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2020年、EC業界の展望と「中小事業者は何を考えるべきか」後編

こんにちは、坂本です。

大手プラットフォーマー(=ヤフーや楽天やアマゾン)が熾烈に争う、激動のEC業界。2020年、我々中小事業者は、どう考え、何をするべきでしょうか?その展望について書いてみます。今回は後編です!
前編の記事はこちらからからどうぞ。

前回は、携帯キャリアたちによる「ポイント・決済を軸とする『データ経済圏』の覇権争い」「ECモールの店舗誘致合戦」の構図を紹介しました。わたしたち事業者の現状としては、「お客さん側が頻繁にECを使うようになった結果、『文具も酒もワンストップで便利に買いたい』めんどくさがりな意向が増えて、『品揃えが幅広い大手EC事業者』が伸びている」という、中小事業者の難しい状況の解説をしました。

今回は、「今年、大手が勢力を伸ばしてくる中、我々中小企業が平和に売っていくためには、いま何をすべきか」について考えてみます。私たちは、何を目指すべきか。それを実行するために、どんな力配分をすべきなのか?

- 目次 -

「現代の商売」は、今までと何が違うのか?

まず、Eコマース云々の前に、我々中小事業者が、いまどんな状態に置かれているのかを、簡単に説明します。ベテラン勢の皆さんは、当たり前の感覚として持っている話でしょうけどね。重要な話です。

我々は「比較されている」

インターネットでの店探しは、便利ですよね。何しろ見通しがいい。通販も飲食店も、探しやすくて比べやすい。一番「安い順」や「早い順」や「人気順」でソートしたり、フィルタしたりできます。

弊社オフィスは東京の代官山にありますので、会社の飲み会幹事は「代官山のおいしい焼き鳥」などで調べると、食べログなどを見て候補を選ぶわけです。コスパとか、点数とか、冷静に比較しています。

そんな感じで、今やいろんな事業者が、プラットフォーム上で比較されています。例えば、ハウスクリーニングとか便利屋さんとか引越し業者とか、歯医者さんや飲食店、美容室など、ありとあらゆるお店や企業が「ランク付け」され、比較されています。googleとかでも簡単に比較できますね。

あなたは「賢い消費者」として、日々何かを冷徹に比較しているでしょう。しかし、あなたもまた、日々誰かからの「冷徹な比較」にさらされているのです。

消費者にとって、選びやすい時代になりました。これにより、現代のあらゆる事業者は、「徹底的な比較」にさらされています。 商売は本質的に比較されますけど、現代の商売は、技術の進歩により「より圧倒的な比較」にさらされている。

ECに限らず、これからも、比較プラットフォームがなくなることはなく、参入プレイヤーはますます増えていきます。自分よりコスパの良い、早い、安い、人気の、大手の、そんなライバルがどんどん増えていきます。

前述の通り、そもそもが「圧倒的に比べやすい・比べられている」プラットフォーム上で販売しているわけですから、競合が増えたときの影響も出やすい。だから、勢力図が変わって「以前と同じ品質と努力」をしていても、比較に負けて選ばれなくなる恐れがあります。

★今後も商売するのなら、我々は、今よりも「比較されること」に慣れる必要があります。

「比較される」と「価格競争になる」?

私は先日、便利屋さんの比較プラットフォームで、とある方に仕事を依頼しました。

台風で散らかったベランダの掃除など色々してもらって、おしゃべりで「便利屋のプラットフォームとかでどういう集客をしてるんですか?」と聞いたところ「むかしはチラシだったけど今だいたいプラットフォーム経由」「最初は安い方が有利なのかなと思ったけれど、案外自分の全力の笑顔写真などを載せている方が、ちゃんとお客さんが来てくれることを発見した」とのこと。

他にも「組織でやっている人もいるけど、自分は個人だから、人となりを売り込んでLINEで繋がって、気軽に声をかけてもらう状態にしてリピートを獲得しています」「女性が伺います、という切り口の事業者もいるし」「人によって比較基準はいろいろありますね」とのこと。他にも、「意外と儲かるサービス」など教えてもらいました。

うーむなるほど。ネットショップと違って、訪問型のサービス事業者は、お客さんからのフィードバックが早いから、分析がすんごい的確ですね。画面を睨んで売れた売れない言ってる人よりもよほど的確。

たくさんのお店と比べられるので、経済学的な観点では、すんごい価格競争になりそうな気がします。でも、実は、お客さんの比較基準は「価格だけではない」のです。色んな角度があります。なぜなら、人間は1人1人違っているからです。

これを知らずに、画面をにらみながら価格競争に突撃している人もいます。危ないですね。我々のような中小が選ばれるためには「競合大手と違う比較基準」を想定すべきです。

そういう「わかりやすく合理的な比較基準」ではなく、「一部の人だけが重視する偏った比較基準」に注目して、たとえば「『価格は安くはないけどとにかく頼みやすい便利屋さん』としてLINE経由を売り込む」などが特定できれば、うまく競争を避けることができそうですね。

みんなプラットフォームで比較するけど、その比較基準は案外さまざまです。

「選ぶ側」の目線にシンクロしよう

弊社はコンサル会社なので、「うちの店はどうすれば売れますか」「我が社はどうすれば成長しますか」という相談を毎日たくさん受けています。LINE使えばいいですか?コピーライティング?○○広告?・・いや、「手段は後」なんです。

もっと手前で理解すべきは、お客さんはどこを歩いてるんだろう、何考えてるんだろう、どんな基準で選んでるんだろう?どうすれば選ばれるだろうか?どうやればお客さんが目にしてくれるだろうか?どうやれば興味を持ってもらえるだろうか?と考えるべきなんです。つまり、「どうすればいいか」の手前で、まず相手から見えている風景を理解すること。弊社の社内用語では「相手とシンクロする」とか「イタコ」なんていいます。

お客さんとシンクロすると、どんないいことがあるか?

