全店舗で送料を統一!など「楽天新春カンファレンス2019」発表まとめ

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こんにちは、坂本です。今回も、楽天の新春カンファレンスに行って、2019年以降の方針について話を聞いてきました。

かなり色んな話が出ましたので、情報を整理・再構成して、解説します。この記事では、「1 楽天市場の方向性」「2 店舗への支援」「3 その他トピック」の順でお伝えします。タイトルにある「送料統一」が気になると思いますが、詳細は検討中で、実施も2020年以降になるようです。まずは全体像から理解したほうが良いと思いますので、ぜひ最初からお読み下さい。

※2/5追記:2/1~2/5の間、一時的に記事の公開を中止していましたが、本日再公開しました。経緯として、記事内容の妥当性について楽天から問合せがあり、協議のため一時的に記事を取り下げました。結果として、内容に間違いがないことが分かり、再公開できました。記事内容は以前と同じで、修正した点はありません。

- 目次 -

楽天市場の方向性

まず「楽天全体としての方向性」があり、目指す姿を実現するために「店舗への支援」が発生します。なので、まず楽天自体の状況を説明します。今回、「楽天市場が時代に合わせてアップデートしていくための、いくつかの方向性」が示されました。

前提:「追う側」としての楽天

特に今回は「Amazonとの比較」や、その上で「ユーザーから見て不足している部分の改善・強化」への言及が多かったです。「追う側」としての自覚と決意が強まったように思います。

三木谷さんの講演では、「楽天市場の強みと弱み」が以下の形で語られました。これらを踏まえ、「強みは強化し、弱みは補強する」という方針で進めるようです。

楽天が考える「市場の強み」と施策

  • 強み
    • 独創性のある個店の集合体
    • 柔軟なプラットフォーム
    • 自由なコミュニケーション
  • 強みを発揮する施策
    • RMSの強化
    • チャットの強化
    • AIプラットフォームの活用

楽天が考える「市場の弱み」と施策

  • 弱み
    • 個性による統一性のなさ
    • バラバラな決済方法と配送方法
  • 弱みを補強する施策
    • クリーンイメージ推進(=画像ガイドライン施行など)
    • 決済手段の統一(ワンペイメント)
    • 物流の統一(ワンデリバリー)

※ここから先の内容は、去年に書いた「楽天EXPO2018のレポート」を踏まえた内容です。去年の発表内容を知らない人は、まずこちらの記事をご覧ください。

市場としての「集客強化」

まず、楽天自体の集客(新規客の獲得)について紹介します。

新規顧客獲得の強化

お気づきの方も多いかと思いますが、実は去年1年で、楽天外部からの来店がずいぶんと増えました

弊社での経験上、実は昔から「来店客の1割程度がgoogle/yahooからの検索流入」という楽天店舗が多いんですが、去年1年で更に増えました。楽天がかなり広告を出して集客を強化したんです。実際、弊社のクライアントでも、「検索エンジン経由で楽天店の売上が大きく伸びた」ケースがあります。

ここから下が楽天の発表です。

  • 2018年は、Google等のデジタル広告や新規客向けのキャンペーンを強化しました。「初めてお買い上げの方へ:1000円OFFクーポン」「楽天市場アプリ新規DL:1000ポイントプレゼント」など。投資額は去年の2倍超。
  • その結果、2018年1月より右肩あがりに伸びていき、デジタル広告経由の新規獲得ユーザ(リターンユーザー含む)は前年の1.8倍となりました。

楽天モバイルの促進

去年話題になった「第四のキャリア」としての携帯事業参入の件です。もちろん「楽天市場の集客施策」より大きな話ですが、これが進めば楽天への入口が増えることを意味します。

三木谷さんの話を意訳すると、我々は新しく参入したが、だからこそ「cloud native」で進められる。従来型よりも軽量でスマートな運営ができる、「去年、某社が大規模障害を起こしましたがああいうことはありません」といったお話でした。最後の一文がスパイシーですねw 私、去年の終わりに「もはや経済圏同士の争いですよね」という話を書きましたが、まさにそういう風情です。

