長時間労働は必要か:原因と対策と生産性向上について


こんにちは、坂本です。
最近、「長時間労働の規制法案」が話題になっていますね。

政府の「働き方改革」の一環として、残業の上限を、月平均60時間(繁忙期は最大100時間)にして、違反すると罰則、という方向で調整中とのこと(参考記事)。引っかかる会社多そうだなー

これを受け、SNSで色んな経営者の方が「でも長時間労働も仕方ないよねぇ」というお話をされているのを見て、納得したり反発したり、色々思ったことを書きました。

小企業ではありますが、私もいち経営者ですし、お話しはよく分かります。ただ・・

トレーニングの観点

だいたいこういうコメントを見かけます。

  • 長時間労働は、効率が悪いし体調を崩す
  • 長時間労働することで力が付いた
  • 楽しんで長時間労働してるんだから制限は不要

よく読むと、主語が違います。前者は「社員に長時間労働をさせると」、後者は「自分はこうだった/こうだ」です。

「修行」としての長時間労働

経営者の方はだいたい「ガンガン働いて力が付いた」「だから長時間労働は大切」と仰います。確かに自分もそうでした。

人間は、己に適度な負荷を掛けることで成長するんだと思います。仕事も筋トレと同じで、徐々に負荷を高める必要があるし、低すぎる負荷は成長を妨げる

その人が成長して、あるいは元々力があって、通常業務で負荷が足りない場合は、(本人が自分の意思で)仕事を深掘りしたり広げたりして、負荷は自然と高くなる。結果として時間が長くなることも多いと思います。本人が筋トレしたいのに、「重いバーベルは危ないから禁止」というのは変な話です。

ただし、それは「能動的」であることが前提です。

「事故」としての長時間労働

仕事の場合は「良かれと思って拾い続け、あるいは巻き込まれて、負荷が大きくなって、身動き取れなくなった」というケースも多いですよね。

その場合は早めに負荷を取り除くのが大事かなと思います。「これもやっといて」で、気がつけばベンチプレス150kgになって身動き取れない。ほっとくと肋骨折れます。これは、筋トレではありません。事故です。

人が良かったりマジメだったりすると、どんどんバーベルの重さが増える(=担当範囲が増える)ので、トレーナー・・じゃなくて上司は、潰れないように様子を見たり話を聞いたりする必要がある。もちろん、本人も早めにヘルプを出すことが必要。(衰弱するとそういう発想も出来なくなるわけだけど)

受動的ななまま、成長や気づきと関係なく、どんどん負荷が加算されている状態です。潰れます。

提言:トレーナーになろう

つまり、仕事の負荷と「成長」を関連づけて語るのであれば、筋トレ同様に「その人の能力に応じた負荷のコントロール」も考慮すべきではないかという話です。考えて、段階的に調整すべき。

「強いカラダになるためにはベンチプレス150kg(=長時間労働)も必要だよね」というマッチョな発言は、果たして競技者としての発言なのか、トレーナーとしての発言なのか。前者なら立派。後者ならヤバイ。

腕立て出来ない人に無理やりやらせて、出来ないから叱り飛ばして、見本を見せて、またやらせて出来なくて・・という状態になっていませんか。あの「イケてない体育教師状態」になってませんか。

能力の発達段階を考慮して、適切な負荷になるよう調整していく必要があると思います。伝え方も段階によって違ってきます。

※まあ寮住まいの高校野球選手じゃないので、部下を完全管理下に置くわけにはいかないし、そうすべきでもないですが、せめて「上司部下で頻繁に面談して、今の課題は何だと思っているか・どう取組んでいるか・コンディションはどうか」などはヒアリングすべきではないかなあと思います。

採用の観点

ちなみにトレーナーじゃなくて俺は経営者だという場合・・

たとえば「うちの事業を続けるためにはベンチ150kgやる筋力が必要なので段階を踏ませる余裕なぞ無いわッ」「まったく軟弱で困るッ」という場合は、どうすればいいのか。

「羊頭狗肉」問題

いやでも、会社として選考して採用したんですよね。この人ならベンチ150kgやれる(やれるようになる)と判断しましたよね。本人に対しても、入社時に「俺と同じくらい修行してガチムチになることを期待しています」とか説明しましたよね。

もしそうでなければ、採用が問題です。

労働時間含めガンガンに働く必要があるという現場の実態に沿った選考プロセスと、マッチョ志望者が集まるような採用メッセージを考えるべきではないでしょうか。つまり、採用条件を正直に書いたらどうでしょう、って話。

ブラック企業と修羅の国

「わきあいあいとして楽しい職場です」つって人を連れてきて、地獄の猛特訓に放り込んでみて、生き残った人だけが強靱な戦士になる・・というのは、北斗の拳における修羅の国、あるいはタイガーマスクにおける虎の穴です。生き残りは強いかもしれませんが、その背後には死屍累々。

