30分で作成

坂本:コンテンツを作る話をしましょう。音声入力をします。「カップヌードルの◯◯という商品について調べてください。ネット上で何かいろいろ調べて、こういう商品みたいな意見を持ってきて、最後に、この商品を紹介する記事を書いてください。」

大塚さん:すげえ、これもコピーして商品ページにのせちゃうのもありなんですか?

坂本ネット上で調べたものをまとめなおした形なので、誰の盗作でもないですが、「嘘ついてないか」の確認は必要ですね。AIでファクトチェックをしてみます。「ネット上で検索してこれらの情報に間違いがないかを確認してください」。

大塚さん:なるほど。

坂本:コンテンツの企画もAIが使えます。音声入力をします。「カップラーメンを紹介しているコンテンツをいろいろ閲覧して、どんなパターンがあるかをリストアップしてください。日清の新商品である◯◯シリーズの紹介とか」。

大塚さん面白いっすね。相当使えますよ。新商品の紹介は鉄板ですよね。新商品やセット商品を紹介するときに、こういった説明を添えているのと、単にモノだけ見せるのとでは説得力が違いますね。説明がないとこっち都合になっちゃう気がしますよね。

変わらないことへの不安と、変わることへの勇気

坂本:周囲の理解はどうですか。

大塚さん:周りの人は「ECって何?」状態で理解されないんですよね。気がついたらそんなに話も合わなくなるというか。。地元の周りの人たちは僕が何やってるか知らないっていう状態なんですけど、ネットに出したらそれは面白いって言って共感してくる人がいたり、面白い企画をしたら買ってくれるお客さんがいたりして。ネットに可能性を感じるのはそこですね。

坂本:僕も高知なんで分かります。たぶん浮いてますねー。高校生の頃は、地元でずっとこのままなんだろうかみたいな、いまの現実がずっと続くことを心配していて、なにか新しい世界に飛び込むことを望んでいました。この仕事をしている人は、「新しい世界に飛び込んだ人」がすごく多い気がしますね。

大塚さん:そうだと思います。変わらないことは不安やし。飛び込んだ先のリスクや不安もあるんですが、最終的にはこれを選んでよかったなって思います。いろんなことがありますが、でも「飛び込む選択肢」を取っていなかったら、たぶん本当に潰れてるんで。。

いろいろな失敗がこれからもあるとは思うんですけど、それも何か動いてる証拠なので、失敗しながら、その中で9個失敗しても1個大きな成功があったら僕はいいかな何もしないのが一番怖いなっていうのは思ってます。

最後に、大塚さんは力強い決意を語りました。

大塚さん:どうなるかわかんないけど、どういう形であれ僕は幸せになるっていうのはもう決めてることなので。どういう形であっても、すごく幸せに生きたい。そのために、今できることをやっていこうって思ってるのが今です。

祖父から受け継いだ事業の拠点。ここから書籍とAIを武器に、新しい挑戦を続けています。

おわりに

今回、大塚さんとのお話を通じて最も印象的だったことが3つあります。

1つめは、周囲の人から経営状況を心配される苦境と、一方で新しい取り組みを理解してくれる人がいない中で、書籍で学び、AIを活用し、着実に前進を続ける大塚さんの強さです。「何もしないのが一番怖い」という言葉通り、失敗を恐れず新しいことに挑戦し続ける姿勢が、今の成長を支えています。

2つめは、そういった仲間同士でつながることです。すぐ近くには繋がれる仲間がいなくても、同じようにECで頑張っている人々はたくさんいますよね。自分の考えで合っているのか?それが信じられなくなる日があります。上手くいく日も上手くいかない日もあります。そんな中で、みんな同じように手探りで頑張っていることを知っていれば、踏ん張れると思います。

3つめは、原理原則を学んで「柱を持つ」ことの重要性です。テクニックも大切ですが、大塚さんが重視したのは、判断の指針となる「普遍的な考え方」。大手に出来ない独自化をどうするのか。そのために限られたリソースをどう使うのか。こうした原理原則は、一人で経営判断をしなければならない状況だからこそ、ブレない軸として支えになります。

書籍とAIを通して、そういった大塚さんの戦いを支えられていることを嬉しく思います。
改めて、大塚さん、貴重なお時間をありがとうございました。

インタビューのあと、道後温泉に入って、地元のネットショップ経営者の皆様と飲み会をしました!

おまけ:梱包作業を手伝いました

インタビュー後、坂本も梱包作業を体験させていただきました。「選べるアソートセット」は一つひとつ手作業で詰め合わせています。梱包担当者の方と比べると、坂本は3倍くらい時間がかかりました。お客さんの期待に答える、丁寧な仕事を実感しました!

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