アフィリエイト強化

以前の記事で紹介した「楽天アフィリエイトへのテコ入れ」も、市場への送客強化です。

ご存じの通り、いま物販系アフィリエイターの多くがアマゾンを推していますが、これを楽天のアフィリエイトに差し替えるべく、アフィリエイターに対して接触している・・とのことでした。

ユーザー体験の「シンプル化」

前述のように、お客さんが楽天を評価しているところは、店舗の多様性です。ただ、多様性がある故に、楽天で買い物するときにはごちゃごちゃしている、という弱点も併せ持っています。

店舗によって決済方法が違う、配送手段が違う、、という「買い物体験が統一されておらずバラバラで使いづらい」という問題があります。この「モールの宿命」をクリアするための施策が進行中です。

それが、ワンペイメント、ワンデリバリーなど一連の「One○○」シリーズです。統「一」されたプラットフォームにより、ユーザからみると買い物体験がシンプルでスムーズになります。楽天の強みである「店舗の個性・多様性」を担保しつつも、「One○○」によって利便性も同時に実現することを目指しているようです。

ONE Payment:決済の統一

既出です。楽天ペイで「決済手段が統一」されましたね。

ONE Delivery:配送の統一

これも既出です。昨年の楽天EXPOで発表され、話題をさらった、ワンデリバリー構想。これは「配送の統一」です。現在も、楽天スーパーロジスティクスで統一に向け推進中とのことでした。

以下、今回出てきたトピックです。

  • 楽天スーパーロジスティクスの拠点を更に拡大(2019年中 導入予定)
    • 枚方・流山の物流センターを1/18稼働
    • 「外部物流会社」と連携し、今後さらに規模を拡大

楽天スーパーロジスティクスの価格表も紹介され、「(アマゾンの)FBA と比較してかなり割安です」「皆さん写真撮って下さい」と、熱いアピールがありました。特に、「配送費」はだいぶ安いようです。

  • 在庫保管料:7.5円/月/PCS
  • 出荷作業料:50~200円/PCS(※サイズ別に料金異なる)
  • 配送費(資材費含む):180~850円(※サイズ別に料金異なる)

また、あす楽だけだけでなく「きょう楽(当日配送)」「深夜配送」「置き配」「店舗に訪問しての集荷」などが追加されていきます。

ONE Tariff(タリフ):送料の統一

これが、今回の最大のトピックです。店舗ごとに異なる送料基準を統一し、ユーザがシンプルでスムーズに購入できるようにします。 ※タリフ=運賃という意味です。

そのために、どの店舗であっても「一定額以上の買い物で送料を無料にする」「店ごとに事情は違うが、それでも進める」という方向性が示されました。

つまり、いわゆる「送料無料ライン」を全店舗一律で設定し、かつ「送料無料ラインの金額を全店一律にする」わけです。※クール便などの例外はあるだろうとのこと。

時期としては、まず今年(2019年)いっぱいかけて店舗にヒアリングしながら検討し、方針を固めていくとのこと。ですから、少なくとも導入自体は、2020年以降になるようです。

とはいえ現実問題、送料無料ラインは、商材によって状況バラバラです。日用品などであれば低め(3000円送料無料とか)だし、8000円とか1万円で送料無料にするお店も多いですよね。どうなるんでしょうね。個人的には、日用品合わせの低めラインかな・・と想像しました。AmazonのPrimeNowで買うときに2500円以上必要なので、そのへんかなあ。となると、店としてはやっぱり送料を売価に転嫁することになるのかなあ・・このあたりはまた書きますね。

この形で進めることにした論拠として、「楽天が行ったユーザへの調査」の結果が紹介されました。楽天が、ユーザに対し、送料について3つの選択肢を示し、選んでもらいました。「(1)何を買っても同じ送料」、「(2)月定額払いで送料無料」、「(3)○円以上送料無料」これらの選択肢のうち、どれがいいかを聞いたところ・・圧倒的に「○円以上送料無料」を希望する人数が一番多いとのことでした。