前述の「価格競争以外の比較基準」がわかるんです。
つまり、勝ち筋が見える。

「想定する比較基準」を選ぶことは、自分の「戦場」を選ぶのと同義です。自分の強みが活かせる、勝てる戦場を選びましょう。「大きい市場のシェア下位」より、「小さい市場のシェア上位」のほうが実入りは大きいです。

いわば、メジャー競技ではトップを取れない陸上選手が、「競争が少なくて自分に向いているインパクトがある競技」を選ぶ・・たとえば競歩とか十種競技とかにキャリアチェンジするようなイメージですね。メジャー競技の「参加賞」より、マイナー競技で「金メダル」。「鶏口牛後」です。

お客さんとシンクロできれば、比較基準がわかるので、「自分の勝てる戦場」がわかるかもしれません。

「新しい比較基準」に着目する

「比較される側」である我々は、お客さんの心理を理解する必要があります。そして、「お客さん側の比較基準」は、年々変わっていきます。これを観察しましょう。

ちょっと前まで新しかったものが、古く見えたりします。たとえば、「町に一軒しかスタバがない」状態ではスタバがありがたく見えるものですが、あちこちにスタバがある場合はブルーボトルコーヒーのほうがよく見えたり、人によっては「スタバがカッコ悪く見える」心理もあります

また、最近のお客さんは、年々「せっかちでわがまま」になっているように思います。プチ富裕層化しているというか・・個人的には、貴族化しているように感じます。

「貴族な客層」は、なにしろ貴族だから、庶民と同じような量販品はあまり使いたくなくて、手仕事の・由緒正しい・なおかつ「社会正義のある商品」なんかを求めたりします。ノーブレス・オブリージュな意識が高い貴族ですね。世の中の明らかな兆候として、お客さんが商品のエシカルとかSDGsとかバックストーリーに注目するようになってきているんだとか。後述する「D2C」にもそれが現れています。

そういえば、クラフトビールで有名なヤッホーブルーイング(よなよなエール)は、商品と思想性が人気ですよね。私もよく飲みます。我々もお手伝いしてますが、好調です。 さまざまな魅力がありますが、特に「あたりまえのビールではない、自分らしい『別のなにか』」を求める層に刺さっているように思います。こういうのを、「アイデンティティ消費」といいます。自分らしさ消費。

なんか最近、この「別のなにか」需要って結構大きくなってきてると思うんです。「量販品ではない」「ストーリーのある」ブランドに追い風が吹いている。それがアイデンティティ消費と結びついている。

と、この話が、あなたのご商売にとって直接参考になるかどうかはわかりませんが、こういうことを知っておけば「お客さんなんてどうせコスパのことしか考えてないんだ」などという卑屈な思考に陥らずに済みます。新しい客層の「新しい動向」として、また「お客さんの比較基準がいかに多様かつ非合理であるかを表している参考事例」として、覚えておいてください。

★ お客さんの比較基準は様々。我々中小としては、大手の得意な「コスパ」ではなく、新しい客層に向けた「自分らしい人と違う何かがほしい」需要などに着目するとよいかも。

現代の中小事業者が目指すべき道とは

ここまでの話をまとめます。

インターネットは、消費者の味方です。圧倒的に「賢い買い物」ができるようになりました。一方それは、お店にとっては「徹底的な比較」にさらされる、競争激化、という意味があります。

ただ、ネットは、前述の通り「強い順に並べる」「弱者を埋もれさせる」という残酷な側面もありますが、選択肢が広がったことで「本当に自分にぴったりの売り手・買い手のマッチングが成立しやすい」という側面もありますよね。ネットのおかげで、路地裏にある、小さいけど、店主に世界観があり、配慮が行き届いた店・・にも露出のチャンスが出てくるからです。

ネット上では、「安いもの」「ランキング上位のもの」に人々が集まりますが、一方で、「他人の物差しではなく自分の物差しを大切にする」「自分の物差しに合ったものを探す」人々も存在します。

特に、こうやって皆がプラットフォーム上で何かを選ぶようになってくると・・メジャーな、メインストリームの、王道の、誰しもが知っている、有名な、目立つ選択肢・・に対して「そういうのは選びたくない」という人が、相当数現れます。光があれば影がある、メジャーがあるなら「そうではない選択肢」を求めるようになるものです。

コンビニやチェーン店などの「便利な選択肢」が増えれば増えるほど、無名で面白い店などの「そうではない選択肢」もまた求められるからです。「じゃないほう芸人」ではなくて「じゃないほうEC」といいますか。どうせメインストリームは大手が持っていってしまうので、中小は、「じゃないほう」を狙っていくといいし、そのほうが案外儲かるはず。鶏口牛後。

詳しくは以前この記事に書きました。ECに限らない「中小事業の可能性」を書いています。

高嶺の花の巨大マーケットを狙わず、路地裏の人気店のように、自分の手頃なサイズの小さい市場を見極め、こういう人を念頭に置いてメッセージを考えることで、キャラ立ちができるんじゃないかなと。勝者総取りの世の中では、99.9%の人が、幸せになれません。だから、小さな事業者がそれぞれの魅力を発揮していくことで世の中も豊かになる・・・と、私は信じています。

さて、 ここまでは「意識すべき基本原則」についてご説明をしました。
ここから先は、もうちょっと具体的な作戦について書きます。

これから考えるべき「戦略」

じゃあ実際のところ、Amazonとか大手直販ECとの競争を避け、食われないための方法とか事例ってあるのか?という話について。 五月雨式にいろんなことをつらつらと書いていきます。

今後の動向変化、競争の激化を鑑みると・・ 中小ECは、今から以下のようなことを考えておくべきだと思いますよ・・まあ、言うのは簡単で、実際やるのは大変ですけどね。「実際にやる」ための体制づくり・実行力UPについては、記事後半で説明します

「Amazonに負けないEC」は実在する

米国では、Eコマースにおけるアマゾンのシェアは、49%だそう。すげえ。EC≒アマゾンですね。

というくらいに、圧倒的にアマゾンが強い米国で、実はガンガンに伸びている「非Amazonの独立系EC」が沢山あります。それらのお店は、「創業10年も経たないうちに年商で150〜400億円」という凄い規模になっています。

商品は、メガネ専門店とかマットレス専門店とか・・え、普通。なんでそんなに売れるの?

