【動画つき】作業項目の洗い出し・分担・スケジュール化 楽天SKUプロジェクト解説 #4

こんにちは。坂本です。
楽天SKUプロジェクトが「楽天出店者にとってどんな意味があるか」、解説していくシリーズの第四弾です。
これまでいろんな話をしてきました。「商品情報が変わる」んでしたね。

  • プラナリアがイカに進化       :楽天SKU後の楽天は「二階層」になる
  • イカにはたくさん「吸盤」がついている:タグIDに代わり「商品属性情報」が追加される

イカに進化すると検索順位が上がりやすいし、回遊性も有利になり、購入率も上がりますから、売れるチャンスがとても増えます

ただ、進化するには壁があります。「マルチSKUに対応した新しい楽天システム」に移行すると、オペレーションが変わります。
お店が運営できなくなるので、進化前に「新システムに対応するオペレーション」を構築することが重要です。

今回は、イカとプラナリアの話や、システムや業務のやり方が変わることを踏まえ、「計画」の話をします。
大がかりなシステムや業務の変更が発生するので、考えないといけないこと&やることがたくさんありますよね。
なので、TODOを洗い出して、分担して、スケジューリングしましょう

※プラナリアとイカの話が分からない方は、こちらの記事をご覧ください。わかりやすく説明しています。

はじめに

全部で5本の記事です

1~5までのシリーズ記事です。今回は4本目です。

  • 1:SKUプロジェクトの意味
  • 2:守り:オペレーション変更点を確認しよう
  • 3:攻め:商品統合の判断と手順について
  • 4:計画:作業項目の洗い出し・分担・スケジュール化
  • 5:よくある質問と「今後の業界展望」

※状況が流動的なので、情報が後から追加されたり変わったりすることがあると思います。その場合、説明を補足しますので、あわせてご覧ください。くれぐれも正確な情報は、楽天公式にお問い合わせください。

動画で見る

動画でみたい方はこちらからご覧ください。
(忙しい方は、歯車アイコンから速度を調整してご覧ください)

基本は「出方を見る」

これまで読んで頂いた方は、いろんな話が出たので、気が遠くなったと思います。1つずつやっていきましょう。

他店の出方を見る

では、何から手をつけたらいいか?

いきなり答えになっていない気もしますけど、楽天のシステム変更に対応する「定番の方針」は、他店の出方を見ることですw

楽天出店が長い方はみまさんご存知かと思いますが、いろいろあるんですよね。
システムが変わる際には、「自分が真っ先にやる」のではなく、他のお店の様子を見たりしながら、じっくり取り組んだ方がいいです。

Yahoo!の出方を観察する

Yahoo!に出店している方は、Yahoo!ショッピングの動向も観察しましょう

SKUプロジェクトで、amazonと楽天が似た仕様になります。私の想像ですけど、過去の経緯からYahoo!はたぶん楽天のマネをします。

「Amazonと楽天がこうなったけど、Yahoo!はまだ」ってなると、Yahoo!はいろいろ不利。
Yahoo!も「とりあえずうちも楽天と同じにします」と言えば、みんな楽天対応でやっているので楽ですから。、

ですので、Yahoo!ショッピングに出店者の方は「Yahoo!ショッピングどうなるか」を観察していくことも大事。
ただ対応が間に合わなくなるといけないので、他店の動向を見て、Yahoo!の反応もわかったところで、具体的に動くのがいいでしょう

今から「見通しを立てる」

では、今からやるべきことはなにか?
店ごとに状況は違うし、絶対にやらなければいらない箇所は決まっています。
やらなければならないことが多いので、今から「作業項目を洗い出して、見通しを立てておく」といいと思います。

作業を洗い出すだけで、見通しがアップ

具体的には、必要な作業を洗い出しておくと「どれくらいの作業量か」「誰が何をするのか」の検討がつきます

少なくとも、洗い出した作業項目を眺めて「たくさんある…」と把握するところまでは、今やり始めた方がいいでしょう。

この解説シリーズ記事で、やらなきゃいけないこと&考えなきゃいけないこと、たくさん話しましたよね、
これらを「リストアップして壁に貼って眺める」のがいいんじゃないかと思います。