もう1つ論拠があります。「南米の楽天」 とも呼ばれる、ブラジルのEC「メルカドリブレ」での成功事例です。この企業は、ECのマーケットプレイス事業をしており、一時期成長が鈍化(やや昨対割れ)しましたが、「全店舗で送料を一律にする」ことによって、成長スピードが劇的に回復したそうです。

「送料統一」の方法を想像

ここからは私の想像です。

「全国どこからどこに送っても送料を同じ」にするのは、合理的に考えて、無駄が多いように思います。なぜなら、「徒歩5分のコンビニでも売っている商品」を「わざわざ北海道から沖縄に送る」という買い物を頻発させることになりますよね。その過程で、無駄なコストが増えます。価格競争力も低下しますから本末転倒です。

そもそも、シンプルにしたいのはあくまでも「ユーザー側の体験」です。だから「そのユーザからの見た目が一律の送料無料ライン」になるのが正しい状態かなと。たとえば福島県郡山市に住んでいるユーザから見て、全店一律になればいい。北海道旭川市のユーザから見て、全店一律になればいい。

具体的には「当該ユーザに対して一律送料に出来ない店/商品」は、検索結果から除外する。もしくは検索順位を落としつつ「追加送料が必要」という情報を添えて表示する。

そのようにして「当該ユーザーと当該店舗との『距離』を踏まえたパーソナライズ(※)」で、送料問題はクリアできるのではないかと考えました。つまりパーソナライズド検索で、ユーザと近所の店とをマッチングさせる形にすれば、運賃は安いし、配送も早いですからね。私の願望じみた想像ですw 実際はどうなるのかなあ。。

※パーソナライズドとは例えば具体的には、女性がシャツを検索した際に、男性のシャツが表示されなくなったり、自分のサイズに即したものが出てくるアレです。

店舗接客による「1to1体験」

楽天市場の強みである「たくさんの店舗」を活かして、人間的な接客を強化していきます。ユーザが「お店の人に直接応対してもらえる体験」ができるよう環境や道具を整え、同時に店舗にも1to1対応を促していくようです。

これについては、この後詳しくお伝えします。

店舗への支援

前提:「シンプル化する分野」と「濃密になる分野」

ここまで書いたように、楽天市場は、自社の方向性やサービスをアップデートしようとしているわけですが、俯瞰してみると、シンプル化・自動化する部分と、濃密になっていく部分とがあるように感じます。楽天ペイ「商品画像登録ガイドライン」は、シンプル化していく部分です(店側の対応は複雑化しますけど)。一方、「店舗とユーザの直接対話」については、濃密になっていく部分だと言えそうです。

楽天は、店舗に対して、まず「シンプル化」への協力を求めています。同時に、「1to1対応」してもらうための武器を配っています。それが以前の記事で紹介した「チャット」です。ここに新しい道具が加わります。1to1対応をしやすくするための「顧客の行動データ」です。

ただ、そうはいっても店舗は忙しいので、あわせて「効率化」の道具も配ります。これはAIを使った自動化や分析ツールです。

これらの支援策について、順番に説明します。なお、支援とは書きましたが、ラクになるかどうかはわかりません・・最初は混乱も多いでしょうね。

チャット接客(1to1対応)の支援

実は、最近リリースされたばかりの「R-Chat」について、早くも名前が変わりまして「R-Messe(メッセ)」になりました。これは、LINEやfacebookメッセンジャーのようなイメージで、チャットと違って「必ずしも即レスするわけではないよ」という意味が込められているようです。あと、メールよりもやり取りがわかりやすくなりそうですね。

顧客管理機能の拡充(2019年下期 導入予定)

ユーザの行動情報を一括で確認し、よりきめ細やかな接客が出来るようになります。過去の行動・会話情報を蓄積して、店舗側のツールから閲覧できます。

たとえば、お客さんとメッセンジャーでやりとりしながら、そのお客さんが過去に買った商品や書いたレビュー、問合せ内容、チャットでの会話内容などを確認しながら、的確な応対ができるようになります。チャットと違ってリアルタイム対応はしなくていい感じです。

カンファレンス会場では、この「メッセ」と行動情報データの利用シーン(のイメージ)が動画で紹介されました。その映像では、ユーザ側も店舗側もスマホでやり取りしています。印象としてはLINEですね。で、単なるLINEではなくて、店側はここから色々な顧客情報を調べられながら、お客さんとやり取りが出来ます。