これらは「D2C」と呼ばれています。去年くらいから話題になってて、最近は一般メディアにも名前が出てきているので知ってる人も多いですかね。記事探すと色々情報があるので見てください。「アマゾンが居るのに、後発なのに、ガンガン伸びている」、というのが勇気をもらえますね。

D2C勉強会が面白かった件

去年、そんなD2Cについての勉強会が去年ありました。私も、パネラーでゲスト参加しました。前回ご紹介した名著「アフターデジタル」著者の尾原さんが主催するオンライン私塾です。

日本を代表するD2CのひとつであるFabricTokyoの森さんが主役で、ゲストは有名ECサイト「北欧暮らしの道具店」の青木さんと、楽天的ECを代表して、よなーいさんと、坂本です(※)。面白かったです。

そのD2C勉強会で使われたスライドが以下です。興味ある人はリンク先をどうぞ。

D2Cの特徴と「我々が学ぶべき点」

D2Cの特徴は、色々あるのですが、分かりやすいところで言うと、アマゾンで買いづらいモノ&サービスを提供しています。・・例えば、採寸が必要なオーダーメイド、ちょいちょいリアルでお客さんが集まる体験がある(よなよなエールもそうですね)、オンラインで皆で集まってその商品で遊んでいるとか、実際にお店に行ってショールームで見ながらオンラインで買えるとか。

あと、前述の「意識高い貴族」に刺さる「思想性や哲学」が乗っかている点ですね。SDGsとか「制約からの開放」みたいな。アマゾンには何でもありますが「一定のフィルタに合致する商品だけが並んでいる」というお店は、ノイズがなくて、快適な買い物体験ができます。今や、「なんでもある」よりも「フィルタが掛かっている」ほうが魅力なんだなあ。

加えて、この勉強会で聞いた話で個人的に面白かったのが、「進化の遅い市場を見つけ、その市場をアップデートするようなサービス&商品を作ってひっくり返すのだ!」というスタンスです。革命ですねえ。

まあ、資料を読んで頂くとわかりますが、D2CはECが進化したような業態で、そのままは真似られないです。ただ、D2Cそのものをやらないまでも、「非アマゾン・独立系・後発参入でもガンガン売れている」という事実と、その手法を部分的に学ぶのは意義があるかなと思います。「北欧暮らし」も「よなよなエール」もD2Cではないですし、あまりD2Cの定義にはこだわらずに、学べるところを学ぶといいかなと。

※ちなみに北欧暮らし青木さんとよないさんからも以前色々お話を伺って、このブログでご紹介したことがあります。

Amazonにできない「サービス」を売りにしよう

じゃあ、我々は、大手に負けないために何ができるでしょうか。

「大手と単純に比較されると負ける」のであれば、中小事業者の戦略としては「比較されにくい商売をする」ことが有効です。そう考えると「ECに付帯するサービス」は、強い武器になります。

サービス型ECにはチャンスがある

さきほどのD2Cの例もそうですが、単純に物販するだけではなく販売に付帯する「サービス」を売りにすると、アマゾンなどに対しての差別化が出来ますね。「サービス型EC」は、モノだけで単純に比較しづらいからです。

比べられにくい商品やサービスとは・・例えば、お客さんにヒアリングをして話し合って商品を一緒に選んだりカスタマイズをしたり、ヒアリングをして商品選定とレイアウト検討して設置工事して・・とかとかとか。色々あります。

「大切な買い物」を手伝えばチャンスがある

あるいは、 普通の物販であっても、それがどうでも良い日用品ではなく「何かとても大切な買い物」であるならば、お客さんは、多少の安さよりも「安心感を重視する(失敗リスクを避ける)」「ちゃんとした専門店で買いたい」気持ちになります。また、その過程で相談したくなったり。

バスマジックリンであれば別にどこで買おうと思い入れは全くありませんが、たとえば婚約指輪とか、デリケートな子供向けのなにかとか、わかりやすいところではギフトを買う時は、「とにかく激安の店!」という買い方はしないものです。

「アマゾンに勝利した」お店もあります。実際、以前に私が講演で紹介させて頂いた、とあるネットショップは「アマゾンをカモにしている」だそうんです。

どういうことかと言うと、そのお店が「専門店」として提供しているサービスがあまりにも良いので、「アマゾンでその店と同じ商品を買うとサポートが酷い」。お客さんが「ひどい目にあった、やっぱりアマゾンとかじゃなくて専門店で買わないとだめだ」と反省しながら、自店舗に流れてくるとのこと。

※昔、アマゾンの役員が「我々は食物連鎖の頂点にいる」と言っていましたが、このお店はそのアマゾンを捕食しているわけですね。いわば、大手プラットフォーマーを捕食している「テラフォーマー」でしょうか。じょうじ!(わからない人が98%くらいだと思いますが、某マンガの話です。すいません。分かる人は今度飲みに行きましょう)

モールとしてアマゾンに勝つのは大変ですが、「自分の専門領域でアマゾンに勝つ」ことことは、案外できるのかもしれないですね。D2Cの事例もそれを表していると思います。

※ここでは無料の付帯サービスとして表現していますが、「物販に有料サービスを載せる」のも良い案だと思いますよ。

「専門家アプローチ」で主導権を握ろう

繰り返しますが、「大手と単純に比較されると負ける」のであれば、中小事業者の戦略としては「比較されにくい商売をする」ことが有効です。これ、覚えてくださいね。

そう考えると、「専門家アプローチ」も有効です。

「比較される」のは弱者です。だから比較される側ではなく「お客さんに教えてあげる側」「何を買うべきかを教えてあげる側」に回りましょう。それは、圧倒的に強者です。それが専門家アプローチ。

