取引先依存に注意!経営者が心得ておくべき、リスク分散と与信管理の話

こんにちは。コマースデザイン代表の坂本です。
今回のテーマは、「取引先の与信管理は大事」という話です。

結論は、いま申し上げた、このひと言に尽きます。ですから、すでに「取引先の与信管理は基本的なこと」と心得ている方にとっては、新しい話ではないかもしれません。

では、なぜこのテーマを取り上げるのか?というと、当社のクライアントさんの中に、最近、与信管理の取り組みを始めたという方がいたり、私自身も以前少し勉強をしたことがあったからです。普段、与信管理のことをあまり意識されていない方に向けて、情報や知識をシェアしようと思い、今回お話しさせていただきます。

与信管理はなぜ必要か?

与信とは、読んで字のごとく、取引先に信用を与えること。

企業間では、継続的な取引をスムーズに行うために、サービスや製品を納品した後に代金を受け取る与信取引(信用取引)が主流ですよね。これは当たり前のことですが、相手が「必ず代金を支払ってくれる」という前提があるから成り立ちます。

つまり、相手への信用が保たれていてこそ、取引が成り立つわけで、逆に信用できない相手だったり、経営が危うい状況だと、代金の回収がうまくいかなかったり、お願いしていた製品が納入がされないといったリスクが生じます。

そうならないように、取引先について情報を収集し、与信のチェックを行っておくことは大事です。

例えば、商品を仕入れている先や仕入れ元の会社*、あるいは、BtoBの事業を行っている場合は、商品を卸している会社や納入している先の会社が対象になります。

*仕入れ先と仕入れ元
メーカーから直接仕入れる場合は、「仕入れ先」になりますが、小売業では、仕入れ業者(卸業者)から仕入れたものを消費者に販売することが多いです。この仕入れ業者のことを「仕入れ元」と呼びます。

B to Cのネットショップの場合

ネットショップは、大勢のお客さんに商品を売る商売なので、仮にお客さんのうち特定の個人が破産したとしても、別に商売が困ることはないですよね。

しかし、例えば、仕入れの全てを、1社の仕入れ元に依存している場合はどうでしょうか?
あるとき、「その会社が潰れてしまった」とか「大幅な経営方針変更によって取引ができなくなった…」など、想定外の事態が起こったら、大問題ですよね。

B to Bの商売の場合

BtoBで、たまに特定の取引先に、ものすごく偏って依存している商売をしている所があります。
仮に、「うちで作っている商品は、全て〇〇に卸しています」という場合、その取引先から、「次から別の会社にしますので」と言われた瞬間にもう終わり、みたいなところがあります。

そもそも、特定の何かに依存するのは危険!

つまり、仕入れにせよ、BtoBの商売にせよ、特定の企業に依存するのは、非常に危険ということです。
与信管理云々の前に、依存体質を改善して、リスクを分散していく必要があります。

例えば、いまとても売れている人気の商品がひとつあるとします。その売れ筋商品に、売上の9割を依存している状態を想像してみてください。非常に危険ですよね。

「いま売れている商品はトレンド型だし、競合も増えてきたから、このままいくとまずいな...」

心の内ではそう思っていたのに、ズルズル放置して、いよいよ売れなくなってしまう。すると、結果的に…

「お金もないし、時間もない。どうしよう!!」

こうなってしまうと、なかなか有効な打ち手も少なくなってしまいます。

少し話が脱線しましたが、お伝えしたいのは、「特定の何かひとつに依存するのは危険」ということです。
商品もそうですし、仕入元や卸先についても同じです。

与信管理の方法は?

最近は、円安やロシア上空の飛行制限の影響など、いろいろな原因で商品調達が難しくなるケースがありますよね。

ですから、仕入れにおいて、仕入先・仕入元を特定の一社に依存しているのであれば、「その会社の経営状況は大丈夫なのかな?」とアンテナを立てておく必要があります。
このような与信管理をどのようにやるのかというと、一番基本となるのが「帝国データバンク」の信用調査です。

「知らなかった」という方は、帝国データバンクのホームページを一度見てみてください。

実は、当社も経験!「信用調査」とは?

帝国データバンクには調査員がいて、メディアの記者のように、対象となる会社に取材に行きます。

「こんにちは、帝国データバンクです。
御社の与信管理を希望している会社があり、ちょっと取材をさせて頂きたいのですが。
最近の経営状況はどんな感じですか?もしよかったら、数字も見せて頂いてですね...」

このような取材が来るわけです。

この取材依頼に対し、「なんで、そんなことを答えなきゃいけないのか!」と完全に拒否する会社もあります。

そうはいっても、帝国データバンクに依頼して、信用調査を入れてくるような会社は、大企業が多いのです。つまり、「大企業と取引できるかもしれない⁉︎」という可能性も含んでいる(無きにしもあらず)わけですね。

「調査レポート」が信頼度が高い理由

当社も昔、帝国データバンクから調査員が来て、信用調査を受けたことがあります。
そのときは、私も内心「大手がうちに発注しようとしているのかな?」と思いました(実際はそんな話はなかったのですが…)。

調査員が直接取材に来て、「経営状況はどうなの?」とか「今後の展望は?」「社長さんは何で創業したんですか?」など、上手に話を聞いてくるわけです。
そして、こちらがしゃべった内容が調査レポートになり、「この会社は安定度〇点」とか「ヤバイ」というふうに書かれてしまうんですね(※当社はヤバくありません)。

これが、信用調査です。
この調査レポートは、銀行も使う情報なので、嘘をついてしまうと、非常にまずいことになります。ということで、調査員の取材に嘘はつけないから、基本的に調査レポートの情報はあってるそうです。

信用調査会社への問い合わせ方法

「うちはこの会社に依存しているけど、大丈夫かな?取引先を調べて、与信管理してみよう」と思ったら、帝国データバンク、あるいは東京商工リサーチなどに「与信管理したいです」と問い合わせてみることがおすすめです。

調査員に調べに行ってもらうのもいいのですが、「最近、ちょうどその会社に調査員が行って、調べたデータがありますよ」という場合もあります。

調査を依頼する場合は、費用がある程度かかってしまいますが、他の会社が調べた調査レポートを購入する方法であれば、そこまで高額な費用をかけずにチェックすることができます。

まとめ

まとめると、何事においても、特定の何かに商売を依存するのは、いざという時に危険なので、力が分散しすぎない程度に、リスクを分散した方がいいということです。

今回の話の場合は、仕入元や卸先ですね。

実際、とあるクライアントさんが最近、仕入元の信用調査を帝国データバンクに頼んでいるという話を聞きました。

「依存していた仕入元が、あるとき急に飛んでしまい、商売が大変なことになりました」
「連鎖倒産になるところでした」

という話も現実にありますので、「いままで与信管理について考えたことがなかった」という方は、一度調べてみるといいでしょう。

P.S.

売れ筋商品への依存や仕入れ元への依存など、何かあったときにリスクが大きいことは分かっていても、ズルズル続けてしまう…。当事者にとっては耳の痛い話ですが、そういった状況から、抜け出せないのはなぜでしょうか?
与信も含め、会社全体を俯瞰して、健全性をチェックしていく必要がありますよね。しかし、ご本人だと「以前からのことで慣れきっていて気づかない」ということがよくあります。

当社は中小零細、多種多様な立場の経営者の方々に寄り添い、ご支援をしてきた経験から、リスク管理に限らず、社内体制の改善や、いま優先すべき課題の整理など、御社のご状況に即したご支援が可能です。ご興味がある方はぜひお気軽にご相談ください。

カテゴリー: 判断力と実行力

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