まずお客さんからメッセで質問が来ます。「このジャムは何に合いますか?」「実はチーズにも合いますよ。こちらおすすめです」「じゃあチーズも一緒に買います!」などと、「お客さんのことを記憶しているベテラン店員」みたいな応対が出来て、お客も満足!客単価も購入率もUP!みたいな映像が流されました。

また、どのくらい過去に買ったのかの額や、平均レビュー点数(低いとクレーマーかも)なども見えるようです。

現時点ではまだユーザが活発にチャットを使わないので何ともですが、これうまく作用したら「データを見て的確な応対をする → お客さんが感動する」みたいな展開になるから、チャット応対業務は「楽しい仕事」になって、お客さんも店員のファンになったりして、スタッフオブザイヤーで表彰式があると楽しいなあ。店よりヒトの時代になるのかもなあ。(妄想)

チャットボット導入

リアルタイムではないとはいえ、張り付いて質問対応するのは大変なので、自動である程度の応対ができるAIチャットボット(自動チャット対応)を強化することで、問い合わせ対応の負担軽減に繋げます。ボットで自動対応しきれない相談が店舗側担当者に届くという仕組みです。FAQコンテンツの進化系ですね。

曰く、チャットによる問合せ全体のうち、8割程度まで自動応答率を上げたいとのこと。

ライブショッピングサービス「楽天Live」(2019年導入予定)

いわゆる、Liveコマース用の動画配信サービスをリリースするとのこと。メルカリチャンネルなどのように、リアルタイムでの動画販売が可能になります。よくわからない方は「スマホで閲覧するテレビショッピング」をイメージしてください。

メルマガなどでファンがついていたような、コミュニケーション上手な店舗の方や、「写真や説明だとうまく伝わらない商品」の案内には良いかもしれません。チャットもそうですけど、今後は「店頭での接客経験」があるスタッフが活躍するのかもしれませんね。

AI活用による意思決定支援

AIが、自動的にデータを集計・分析するなどして、お店に対して「こういうことをしたらどうかな」等と提案をしてくれます。

AIによる自動価格計算機能導入(2019年4月に導入予定)

なんと「AIが値付けしてくれる」という機能の紹介がありました。すでに一部店舗で導入され、成果が出ています(後述)。データ分析ロジックにより、AIが商品価格を最適化するとのこと。「売上・利益最大化」と「在庫削減」という目的別の2つのメニューから選んで使えるようです。

確かに、あまり根拠がなく「なんとなく値付けをしている」という方も実は結構いらっしゃるので、面白い試みだと思います。弊社コンサルティングでも値付け見直し(ほぼ値上げ)の提案をよくやります。値上げはそのまま利益が増えるので、とても有効ですよ。

AIが必要かどうかはわかりませんけど。ちなみに、メルカリでも同様の機能がありますが、利用者に聞くとあまりあてにならないという声もあります。

導入事例:売上や利益が向上
  • 売上・利益最大化メニュー
    • 日用品ジャンルで、「売上+29.4%、利益+31.9%」
  • 在庫削減メニュー
    • ファッションジャンルで、「売上+20.9%、在庫削減率改善pt +6.5pt」

AIが自動でクーポンなどの販促提案(2019年4月に導入予定)

RAT(楽天アナリティクストラッカー?)というツールだそうで、店舗のデータを踏まえて、このキーワードを狙えとか、このクーポンを発行しろ等と提案をしてくれるんだそうです。

タグ(属性情報)の自動付与

既に実施されている、楽天によるタグの自動付与。これも強化されるようです。AIが全商品ページを巡回・分析して、よりその商品に適したタグを自動で付与していくとのこと。自動付与されたタグを経由してかなりの集客があった、つまり自動でタグを付けることによって集客増に貢献できました、という事例も紹介されました。

  • 登録した商品情報(カタログID、商品名、商品説明文)
      +
  • 楽天のデータ資産・AI(プロダクトカタログ(マスターデータ)
      ↓
  • タグ自動付与件数:1億2千万商品(2億800万タグ)
タグの自動付与による効果