専門家になれば、主導権を持てる

例えば、「初めて熱帯魚を買う時」を想像してください。店員さんがこんなことを言うわけです。

「初心者の方は選びがちなんですけど、これを買うのはやめたほうがいいです。」「魚が弱るので、これは忘れずにやった方がいいです。」「熱帯魚の品種としては、〇〇が有名ですけど、これはちょっと難しいので、このタイプだと初めてでも安心して飼って頂けますよ。」

お客さんという生き物は、「売り込んで来る相手」からは逃げたくなるのですが、色々教えてくれてる人の言うことは聞こうとします。この店員の言うことを聞いた方がいいなと思ったら、その人が勧める商品は何でも買います。このように、専門家になれれば、比較される側ではなく、お客さんに教える側に回れるわけです。

だから「専門家がいる専門店」は有利です。小売店はそのような「専門家」になっていくことが、これから必要だと思います。大手のお店は商品をたくさん並べていくので、「専門家」的な接客はしづらいですが、小さいお店こそ、そういった接客を目指すといいのかなと思います。

小売の本道は「専門家」

小売業者は本来、「専門家」だったはずです。

「このメーカーはこういう強みがあるけど、実はこの商品はこうよくて、あまり知られていない会社だけど結構いいですよ」など、複数のメーカーや商品を比較説明しながら販売する。そもそも小売とは、「小さく売る」という意味ですからね。お客さん1人1人の話を聞きながら、1つ1つ販売していく。

EC業界には「たくさん商品登録すると売れる」時代が長く続きましたが、丁寧な紹介こそが小売の本道かなと。

私が以前、楽天のイベントで講演をした際にも、このような趣旨で「仕入れ型店舗の生きる道」について詳しくお話をしました。その際の記事はこちらをご覧ください。

※そういえばこの講演にも、前述のD2C勉強会や私塾の主催者であり、前回紹介した名著「アフターデジタル」の著者である尾原さんと一緒に登壇したのでした。ありがとうございます。

専門家なら「競争の外」にいられる

専門家は「競争を避ける」ことができます。なぜか。

お客さんの心理は、まず「欲しくなる瞬間」があってから「買うモード」へと移行しますよね。テレビとか口コミとかネット記事を見て、「刺激」を受け、欲しくなってじゃあ買おうかなと思ってアマゾンとか楽天に行って検索をしていろんな商品を比較し始めます。

でも「専門家」は、自ら「刺激」を与えることが出来ます。こういうのがいいですよ→じゃあ買います!その専門家がモノを販売しているなら、話は早い。検索ボックスや、検索結果を経由せずに、いきなりダイレクトに購入に繋がります。この図を見てください。

つまり、専門家なら、「川上」を抑えられます。「買うモードになってからは競争が激しい」ので、欲しくなる瞬間=川上を抑えるわけです。”競争の激しいエリアの外で商売ができますよね。インフルエンザーが物販するときの成功パターンですね。

最近は、何か買い物しようと思ったとき、いきなり楽天やアマゾンで検索するよりも、とりあえずGoogleとかSNSとかで調べる人も多いですよね。「感覚的にピンとくる何か」を探すときはインスタだったり、「なにかの手順」を知りたいときはyoutubeだったり色々ですが、そういった「モールの検索ボックスを起点としない購買行動」が増えてきていますね。仕入れ型の人は専門家として色々発信していくことによって、こういった集客導線を得られるはずです。商品検索導線に依存しない=競争を避けられる。

※ただ、このコンテンツマーケティング戦術についてはちょっと落とし穴もあります。 お客さんは「調べ物モード」で見ている状態ですから、これを「買い物モード」へと導くには仕掛けが必要です。この仕掛についてはまた別の機会に紹介します。

専門家スタンスならメディアにも露出

専門家として色々発信をしている人は、メディアの人が取材に来るようです。単に売るときに有利というだけでなく、こういう専門家スタンスを発信していると、メディアにも出やすい。

例えば、「1000種の和菓子を食べた和菓子キング」みたいな人が、マツコの番組なんかで取り上げられて「今一番きてる和菓子」なんかを紹介してますよね。すると、「メディアは芋づる」なので、他のメディアにも出るようになり、専門家として継続的に露出できたり、大手の企業から一緒にコラボしませんか、とお声がかかったりするようです。

実際に、ネットショップでテレビ番組に取り上げられた方が沢山います。以前書いた記事はこちら。素晴らしい事例です。

小島屋モミーさんがマツコの番組で見せた「偏愛」が、中小ECのひとつの理想を体現しているかもしれない件

僭越ながらわたしも時々取材を受けますので、メディアの人々に「取材相手の探し方」を聞いてみたところ、メディアの方々も忙しいから「まずは検索して候補を探す」ようですね。仕込み、できてますか?もちろん「専門家業界」としては、ブロガーとかyoutuberの人数も多いですけど、事業者の場合は単なるブロガーよりも実体があるからGOがかかりやすいのかもなあ。。

LINEなどによるチャット・アプリ接客にも要注目

コンテンツを発信するだけでなく、相談を受ける感じで問い合わせ対応する・・という方法も有効です。メール返信したり、電話対応したり色々ありますが、その選択肢の一つに「LINEで相談に乗る」が登場しそうです。

ヤフーとLINEの経営統合という動きがありましたよね、みどころはミニアプリの存在です。すでに中国では「メッセンジャーアプリ上で動くミニアプリ」経由で商品がたくさん販売されるという実績があります。以下の記事で詳しく紹介されています。

こんな感じで、LINEの中で動くミニアプリを使ってお客さんの買い物を支援するという商売の仕方が増えそうです。なにしろLINEは、国内で断トツPCやデジタルが苦手な層にも浸透しているサービスで、「アプリのインストールのやり方もよく分からんがLINEなら分かる」という人が多いですからねー。LINE上で買い物ができるようになっていくのではないかと思います。これ、専門家ECとも、サービス型ECとも、相性が良さそうです。