そして「今年はどこかで楽天SKU対応しないと!」、などと社内の会話で口にする。そうすると、

「え?それって受注処理も関係しますか」→「関係するね」
「商品登録にも影響ありますか?」   →「あるね~」

というふうに、「自分も楽天SKUプロジェクトって関係するんだな」ということが伝わります。

早めに言い始めた方が「突然言われた」みたいになりませんし、自然とみんなの意識が高まります
少しずつ「こういうのがあるんだよ」と言っておき、早めに空気を作り始めるといいんじゃないかと思います。
意識が高まった方がいたら、このシリーズ記事なども見せていただけると嬉しいです。

進行管理表を作ろう

実行するときは、こんな進行表が必要だと思います(画像はイメージです)。

ガントチャートって言います。ここまで作りこめとは言いませんが、TODOを書き出してリスト化するといいですね。
(Excel、Googleスプレッドシート、プロジェクト管理ツールなど)

作業量が多いので、分担して、チームでやらないと難しそうです。作業項目ごとに担当を決め、実施時期を決めてスケジュールを立てます。

  • 計画を立て、手順を考え、人を動かす
  • 既存メンバーだけでなく、社外を上手に巻き込む

それぞれ、制作の要チェックとかCSの要対応とかいろいろあると思います。

TODOを洗い出すことから始めて、タスク一覧を眺めていると、「これは〇くんかな」「これは〇くんかな、いつかなー」というふうに考えがまとまっていきます。

そうすると、どこかのタイミングで、自然とこんな感じの進行表ができるんじゃないかなと思います。

マネジメント力が問われます

要は、この3つを行います。

  • 1.作業項目を洗い出す
  • 2.担当者を決める
  • 3.実施スケジュールを決める

日頃から話題にするようにしておくと、出遅れることはそんなにないと思いますね。

1人運営の方は大変かもしれませんが、手伝ってくれるフリーランスの方やコンサルの人とかいますよね。
「社内の人だけでなく、社外のいろんな人とも日頃からコミュニケーションをとっておく」と視界がクリアになると思います。

実は今回のSKU対応、この計画やスケジュールって、ECの仕事というよりマネジメントだ思うんですよね。
「組織としての実行力」「マネジメント能力」が問われていると思います。

この何年かで、EC事業はどんどん複雑になってきました。こういう仕事もしなければならなくなってきたんだなと思います。

SKU対応計画(案)

「やるべきことを洗い出しましょう。作業リストを作りましょう」と言いましたけど、大変ですよね。

この章は作業項目の「イメージ」です 。「こんな感じの作業リストを作るといいんじゃないでしょうか」と言うご提案です。
仮ですので責任はもてませんが、参考程度にご覧ください。

全体の流れ

我々はECのコンサルティング会社でして、売上アップの支援だけではなく、マネジメントや組織運営のコンサルもしています。支援先は中小企業が多いので「小企業でもできるマネジメント」を大切にしており、あまり難しいことは言いません。

その観点で申しあげると、息の長いプロジェクトにおいては、中間ゴールを設定するのが大事です。
(専門用語で「マイルストーン」と言います)

「まず中間ゴールを複数設定」し、「ゴールへの道筋を洗い出す」順序がおすすめです。

  • 中間ゴール1:新オペレーションへの適応完了(必須)
    • SKU対応の新システムに移行を前提に「業務をちゃんと回せる」という確信を持てる状態
  • 中間ゴール2:攻:SKUの統合対象が決まる(任意)
    • 「どの商品との商品を統合するか」が決まり、リストアップされた状態
    • メインの商品ページ、「この商品とこの商品を、この商品ページに統合する」ことが決まっている
  • 中間ゴール3:残タスクの対応完了
    • 任意入力の商品属性の対応、カテゴリページや店全体のレイアウト変更 など
    • 商品統合するとカテゴリページがスカスカになったり、店全体のレイアウトの見直しが必要になったりするため

これらの中間ゴール、三つともすべて完了したら、プロジェクト達成です。

中間ゴール1:新オペレーションへの適応完了(必須)