タグからの流入は約2.6倍に

  • 2017年9月→2018年9月:+162%
    • タグ利用導入(何もしない場合)+21%、+自動タグ付与による流入

分析ツールによる販促精度向上

分析ツールを強化することで、「売上や利益を伸ばすヒント」を見つけやすくするようです。

マーケティングレポート(2019年上期 導入予定)

楽天店舗の分析といえば、「売上=アクセス人数x転換率x客単価」が基本でしたが、新しく「ファネル」というシンプルな考え方が登場します。Webマーケティングでは基本中の基本です。パイプラインともいいます。問題箇所をざっくり特定し、施策検討するのに使えます。

具体的には「購入に至るまでのフェーズ」を定義して、各段階のユーザがそれぞれ何人いるかをレポートします。このレポートを見るといろいろわかります

フェーズとは:認知→興味→購入→リピート、の4段階。各段階のユーザ数を、実数とグラフで可視化します。定義としては、単に商品ページを見ている人は「認知」フェーズで、カゴに入れた段階の人は「興味」フェーズです。だから、カゴ落ちすると、「興味客数と購入客数の差」が大きくなるんですね。すると、ここでドロップしているんだなーと分かるわけです。

更に、様々なセグメントで分析が出来ます(ex.会員ランク別、男女別・年代別・地域別)。たとえば会員ランクとファネルをかけ合わせてみると、「ダイヤモンド未満の会員のカゴ落ち率が高い」なんてことが分かるので、自然と策が見えてくるはずだ!という意図なんでしょうね。コンサル屋としては楽しみな機能です。

※ちなみに、2010年に出した弊社の書籍には「潜在客→来店客→購入客→継続客」の4段階が定義されております。考え方としてはほぼ同じです(自慢)。

RPP広告の機能改善

これまでRPP広告は、なかなか中身が見えなかったわけですが、機能が強化されて分析しやすくなります。

  • 商品別パフォーマンスレポート
    • 商品毎の広告効果を可視化、より効率的な広告運用が可能に
  • キーワード設定機能
    • 商品ごとにキーワードを10件登録
    • キーワードごとに入札単価を設定
  • CTR向上(クリックされやすくなる)
    • これまでRPP掲載商品の情報はシンプルだった
    • 今後は、レビューやポイントの情報も追加表示されます※

※つまり「一般の商品と同様の見え方」になるので、クリック率があがって、広告の費用対効果がアップしそうです。

こういう広告は、考えなく恒常的に出し続けると収支を圧迫する可能性がありますが、期間と目的を決めて試してみるのはいいかもしれません。

管理ツール改善による効率化

楽天ペイのデザイン変更

導入後、店舗に改善点を聞いてみると、以下の3箇所にほとんどのリクエストが集中した。これを踏まえ、使いやすいデザインに修正するとのこと。

  • 1.注文詳細一覧の実装 :一覧/詳細一覧の切替が可能になる
  • 2.より快適な操作環境へ:視認性を高める
  • 3.情報構造の再整理  :閲覧頻度の高い項目を一番上に、ステータス表示と入力項目を集約する等

※ちなみに、楽天ペイに限らず、楽天市場のデザインについても店舗の意見を元に改善していく予定とのこと。

SKU管理の導入(項目選択肢別在庫の置き換え)

昨年のEXPOで発表されていましたが、SKU毎の細かい商品情報管理が可能になるということです。

  • 価格、カタログID,送料などをSKU毎に設定できるように
  • 項目を修正する際の削除→再登録の作業が不要に

タイマー機能の拡充

これもEXPOで既出ですが、セール、イベント時にあらかじめ期間を指定しておけば、価格・画像・テキストを自動変更できる機能ですね。セール開始/終了時のあの手間が軽減されます。

スマホアプリ版RMS(上期の終わり頃を予定)

スマホアプリ版のRMSが登場します。

今年の夏の終わりくらいまでに、店舗に提供予定とのこと。RMSの作業全てをスマホ上でできるものではないが、よく使う機能をスマホアプリで操作・閲覧できるようになるとのこと。
移動中などのすきま時間でも店舗運営が可能になる、かもしれません。特に、お客さんとのメッセでのやりとりには便利そうですね。

