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【速報】楽天「送料ラインの統一」延期が確定

楽天「送料の一律無料化」延期

こんにちは、坂本です。先ほど、「楽天の送料ライン統一」が「延期」されるという情報が入りました。

要は「3,980円送料ライン統一」について、3/18から「出店者に一律で無料化を求めることを撤回」し、「対応できる一部の店舗から始める」ことになりました。送料ライン統一に参加したくない人は所定の設定をすることで一旦回避することができます

今朝早くの時点で一部メディアが報じていましたが、先ほど楽天の店舗向けサポートニュースでも周知があり、確定となりました。今回は速報として、サポートニュースの要点と、各社の報じ方を抜粋して紹介しながら「今後の展開」「背景にある動き」も洞察していきます。

送料ライン統一の延期について

楽天サポートニュース

楽天から届いたお知らせについて、要点を抜粋すると以下の通りです。
詳しくは「サポートニュース」を参照してください。

  • 3月18日の段階では準備できた店から参加をする
    • 今後の方針については2020年5月頃に方針を連絡する
    • コロナウイルス等の影響を鑑みて、準備が整った一部店舗様とともに開始
  • 準備ができていない店は送料無料化の対象から除外する事ができる
    • 所定の手続きと設定が必要なので注意!
    • 「現時点においては期限を定めずに実施」
  • いち早く3月18日の時点で対応できた店舗には、「特設サーチ」を使って導線を提供する
    • どんな導線かについては、楽天からのニュースを参照

NHK

  • NHK
    • 関係者によりますと、これについて楽天は、今月18日の時点では出店者に一律で無料化を求めることを撤回し、まずは対応できる店舗から始める方向で検討を進めているということです。
    • また、送料無料化で売り上げが落ちるなどした場合の支援策も検討しているとしています。

ロイター

  • ロイター
    • 新型コロナウイルスの感染拡大で出店者が対応に追われていることや、無料化方針に対する一部出店者の反発を考慮したという。

背景にあるのが「友の会」

この展開に対して、大きな役割を果たしたと思われるのが「楽天市場友の会」という新しく出来た団体。このニュースの前日に記者会見を行っていました。

件の「楽天ユニオン」とは別の団体で、方針としては「楽天の送料無料ライン統一に対して反対はしない、むしろ賛成をしている。がコロナウイルスなどの状況を鑑みて施策の実施を延期するなどの支援をしてほしい・・という申し入れをしている」以下の動画で少し紹介されています。

「友の会」の記者会見(youtube)

  • 楽天・三木谷会長に出店者が「送料無料」延期を要望(20/03/06)
  • 一部の出店者が来月の設立を目指す「楽天市場出店者友の会」は新型コロナウイルスの影響で店舗で人手不足が起きていることなどから、三木谷会長に送料無料化の延期を申し入れたと明らかにしました。ただ、「一方的に取引条件が変更されたとは考えていない」として送料無料化には賛成しています。

記者会見の要旨

「友の会」の記者会見はいくつかの記事で紹介されていますので、以下、JBpressの記事を抜粋して紹介します。(敬称略です)

  • 「主に二つのことを主張した。一つは送料無料化の延期。送料無料化そのものには反対しない。しかし弊社でも、コロナウイルス問題で物流センター担当の社員が出社できなくなり、(楽天が送料無料化の期日としている)3月18日では対応し切れない。(送料無料化は)できる店舗からやる、ということにしてもらえればありがたい」
  • 「2月28日にテレビ会議で要望を出した(坂本註:三木谷さんに対しての要望)。要望の一つは、コロナウイルス問題に対応するための送料無料化期日の延期。人手不足でとても対応できないという店舗の実情を伝えた。もう一つは店舗の負担を和らげるサポート・プランの導入だ」(山田)
  • 「一部の店舗の主張が大きく報道されることに違和感を感じていた。楽天ユニオンの主張を否定はしないが、それが店舗の総意ではない。(送料無料化に)賛成する店舗があるということを伝えたくて、友の会を立ち上げた」(原)
  • 「これまでもコミュニケーションは取ってきたが、店舗と楽天が腹を割って話してきたかと言えば、そうでない部分もあった。店舗もそうしようとしなかった」(山田)
  • 「これからは対話を増やし、どうすればお客様にもっと買い物を楽しんでもらえるかを楽天と一緒に考えていきたい。楽天と店舗がそういう関係にあることを公取にも伝えたい」(村井)

坂本の感想

「公取や政府と対峙してでも」といってた三木谷さんが、この危機のタイミングで、店舗の申し入れて動いたわけですから、歴史的なことだなと思います。facebookなどでも、ベテラン店舗からは歓迎・・というか「感動した」的なコメントが多く見られます。

まあ、楽天側が息のかかった店舗を使って対立団体を立ち上げて世論操作をしようとしてる」のでは、的なネガティブコメントもtwitterで散見されますけど。。でも「楽天の方針はわかる、でも対話したい」というのは、元々以前からあった声なんですよね。

多くの店舗から「楽天ともっと対話したいし、対話姿勢にならないかなぁ、送料無料ラインも言いたいことはわかるし、我々としては応援したいんだけどなー」という声がずっとありました。かなり前から。そういう素朴な気持ちが、このような形で一つの流れになったのかなと思います。