まあ、モールのトップページの検索ボックスにキーワード入れて購入していく従来型の買い物もそれはそれで便利なので、どちらも残っていくでしょう。インスタでも買い物ができたり、世の中変わっていきますねえ。あと、従来型のECだけでなく、実店舗を入口とした、LINEとpaypay決済による「半EC半リアル」の店が増えそう。こっちのほうが社会的な影響が大きいかもなー。

※LINEとヤフーが経営統合した件を補足。YahooがLINEを買収するわけではなくて、お互いに株を持ち合って統合していくという感じです。Yahooの親会社であるソフトバンクとLINEの親会社である韓国のネイバー社とかそれぞれ株を持つ形。なので今後どうなるか読みづらい。今後の展開の「予想」は、以下の記事が分かりやすいです。Amazonペイメントみたいな「EC本店用のpaypayペイメント」出るかもねーなど。

メーカーならブランド育てて「卸」

ここからは、メーカーさん向けの話です。一番大切な「実行のやりかた・体制づくり」については記事の後半でご紹介してますので、メーカー以外の人は適宜スクロールして読み飛ばしてください。

直販と卸を組み合わせる

メーカーなら、一般消費者向けの販売だけでなく、「卸と組み合わせる」のも良いと思います。

直販だけでなく卸事業の好調なクライアントさんが言ってたんですけど、単純に無名のメーカーとして地元のスーパーに卸してた頃は、とにかく買い叩かれた。あのときと違って、「ネットで売れているあのお店」という認知をもって仕入れてくれる場合は、取引条件もいいし、扱いも違う

なので、「自前でのEC販路」も大事にしつつ、卸と直販を組み合わせて展開するイメージです。

これ、いわば「小売店の棚を使って商品を宣伝してもらってる状態」です。卸先で認知が増えれば、気に入った人はブランド名で検索して、本店とか直販サイトに流入してきます。実際、弊社の某クライアントではそういう現象が起こっています。

この際、卸す商品とは別の「直販限定商品」を持っておくと、直販促進がよりスムーズですね。大手メーカーの直販サイトも、よく「通販限定のスペシャルバージョン商品」を売ってたりします。レッツノートのカスタム版とか、「ヘパリーゼZ」とか。

あるいは、とある弊社コンサル先(上場企業)では、とあるEC事業がずっと赤字だったんですが「一般消費者向けが上手く行かないので業販メインに切り替える」という工夫をやってみたら、うまくいきました。長らく赤字だったのですが、それで成長軌道にのれたようです。会社によっては、そっちのほうがいいかもしれません。

大手ECサイトに卸してみる

たとえばOisixは、自前の商品だけでも品揃えのイケている専門店ですが、そこに「DEAN&DELUCAの商品もついでに同梱できますよ」という感じで、他ブランド(資本業務提携などもありますが)の同梱商品も揃えています。野菜を繰り返し購入する中で、こういう同梱商品があるほうが、継続率も上がるんでしょうかねー。

ところで、前回の記事で書いたように、最近は「お客さんがワンストップ・時短志向になっているから、大手サイト内で何でも同梱して済ませたい」という需要があります。

となると、その大手サイトからすると多分、普通の商品だけでなく「ちょっと目先の違った商品」の品揃えが手厚い方が、その大手サイトで継続購入する魅力が増すわけです。いまのお客さんの志向性から言っても。

そうなってくると、メーカーECの場合は、「直販で実績のある面白い商品」を、大手に「卸す」という施策が、有力な選択肢として上がってきます。

なお、ここでいう卸は「商品だけ渡して上手に売ってもらう」のではなく、いわば「商品ページ付きで卸す」感じがいいと思います。セールストークというかキャッチコピーは自分で作っておき、それを見せながら商談すること。

売るためのメッセージの仕込みは自社でやっておいて、商品と一緒に並べてもらうわけです。

大事なのは売上より「ブランド」

いずれにせよ、日頃から売上よりブランドを意識して売っていくことです。そのブランドパワーは、小売だけでなく卸にも派生します。その先には大手との連携の可能性だってあります。大手って「社内稟議が通りにくくてとんがったことができない」ので、「尖った中小との連携機会」を求めているんです。

で、卸先の店が頑張って売れば売るほど、間接的に自社にとっての宣伝になります。特に立派な小売店で売ってもらえれば、自分のブランドに箔が付きますよね。

そういえば昔々、坂本の担当店舗で、「商品ページ込みでネットショップ向けに商品を卸す」ことをしていたお店がありました。卸先のネットショップがそれぞれがそれぞれに広告を出しまくるもんですから、メーカーからすると、卸先が宣伝費を払ってくれて、自分は宣伝無料で、ものすごいブランド化ができていたわけです。あれは本当に儲かってたなあ・・(遠い目)。

で、ブランドとは何か?長くなるので簡単にいうと、当該商品(店舗)の魅力・特徴・選ぶべき理由が、「お客さんに覚えられている」状態です。

どのモールを強化するんだ、どう集客するんだ、とかいう議論よりも、メーカーにとっては、ブランド定義と「実売しながら認知も促進する」仕掛けを作るほうが大事だと思いますよー

※ちなみに、後述する「D2C」のスタイルもメーカー通販の一形態ですが、逆に「卸さない」「ここでしか買えない」ことが特徴です。考え方はそれぞれで、正解は1つではありません。

モール対応よりも「共通部分」を優先する

私の主観ですが、この2,3年は、調子が悪い所ほどモールの景気の動向を受けやすく、調子のいいところは独自のブランドや体制を持っている傾向です。ECモールの景気の風を受けて走る「帆船」ではなく、「自力航行ができるエンジン」が必要です。

帆船は調子の善し悪しが出ます。調子がいいときはいいんですけど、悪いときは転覆します。自力航行は逆風のとき、追い風がないときに強いです。安定してます。

前述の、小島屋さんは、「帆船から自力航行へと切り替えた経緯」のエピソードでもあります。

だから、モール対応も本店対応も大事ですけど、「すべての販路に共通するような会社のアセットやブランドを作り上げていくこと」にも、時間を割いていただきたいです。

図解するとこんな感じですかね。

「投資対効果が高いところはどこかなー?」を考えるときに「全モール・本店の共通部分」への投資についても考えてほしいなあという話です。個人的には「実行体制の強化・スピードアップ」が一番効果的だと思います。