  • アプリでできること
    • 簡単なログイン
    • 商品データ編集
    • 店舗分析レポート
    • 顧客管理情報
    • 問い合わせ機能
    • プッシュ通知

送料の「見える化」を推進

送料案内の機能を拡充することで、お客さんから見た、「いったいこの商品の送料いくらなの?」を解消するとともに、店側の対応負荷を軽減します。

  • 地域ごとの配送設定:サポートニュースでも予告されていましたが、地域別送料テーブル設定が変更され、わかりやすくなるようです。
  • 配送通知の整備(2019年導入予定):配送会社と協力し、ユーザーに対し、楽天市場のお知らせ機能や楽天市場アプリでのPUSH通知など、発送、到着直前、不在、再配達、配達完了、返品、といったステータス毎の配送通知を表示できるようにしていくとのこと。
  • 送料の明確化:居住地や指定した配送先、配送方法と連動した送料が具体的に表示されるように。

カスタマーマーケティング広告(旧R-Message)2019年2月導入予定

これも既にサポートニュースで案内されていますが、店舗側で作成した原稿を、ユーザーの閲覧・購買行動に合わせて楽天側でメール配信する、「クリック課金型のダイレクトマーケティング広告」です。

もともとはR-Messageという名前で、前回の弊社の記事では「R-mailに代わるリピート促進機能なのにクリック単価が高すぎる」と書きましたが、その後名前が変わって、正式に「広告」だということになりました;_;残念。

前回の記事でも書きましたが、これには、シナリオとターゲティングの2種類があります。購買開始情報や購買履歴をもとに配信する「シナリオ」機能は、2/19にリリース予定。その後、購買前の行動(閲覧履歴)をもとに配信及び商品選定をする「ターゲティング」も準備されている模様です(リリース日未定)。

R-Mailとこの「広告」の比較スライドが出てまして、開封率が+65%、開封後送客率が+40.4%高い数字が出ていました。広告と言われると違和感があるなあ・・。

その他のトピック

他にも、店舗の対応が必要なことや、新サービスの案内がありました。

消費税の改定に伴う、税率変更対応

消費税増税が、今年10月に予定されています。これに伴う、税率変更の対応を、「9月末まで」に行う必要があります。

軽減税率の問題がある(=食品は8%になる)ので、楽天側では「RMS上で商品単位の税率設定ができる」ようにします。7月末までに、RMSの機能をベンダーに公開し、店舗側は以降順次対応できるとのこと。

対応が必要な作業は3つあります。

  • 1.商品ページへの情報入力
    • 配送が2019/10/1以降になる場合の追加請求について
  • 2.税率の変更(R-storefront)
    • 店舗税率、商品税率など該当項目を修正
  • 3.注文データの修正(R-Backoffice)
    • 既に受注した商品で、配送が2019/10/1以降になる場合、修正

違反点数制度まわりの刷新(2019年2月導入予定)

違反点数制度の内容を改定

今まで、ガイドライン違反があった店舗は、違約金(罰金)が取られれましたが、今後は軽微な違反であれば、「WEBや対面での講習を受講することで」違約金は免除されるとのこと。

経緯として、そもそも違反点数制度は「意図的に悪質な行為」を排除するためのもので、悪意のない誤りを指摘し、違約金を取るのは違うだろう、という意見があったため、変更に至ったようです。

  • 違反レベルⅠ・Ⅱは違約金を撤廃
  • 講習受講により各種制限免除、学びを強化
    • レベルⅠ講習(WEB):講習を受ければ、違反レベルⅠが免除される
    • レベルⅡ(対面)  :講習を受ければ、違反レベルⅡが免除される

第三者組織の設置

  • 外部有識者の助言も踏まえた楽天市場のルールづくりへ

楽天EXPOの刷新

夏の楽天EXPOががらっと変わるようです。「オプティミズムカンファレンス」として、今年の夏に横浜パシフィコで開催。エンドユーザを呼んで10万人規模と大規模なお祭りのようなイベントになるとのことです。