私はここにいらっしゃる発起人の方々は、ほぼ存じ上げていて、呼びかけに参加しようとしている店舗の方々も多く存じ上げています。

昔はこんな感じで、運営側と出店者側の距離はいまより近く、意見したりされたりの関係でした。それが規模が大きくなり、楽天が社会のインフラの一つとなっていく中で、競合とか運送会社とか消費者庁とか公取とか競合とか色んな事柄が間に入って話がややこしくなってきて、距離が遠くなったんだろうなあと。

だから、状況が変わっている以上、「昔みたいに対話をしながらやっていく」のは、昔ほど簡単なことではありませんが、だからこそ意義があるのかなと思います。元々ビジネスパートナーなんだから話し合える関係であるべきなと。

私2007年まで楽天にいましたが、実際当時はそういう機会も多かったんですよねー。

その他関連記事

行政の意向、プラットフォーマの意図、テナントの声

さて、一連の現象を俯瞰しながら今後の展開について考えてみます。この動きは、楽天界隈の一つのローカルな動向というだけでなく、注目すべき、世の中の大きな動きだと思います。

プラットフォーマーと行政の対峙に「テナントの声」が影響を与える?

まず前提として、現代の我々は「プラットフォーマーが作る仕組みの上で生活する・商売する」ようになってきていますよね。楽天やECに限らず、食べログとかgooglemapとか、なんでも。

だから、行政はプラットフォームの動向をチェックしています。以前の記事にも書きましたね。「プラットフォーマーに対する行政の介入が活発化」「今年の公取はブイブイ言わす」件。

今回の現象により、この大きな動きの中で、少なくとも日本では、行政-プラットフォーマーの関係について、「テナントの声」が一定の影響を与えることになる、と言えるのではないでしょうか。公取は独占的地位の「濫用」を理由として介入するわけですから、テナントの声が影響するはず。

楽天以外のいろんなプラットフォームで同様の動きが起こるかもしれませんねー。

公取には公取の事情がある?

公取は別に絶対正義ではなく、プラットフォーマーと同様に、彼らには彼らの悩みと事情がある。「ひとつの立場」だと考えています。そんなことが感じられる記事がいくつかありましたので紹介。

  • 現代メディア:「楽天叩き」に公取委員長が執念を燃やす「これだけの理由」
    • 取材すると、公取のファイティング・ポーズの裏には、政府が今国会に提出予定の「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」(仮称、以下「DPF透明化法案」と略す)が影響している事実が浮かび上がってきた。
    • 経済産業省に公取の権限である独禁法違反事案の調査を肩代わりさせることになりかねない規定が柱となっており、これに“領空侵犯”をされかねないと公取が危機感を募らせているという。
  • ダイヤモンド:楽天“送料無料”への停止申し立ては、「公取委vsGAFA」の前哨戦だ
    • 世界的にGAFAをはじめとするプラットフォーマー規制の議論が熱を帯びる中で、政府は、電子商取引(eコマース)やアプリストアを規制対象に、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法案」を2月18日に国会提出した。
    • これと並行して公取委は、優越的地位の乱用の適用範囲を拡大してプラットフォーマー規制の強化に対処する方針だが、その中で、今回の楽天の事案は、想定する規制の対象にピタリと当てはまるモデルケースとなった。

実際、公取のスタンスに対して、一部識者から批判的な声が出ていました。

  • newspicksの識者からのコメント
    • Amazonの勢いが国内でも増す中で、日本の事業者の足を引っ張るのってどうなのかな?? このままだとGAFAMに全てを持っていかれてしまうよ。国内テクノロジー企業の育成という観点をもっと持って政策に反映させていくべきだと思う。中国はもちろんEUもその方向に向かっていっている
    • 楽天さんが事業上の判断で自ら取り下げられたのなら詮無いところではありますが、万が一にも公取委が生み出した“世論操作”に屈したものならば、グローバルな戦いに挑む他の日本企業が委縮しないかが心配です。

今後について

短期的な話

サポートニュースに詳しく書いてありますが、お読みいただいて、どんな設定をすることによって送料ライン統一を回避できるのか・・送料ライン統一に参加するとどのような導線が得られるかについて確認をしてください。

特に除外したい人については、いろいろ手続きが必要なので、早めに確認することをお勧めします。

「専用フォームからの申請」と「特定送料の設定」が必要です。これらについて詳しい情報は全て出ていないようで、曰く「詳しくは来週3月9日以降」にまた改めて連絡がくるようです。

長期的な話

楽天、公取、店舗・・・もうひとつ大事なステークホルダーがあります。お客さんですね。

一般のお客さんにとって、楽天は、モールは、買いたい場所なのか?「モノだけ送って届けてくれればいい」「わざわざ『店』の存在を感じたくない」と思われる存在であるならば、選ばれなくなっていきます。

我々は、「昔とは違う今の時代」に即した形で、「面倒な手間をかけてでも、一つ一つの店で買いたい」存在でいられるのか?

これからの時代、巨大な直販ECに負けずに「1つ1つの店」は存続していけるのか?楽天と店舗が話し合って、このテーマを掘り下げていただきたいなあと思います。

弊社も微力ながら色々発信していきます。
また続きを書きますねー

P.S.
弊社ではECの運営・経営全般の支援をしています。コロナショックや人手不足の相談、価格改定や競争対策などなど、難しい事柄の壁打ち相手・相談相手として、お話を聞いて、一緒に考えています。相談相手が欲しいなという方は、一度気軽にご相談下さい。

カテゴリー: EC業界ニュース

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