オンラインECを閉店し「リアルのEC化」をする

コレを書かないと嘘になるなと思って一応書きます。ネットショップを辞めるのだって立派な選択肢です。負けではない。こういうのは「出口戦略」といいます。

昔、商店街の小さな米屋さんをコンサルしました。色々やって売上は伸ばしたんですが、お米は価格競争がすごいので、やっぱり難しい、とECを閉めることにしました。その後、報告をいただきました。「ECで学んだスキルでチラシを作ってポスティングしたら、お正月のお餅が沢山売れました。ECを学ばなければ、こういうアイデアも、チラシを作ることも出来ませんでした」とのこと。嬉しかったです。

いまなら、町内でリアルの餅つきイベントを開催して人を呼んでついでに買ってもらったり、出張餅つき支援をしたり、正月だけでなく何か縁起物みたいな理由(餅は伸びるから末永く云々)をこじつけて出張イベントとして営業して、ああ色々できるなー。

別に、古典的なECに拘る必要はないと思うんです。いまの時代、いわば、あれもこれもなんでもECみたいなもんです。ほんとに。

そういえば、元ECで、業界を去って、違う業界で成功している人もいますしね。

ちなみに私、この洗濯代行のヘビーユーザーです。ありがとうございます。まあ、このサービスも広義のECですね。

EC経験があれば、EC店舗への卸なんかも考えやすいでしょうし、何かしら支援サービスも出来るでしょうし。無駄にはならないと思います。

前述の弊社コンサル事例のように、BtoBに切り替えて回復したケースもありますから、すぐ閉めるんではなく視野を広げて検討するのがいいとは思いますけどね。閉めようか迷ってる方は、感情や自己一貫性に引っ張られず、合理的に判断しましょう。

既存事業と新規事業の「バランスのとり方」

戦略的な考え方を色々書きました。

ただ、これから創業する人以外は、「今やってる仕事」と「新しいこと」とのバランスをとらないといけないですね。考え方としては、「既存事業の強化 or 延命」と、「新規事業」の2軸で考えるべきです。これらは、競争戦略と成長戦略なんて呼んだりしますね。両方大切です。

既存事業の強化は、まずは現状分析で、クールに事実を掴むことが大切です。思いや社内事情よりも、まず自店舗で「どんな商品が売れているのか」売上全体ではなく個別の商品ベースでトレンドを観察してその動向の裏にあるお客さんの事情を観察してどういう商品が何と見比べられどういう理由で選ばれてどのように使われているかを把握してそれを起点に(以下略

この記事のメインテーマではないので割愛します。 とにかく大事なのは、既存事業の利益を最大限維持・延命しつつ、かつ時間としては効率化し、余裕を作ること。「効率化しながら同時に新しい手を打っていく」必要があるわけです。

いちばん大切な「実行体制づくり」

断言します。中小ECの「最大のテーマ」は、「日々の業務の忙しさ対策」です。間違いない。

市場環境が変化したことで、 競争が激しくなりました。「新しくチャンスが生まれている場所」もあります。だから、同じ所に止まっていては危険なんです。体を身軽にして、新しい場所に進んでいかないといけません。しかし忙しい。身動きが取れない。

だから対策が必要です。でも現状は、先のことを考えるどころか、「いままで通りの仕事で1日が終わっている」と言うお店が結構多い。

成功事例の影には、常に「時間捻出」がある

「EC事業が成長する最大の要因」は何でしょうか?

売っている商品がテレビに取り上げてもらったとか、扱っている商品にブームが到来した、とかではなく・・事業として「ひとつステージが上がった」という成長をした場合、その原動力は、大抵の場合「時間捻出」です。

力のある誰かに仕事を任せたり、あるいは中央管理システムを自社開発したりして、ガツンと仕事が楽になる→余裕ができる→攻めの仕事をする→当たる、このサイクルに入ると、事業が伸びていきます。これは1人店長でも同じです。1人だったのが、信頼できるパートさんと出会えて、そこから伸びたりします。

成功の陰には、常に「時間捻出」があります。

「次々新しい動きをしている人」を観察してみてください。その裏には、人に上手に仕事を振っていたり、時間を捻出しているはずです。そのスタイルは、甘え上手だったり、巻き込み上手だったり、システム化上手だったり、鬼の無茶振りだったり、人によって様々ですが、何かしら工夫しているはずです。

たとえば、次々にEC店舗やそれ以外の新業態を立ち上げている某社長は、新規事業の動きの早さが目立ちますが、本当にすごいのは、その裏にある、新規展開を可能とする「人に仕事を任せていく」「効率化する」工夫なんですよね。この人は巻き込みの天才でした。

前述の「北欧暮らしの道具店」青木さんの話も参考になります。今でこそ、メディアをやったりドラマ作ったり、映画を作ったり!独特な展開で有名なこのEC企業も、かつては普通のネットショップでした。私が青木さんと初めて会ったのは2009年頃ですが、当時は楽天でレビュー集めとかもしてたんですよね。で、楽天を撤退し、今みたいになった後、青木さんに長時間インタビューをして話を聞きました。

どうやってそんなに成功したんですか?曰く「新しいことをするには、まず目の前の、普通のEC業務の効率化が重要」とのことでした。たしか、09年当時は「自動発注システムって割と簡単に作れそうだから考えてるんですよー」などという話を聞いた気がします。

「攻めの時間」を捻出する

じゃあ、何をすればいいのか。「そもそも時間がない」とか「忙しくて毎日作業で終わる」という人は、まず、自分の仕事のしかたを振り返ってみましょう。

  • 一人で何もかもやって身動きが取れない
  • 半端に人数が増えたけど、そのせいで逆にスピードが落ちている
  • 日々のルーチンだけで時間が終わる
  • メンバーはいるけどコアな仕事は結局自分が奪い取ってやる
  • 人に仕事を任せるのが苦手

振り返ってみて、どうですか?