もともとは楽天グループがアメリカで開催したイベントなんだそうです。いわばアメリカ版の楽天EXPOですかね。参考:アメリカで開催した動画

※ちなみに「オプティミズム」というのは「楽天的」という意味ですw 英語圏で「実はオプティミズムとは日本語ではRakutenなのですよ」って言うから意味があるのであって日本でオプティミズムといっても意味が伝わらないのではないかと勝手に心配してます。

タウンミーティングを全国9会場で開催(2019年2月以降)

昨年から始まっている、小規模なタウンミーティングについては、今年も山梨・滋賀・京都など、8会場での開催が決定しているとのこと。

事業承継アシストサービスを開始(本日1/30から)

開設から21年を迎える楽天市場では、EC店舗の高齢化も目立ちはじめているようです。実際、弊社のクライアントさんからも「そろそろ楽をしたい」「子どもに引き継ぎたい」などのお声を聞くことも少なくありません。社会的な問題である後継者不足、事業承継問題の相談や店舗委譲のマッチングをサポートしてくれるようです。

まとめ

いやー長すぎる!ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回の発表は、去年、楽天 EXPO で発表された方向性が具体化するとともに、ちょっと先走っちゃったかなと思える部分が現実的に訂正される(R-Chat→R-Messe)などの方向の調整もあり、徐々に「新しい楽天市場」が現実味を帯び始めてきましたね。

「未来の中小企業」が垣間見えた

テクノロジーが世の中すべてを塗り替えようとしている中、人間を主体とする中小事業者は、どのように存在感を出していけばいいのか。弊社は「中小企業の支援」を存在意義としているので、この問いへの答えをいつも考えています。

この問いに対する「楽天からの答え」が、今回発表された「人間が AI の支援を受けながら味を出す」「店舗の多様性は維持しつつ、基幹部分は統一する」という方向なのかなと思いました。

三木谷さん語録の中に「概念は相対化し、揺らぎながら進化する」というものがあります。ちょっと難しい表現ですが、要は「物事は、まっすぐではなく、ふらふらしながら進化する。対立したり、相互作用を経て統合したり、そうした揺らぎを通して進化が起こる」的な話で、自分としては「矛盾が矛盾でなくなる過程で進化が起こる」といった意味に理解しています。

で、今回の発表を通して、楽天は、AIと人間、多様性と統一プラットフォーム・・といった対立要素を融合させて、「小企業によるEC」をアップデートしようとしているのかなと感じました。だから単に「Amazon化だよね」という一言では片付けられないなあ。

「店舗の都合」と「楽天の都合」は別

ただ、これらの方針は、あくまでも楽天が、自社のために打ち出したことです。楽天が「あなたの(御社の)店や会社が進むべき未来」を代わりに考えてくれたわけではありません。自分の商売は、自分で考えて、自分で動かしていかないといけませんよね。この提案を受けて、じゃあどうするのか、各店舗の立場から、各店舗の答えを出していかないといけません。自分はどうするのかを決めないといけません。

楽天はどうあれ、そもそもが世の中が変わってきていますからね。どこの売り場に注力するにせよ、世の中からは逃れられません。

以前のブログ記事(の末尾)でも書きましたが、こういった動き(矛盾の統合)は、必ずしも楽天独特のものではなく、新しいECや、これからの世の流れを表わしているはずです。

なので、本件は、楽天対応の話というだけではなく、自店舗の未来を考えるために、じっくり考えていただきたいです。

  • 「これまでの人気店」と「これからの人気店」はどう違うのか?
  • 「これまでの売れかた」と「これからの売れかた」はどう違うのか?
  • 「これから」の変化を前提として、自分はこれからどう変わるべきのか?

難しいですけど、逃げずにちゃんと考えれば、パワーゲームに巻き込まれずに済みそうな気がします。私も、自分の答えを探してみます。

PS

目先の波を乗り越え、足元の利益を維持しつつ、未来について考えたい・・という方は是非弊社のコンサルティングをご検討下さい。弊社が何かお手伝いできるかもしれません。

カテゴリー: EC業界ニュース

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