ということで、中間ゴール1から説明します。

システム変更に伴って、オペレーションが変わりますよね。
新しいオペレーションで自分たちの店がちゃんと回る状態にするためには、どうしたらいいか。

  • 変更点を列挙し、各担当者に割り当てる(受注・CS・一括更新・システム・SSサーチ登録など)
  • 各担当者が読解し、発見や懸念を記録する
  • 各作業を実際に動かす(=テスト作業)ことで、懸念点(心配事)を列挙する
  • 定例会議を行い、不明点や懸念点を解消しながらテストを繰り返す
  • 「新しい手順」を確立する。手順は業務マニュアルにまとめておく

細々書きましたけど、これはあくまでイメージです。実際はケースバイケースだと思います。

懸念や疑問を洗い出す

新SKUの新システムになることで「手順のどこ変わるか」を、まず店長やリーダーが考えておきましょう。
次に、各担当者が「楽天公式マニュアルのうち自分が関係するところ」を読みます。締切も「〇月〇日まで」と決めておきます。みんなが読み終わった状態で、「どうだったか」という会議を開催します。

「これが大変」「あれが大変」「これ難しくないですか」「これどうしましょう」 などなど、カオスになると思いますが、疑念や懸念をわーっとみんなで出すのが大事なポイントです

店長さんや誰かの頭の中で、疑問がぐるぐる回っていても何にもなりません。
頭の中で同じことを考えているだけで、堂々巡りになりがちです。誰しもそうです。

なので、Excelやホワイトボードなどに書き出していきましょう。それをみんなで眺めると話が進みます。

「こういう課題があります」「こういうことをしなきゃいけない」「これのやり方がさっぱりわかりません」

など、モヤモヤがたくさん出るので、見ていて気持ちのいい情報ではないかもしれません。
それでも「さっぱりわからない…」と頭の中でリフレインしているより、「ということを、何とか解決しなければならない」と壁に書いてある方が、よほど前進に近づきます。

なので、「課題や悩みであっても書き出す」ということをしましょう。

リハーサルを行う

そして、新しいオペレーションを実際に動かしてみましょう。リハーサルとか避難訓練とか予行演習みたいな感じですね。

実際にテストでやってみると「ここをどうするんだろう?」「こういう場合こうなりますね」という懸念がまた追加されまます。なのでこれらも列挙して、ホワイトボードなどに書いておきます。

書き出したいろんな問題を、みんなで見ながら定例会議して、1個1個クリアしていく感じです。

テストを繰り返し、「よし、新しい手順はこれで決定だね」「全部署、新システムを対応できるようになったね」いうことが決まったら、中間ゴール1は達成です。

マニュアルも作っておくと◎

これは私の思いつきのご提案です。ついでにマニュアルを作ることをおすすめします。
ネットショップは、人の出入りが結構激しいですよね。なので、業務マニュアルを作るのは大切です。作っておくと楽です。

でも、マニュアルを作るのは正直手間がかかるので面倒くさいですよね。よほど追い込まれないとやらないと思うんですけど、せっかく新しい手順を作ることができたら、SKU対応のタイミングで、ついでにマニュアルも作っておくといいです。

我々はこういったコンサルティングもしていまして、マニュアルを作っておくと結構便利なのでおすすめです、ご参考まで。

中間ゴール2:攻:SKUの統合対象が決まる(任意)

中間ゴールの二つ目です。SKUの統合対象を決めます。

  • 統合できそうなSKU(商品ページ)を洗い出す
  • 統合すると決めたSKU(商品ページ)を一覧にまとめる
  • どの商品ページをメインページとするかを決める

統合対象を洗い出し、リスト化する

「統合できそうな商品ページはどれか」を洗い出し、一覧にまとめましょう。
「項目選択肢別在庫」の商品も忘れずに。自動で統合されないので、要注意ですよ。
「項目選択肢別在庫」の商品は自動で統合されます。ただし、正しく移行されたかどうか、価格や画像の内容確認は必須ですので忘れずに。

「この商品とこれとこれを統合しよう」
「この商品ページがメインページで、他の商品はこれに統合する」

と言うことを検討して決めます。
リストは「作業予定表」にもなるよう、統合予定を書き出していってください。

洗い出したリストで、ステータスを管理する

そうすると「これらの商品ページを、このように統合していきます」という一覧ができますよね。
この一覧の右の方に「ステータス」という項目を作ります。

SKU統合は、1日とかで終わるものではなく、長期戦ですから。各商品の統合プロセスについて、ステータス管理していくことが非常に重要です。以下のような感じでステータスを分けて管理しましょう。