私達はいろんな会社でこの分野の調査やお手伝いをしてきました。特に、経営者なのに、人に切り出せるはずの単純なルーチン作業をたくさん抱えて、時間を無駄使いしているケースがかなりあります。

これは致命的です。お店が次のステージに進む際に中心となるのは、経営者だからです。 経営者やマネージャーなど、「未来を考える責任」がある立場の人から順に、余裕を捻出していかないといけません。

でも、新しく人を採用するような余裕はないんだよね・・と思うでしょうが、社内の仕事を一通り見直していくと、改善余地がたくさん出てきます。 で、新しくメンバーを増やさずに「チーム内で仕事を再配分」したり、人件費の安いパートタイマーに任せたりして大幅な効率アップを実現できます。

特に経営者の方は、ECを始めた頃と比べて年齢も高くなっていますから、「体力を使うような働き方」はそろそろ控えていかないといけないかなと思います。

もっとマネージャーに頑張ってもらう

弊社では、楽天でショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞しているような、大きめのネットショップを支援をすることも多くあります。

大きめのネットショップだと、ミドルクラスのマネージャーがいまいち上手く動けてない・悩んでいるというパターンがよくあります。過去、天才的な経営者の指示に従ってやってきた。ただただ経営者と一緒にひたすら頑張る!という働き方で育っていた。だから、なかなか経営者がマネージャーに仕事を任せることができない。

たとえば、マネージャーから経営者への報告が分かりづらい、アイデアが浅い、メンバーを巻き込むべきなのに黙々と作業してしまう、マネージャーの指示が曖昧だからメンバー側がよくわからない、メンバーがそれぞれが自分の考えで違うやり方で仕事をして組織のリソースが分散している、誰かが突然退職したら誰もその仕事のやり方が分からない・・など。

チームとして機能するためには、まず平和な空気、心理的安全性、などが大事です(ここはチームビルディングプログラムという研修がありまして、おすすめです)。

もし、 そこが大丈夫ならば、次は「コミュニケーションのセオリー」を学ぶだけでも随分変わります。たとえば、「事実と解釈を区別して話そう」「紙にペンで書いて頭を整理しよう、その紙を見ながら話そう」とかですね。分かりやすくて簡単で効果的なコミュニケーション方法を、ちょっとずつ「組織内の共通ルール」として決めていくと良いです。スタッフが成長します。

人材を確保する

最近地方では、現役の働き手が減っていたりして、なかなか採用が難しいですよね。

バックヤードで商品の出荷や事務処理をするようなパートさんも採れないし、フロント(売上アップ)側で右腕になるような人材が欲しいなと思って地元で募集をしても、「パソコンをある程度使える人からの応募が1〜2人」ある程度で、ECやらwebマーケティングの経験がある人が地元には全くいない・・・という問題がよくあります。

いくつかヒントになりそうなことを書いてみます。

バックヤードであれば、なり手が少ないなら、戦力化が大事ですよね。作業手順について口頭で指導する人が多いですが、 口頭で指示されたことを聞き返すのってなかなか部下からすると勇気がいるものです。そこで、例えばスマホの動画として手順を撮っておいたり、指示をスマホで録音させてあげると何回でも見返せるので、 聞き返されることもないしスタッフ側は自己解決ができてお互いハッピーです。ヘルプ人員の育成タイムも早まる。あと、座ってできる程度の軽作業であれば地域の年配の方に頼むのもいいと思います。喜ばれるはず。

売上アップ業務(フロント業務)で、パソコン作業などに慣れたスタッフが欲しいのであれば、クラウドソーシングなど在宅スタッフの活用がおすすめです。コツを知らないと失敗しますが、使い慣れてくると「普通に雇用するよりもはるかに優秀な人と低料金で契約」できるようになり、このおかげで成長が加速した!という事例はたくさんあります。

また、社内向けにもリモートワーク体制を整備して、全国どこからでも働いてもらえるようにしておけば、例えば、中心的なスタッフが「旦那さんの転勤で引っ越す」ことになっても、退職しないで、遠隔で仕事をやってくれたりします。ちなみに当社では、パリで仕事をしているスタッフがいますw

正社員採用の話も少し。「右腕的な正社員を雇用したい!じっくり育てるんだ!ただ、給与水準が高く出来ないから、あまり集まらない・・」という方へ。冒頭の「比較基準」の話、おぼえてますか? あれは採用にも当てはまる話です。人は給料だけでは仕事を探しません。比較基準は人によって様々です。だから、社員候補の人たちとシンクロして、 何をアピールするかを再度考えてみてください。そうすれば、少なくとも、同じような給与水準の会社の中では断然選ばれやすくなります

モールへの投入時間をコントロールする

これは、モール出店者向けの話です。ネットショップの多モール展開は、作業的な仕事がどんどん増えますね。売上にはなりますが、時間的余裕を作りたいので、難しいところです。

前回の記事にも書きましたが、今後の展開としては、こんな感じになるはず。

  • ECモールは、経済圏の争いにおいて主戦場の一つ。店舗に声をかけて出展してもらえれば後発でも作ることができる。
  • だから店舗誘致・在庫誘致合戦になる。EC事業者は、誘致合戦に乗って出店し、店舗を増やす。
  • すると売上も作れるけど、同時に、「各社それぞれのキャンペーンやインセンティブや仕様変更など各種の要求に振り回される」ことになる。

どんどん時間が削られていきます。まあYahooは昨対の伸び率が良いので力を入れたくなるところですが、、でもぶっちゃけたところ、Yahooの成長は「楽天からお客さんを奪って伸びている」側面が強いですよね。

歴史のIFですが、仮にヤフーショッピングが存在しなかったら、我々中小ECのテーマは今頃、「大きな直販型のEC事業者に売上を削られている、そこにどのように対応していくか」になっているはずです。