人が沢山居る時代ならともかく、採用が難しくなる時代にそんなことをやってはいけません。社会的損失です。

そういえば、大学時代の友達が入社した会社が、かなりのブラックで。マジメだから振られるがままに仕事を受けて、潰れ、入院しました。その会社の人は誰も見舞いに来ませんでした。病室で衰弱しきった彼の姿を今も覚えています。彼はそのあと仕事を辞め、もう正社員にならない、という判断をしました。色々話しましたが頑なでした。彼は優秀でした。違う会社に入っていたらどうだったかな、と今も思います。

雇用において「生き残ったやつが強い」という価値観は、社会の迷惑です。 自然淘汰の結果としてそうなる側面はありますが(そうじゃなきゃおかしい)、なるべくそうならないよう、採用や育成(特に採用時点)を頑張るのが会社側の義務じゃないかと思います。

提言:魅力的で正直な求人を作ろう

そんな話をすると、こういう話を頂きます。

「うちは中小企業だから待遇イマイチで正直に書くと応募が集まらない」云々。 いや、これは単に「伝えようとする努力」の問題です。

騙し売りや安売りじゃない「正しいセールス」ができる社長さんであれば、そのセンスを採用メッセージで発揮すれば解決すると思います。ほんとに。安けりゃ売れるわけじゃないのと同様に、待遇さえ良ければ人が集まるわけじゃないですよ。

勤務開始後の負荷についても、事前期待のコントロールしておけば大きな問題にはならないはず。伝え方です。

生産性の観点

そういえば最近、長時間労働NGっていう話と同じくらい、「労働人口が減っていく我が国においては、生産性向上がとっても大事」という話もよく聞きますよね。

そもそも「昔と同じ」じゃムリ

つまり、我が国が抱える問題は、「新入部員が少なくて練習時間も限られる公立校の部活が、どうやって上手にトレーニングして、スポーツ推薦バンバンの競合校に勝つか」と同じなわけです。つまり、昔とは状況が違う。

だから「ワシの若い頃の練習量と練習メニュー」の踏襲とかしてる場合じゃなくて、「(その頃の良さは残しつつ)弱点をカバーする新しい工夫」を考えていかなければならない。修羅の国じゃダメ。

正解がない状態での手探りは苦しいものですが、痛い目を見て、試行錯誤し、日々新しい工夫をします。過去の成功体験にとらわれず、色々変えていかないと・・AIが背後から迫ってますからw

自分の苦労を引き継がせない

的を得た長時間労働は、それをやりきった個人を成長させます。でも、今は、あらゆる環境が変わってきています。

「ワシの時代の正解」は一旦脇において、無理なく生産性を上げる「新しい考え方」を作っていかなければいけないのではないでしょうか。

私も、若い頃に(前職で)学んだことは一部参考にしていますが、踏襲はしていません。文化として真反対な部分も多いですね。

「昔の私」がいまの当社に来れば、もっと濃い仕事ができて、もっと早く成長できる。そんな職場にしたい・・と願っています。

事業のムリを人間でカバーするな

あと、もうひとつ。

戦略の失敗を人力でカバーしようとすると、特攻隊になります。これが「ブラック」の構造だと思います。どうしても改善が難しいのなら、それは社員や仕組みではなく、「事業そのもの」が疲弊していて、改革が必要なのかもしれません。

このケースは結構多そうです。

まとめ

どうすればいいのか

じゃあどうすればいいのか。

理想論ですけど、

  • 上司として仕事力はマッチョ級でありつつも、
  • 社内では上手なトレーナー
    であってほしいなと思ってます。
  • 新人が、多少力がなくても「段階的に成長できる」体制。
  • 無駄や悪習を省きまくって、長時間ガンガンに働かなくても成長できて成果も出る。
  • で、ガンガンに働くと更に成長できる。
  • 経営者としては「会社の実体に沿った採用メッセージと選考」が出来ていて、
  • 「中身に沿った人材を募集しているから採用後も無理がない」状態

多くの会社がそうなれば、生産性は上がっていくと思うのです。
ウチはまだまだですが。。今10年目で、ここまで紆余曲折ありましたが、そうなれるよう進んでいる途中です。

今後も発信します

ただ社員はとても成長してくれていますし、弊社の働き方はテレビから取材されたり、感心されたりはします。残業は月5~20時間くらい。時間濃度が高いから楽ではないと思いますが。(会社自体もそれなりに成長してます)

なのでこのブログでは今後、弊社での働き方や仕事の進め方についても、未熟と知りつつ恥を忍んで色々発信しようかと思っております。はい。

ということで、長時間労働規制の法案が通ったら、この機会に生産性について考え、仕組みを改めることをお勧めします。

そういえば私、昨日で40歳になりました!不惑からは程遠いですが、精進していく所存です。世の中大変な感じですが、皆で頑張っていきましょうー

 
 

PS
弊社のコンサルティングは教育や採用や体制づくり、業務効率化もカバーしています。会員の皆さんは担当コンサルまでご相談ください!(最近忙しくてご無沙汰の方は特にw)

PPS
どうしてもブラック的になってしまうのなら、それは事業に無理があるのかもしれません。事業の無理をヒトでカバーするとブラックになります。利益率や業務効率向上、あるいは新市場の選定などで弊社がお手伝いできるかもしれません。

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