しかし、Yahooショッピングが現れて、モールが楽天とヤフーに分裂したかのような状態になったことで、大手ECへの対抗策を練るよりも先に「両方のモールに対応する」作業が大量発生してしまい、我々は本来やるべき仕事よりも先にそちらが気になってしまう・・という状況になったわけです。

※ヤフーが悪いわけではないし、楽天の寡占状況が続いていたらまた別の問題が起こってたかもしれませんけどw

だから出店者としては、各モールからの要請に対応する工数、イベントに参加する工数を「最低限度」に抑えて、時間を捻出していく必要がある、と考えます。「手間は掛けすぎず、おいしいところだけ最低限乗って、なるべく依存はしない」のが正解だろうなと。

「長期的にやるべきこと」が思いつかないからと言って、短期的な施策で時間潰しをしていませんか。テクニカルな工夫をやったら、目先の売上を作れます。が、短期の小銭を拾って、中長期的に迷子になってたら意味がありません。 考え方は色々あると思いますが、私はそう思います。

さいごに

ここまでのまとめ

  • 現代の商売は、消費者にとって探しやすく見通しが良いが、売り手側には大変。
    • 圧倒的に「比較されている」。競争激化になる。
  • しかし、比較基準は人により様々で、多様性がある。そこに、中小の生きる道がある。
    • 人は、コスパのみにて生くるにあらず。
    • マラソンより競歩。鶏口牛後。
  • 「選ぶ側」の目線にシンクロしてみよう。
    • 便利・コスパ「じゃないほう」という市場が生まれています。
  • 事実、「Amazonに負けないEC」は実在する。
    • たとえば、Amazonにできない「サービス」を売りにしよう。専門家になってみよう。
    • メーカーならブランド育てて「卸」と「直販」を混ぜるといいかも。
    • この際、売り方を卸先に依存せず「自分の言葉で売る」「ブランドを育てる」意識が重要。
  • これからの中小ECにいちばん大切なのは、次に行くための「時間的余裕」
    • 「動きの早い社長」は、裏で必ず、余裕づくり・体制づくりをしている。
    • 成功事例の影には、常に「時間捻出」がある。
    • たとえば業務を見直して時間を捻出する
    • マネージャーやスタッフに頑張ってもらい、人材を確保し、モールへの投入時間をコントロールする

まずやるべきこと

何よりもまず、時間的な余裕が必要です。身軽にならないと次に進めないからです。

そして、まず身軽になるべきは社長さんです。社長の仕事は、年単位で未来を見ることです。そのために「毎日の仕事」で忙殺されていてはいけません。短期的な業務に逃げ込んではいけません。

「時間の捻出」をお手伝いします

ちょっとだけ宣伝。

私たちコマースデザインとしても、今年はこの「忙しさ対策」に注力します。中小ECの社長さんや、役員・マネージャーの方を中心に、余裕を作るための、業務効率化のお手伝いを、本気でやっていきます。

今回、まず第一弾として、「業務効率化に特化したコンサルティング」を提供します

月額78,000円~の6ヶ月契約です。半年であなたを身軽にします。メールのやり取りだけではなく、Zoom(テレビ電話)などを使った、対話型のコンサルティングです。

前述のように、弊社は、これまでのコンサルティングでも多くの業務改善・余裕捻出の実績があります。ヤッホーブルーイングなど多くのSOY店舗、一人運営の方や夫婦運営の方々、 それぞれの組織の事情に即して、オーダーメイドの具体的な提案を行い、身軽化を実現してきました。この知見をベースに、特化型の支援を行います。

3月から開始します。今回は、第1期メンバーの募集です。興味がある方は一旦お話をしましょう。
フォームを用意しましたので、とりあえず考えていることや思ってることを書いていただだけますか。それを見てお話しします。

負けるな中小

はい、以上です。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。前編だけでも超長かった上に、後編はえらいことになりました。正直こんなに長くなるとは思わなかった。反省はしていない。

なんだろうな。何となく、どうしても今言っておく必要があると思って、 自分の中の何かに突き動かされるようにして、やたら長時間かけて書きました。

最近、業界や世の中の動きが複雑ですから、あなたが「よくわかんないけど先行き不安」みたいになってないかと心配になりまして、状況の見通しがよくなればと思って筆をとりました(キーボードですけど)。なんだそういうことか、と分かれば勇気が出るかなと思ってあれこれ書いた次第です。

10年前だか20年前だかにネットショップの商売を始めた人、結構多いですよね。お互い歳とりましたね。

振り返ってみると、これまで、特にモール内のEC事業者は、「成功事例を真似ると売上が伸びる」という、いわば「高度経済成長期」のような働き方をしてきたように思います。

皆が右肩上がりで伸びていき、分かりやすくてシンプルで、多少の甘い雑な経営でも成長が全てを覆い隠していて、同じような商売をしている仲間同士で楽しく飲みながら、皆で同じようなことをして、皆で成長していくことができました。楽しかった。

しかし、時代は変わりました。誰かの事例を聞いても、そのままは真似られないなあ、うちには取り入れにくいなあ、ということが増えたように思えませんか。でも、それが本来の姿だと思います。

世の中は多様化に向かっています。昨年末の紅白歌合戦で氷川きよしが、きよしくんにさよならして、「きーちゃん」であったように、みんなが自分らしく生きようとする多様性の時代においては、多様性ある小さな客層がたくさん生まれています。そして、多くの人は、 大手のプラットフォームでは解決できない、それぞれの夢や願望や悩みを持っています。

私たち中小ECが次に向かうべきは、この世界です。

私達は、大手のプラットフォーマーと違って「天下を取る」必要はなくて、私達の小さい胃袋が満たされるだけの、ほどよい利益と、ごく少ないお客さんからの「熱い支持」があれば、それで幸せに商売できるはずで、大手とまともに張り合う必要はないはず。

だから、十分やれるはずです。

今回書ききれなかったことが、他にも色々あります(まだあるのか)。
色々発信していきますので、一緒にがんばりましょうー。


カテゴリー: ECの未来, EC戦略論

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