ステータス
未着手
進行中
レビュー統合依頼済
レビュー統合待ち
レビュー統合完了

SKU統合は、1日とかで終わるものではなく、長期戦ですから。

定例会議のススメ

楽天SKUプロジェクト対応に限らず、定例会議はやった方がいいと思います。

1人の場合はやる理由ないですけど、外部のコンサルタントやフリーランスの方がいる場合、雑談が混ざってもいいので、定例会議をしましょう。
その場で「商品統合予定の進行管理表」を見ながら、「どこまで進んだ」とか「順調?」「いやこの商品は何か違うんですよ」、みたいなことわかったりします。

マネジメント上、例会議は有益ですので、開催を検討するといいと思います。

商品統合が終わったらレビュー申請

統合が完了したら、楽天にレビュー申請します。

  • 統合が完了した商品から順次、楽天へレビュー統合を申請する
  • レビュー統合が完了すると、その商品の統合処理は完了

審査って落ちることはあるんでしょうか。あるかもしれませんんね。

これが一通り終わると、SKUの統合完了です。

中間ゴール3:残タスクの対応完了

中間ゴール3です。以下のようにいろんなことがあります。中間ゴール2と3を同時に進めてもいいでしょう。

  • 「任意入力の商品属性」を人海戦術で入力する
  • 他モールとの連携を踏まえ、業務手順を調整する(本店と3モールをどうつなぐか)
  • サイト構成を調整する(商品ページを統合すると、不要になるカテゴリページがあるかも)

任意入力の商品属性を登録する

楽天が一生懸命考えた細かいキーワードの登録、それが「任意入力の商品属性」でしたね。
詳しくは3回目の記事で説明してますので、まだ見ていない方はこちらをご覧ください。

楽天が「検索結果で有利になる」と言っているわけではないですが、登録すると明らかに有利になりそうですよね。

なので、人海戦術で入力していきます。
我々のコンサルティングではモールSEOもご提案しているんですが、SEOはチームでやっていくことをおすすめしています。

パートさんや、フ業務請負契約の在宅スタッフさんのみなさんなど、チームでやっていくといいと思います。
会社によっては、CSのメンバーもSEOでキーワード記入を手伝うこともあるんですよ。
そんな感じでチームを編成し、人海戦術で「みんなで商品属性を入力していく」といいでしょう。

他店舗や楽天店のサイト構成を調整する

楽天店がこういう状態になったので、「本店やYahoo!店・Amazon店も調整しようかな」など色々ありますよね。

また、商品ページが統合していくと、カテゴリページがすかすかになったり、カテゴリページ自体不要になったりするかもしれません。

このように、SKU統合に付随していろいろな調整が発生すると思います。
ぜひ、「残りのタスクも片付けて完了」し、打ち上げやお疲れ様会をしていただくといいと思います。

余談:プロジェクX対応で「組織の実行力」がつく

ここからは雑談です。

SKU対応で「計画的に仕事を進める体制」ができる

こういう「計画的な仕事のやり方」って、小企業だとなかなかないのでは、と思います。
楽天さんにやらされている側面はありますが、SKUプロジェクトにみんなで取り組むと「組織としての実行力」がつくと思うんですよね。

やることリスト・担当者・定例会議、たくさんある1個1個をクリアして、「こういう問題があります。どうしましょう」「それはこうしましょう」みたいな…「プロジェクトX」みたいですね。
、「プロジェクトX」知らない人もいるかもですが、そんな感じでチームでみんなで取り組んでいくわけです。

これまであまりやっていかなった「計画的な仕事のやり方」を、組織にインストールするいい機会かもしれません。

SKU対応で身に付いた力は、今後の仕事に役立つ

SKU対応のような計画的な仕事の仕方って、これからのEC業界で大事だと思うんです。
一度慣れてしまえば、例えば、

  • モール出店してるけど、本店もやりたい
  • コンテンツマーケティングしたい
  • もっといろんなモールに出店したい。越境ECしたい
  • 商品開発したい
  • もっと業務効率化したい。システム導入した
  • 社員を採用したい。社員を育成したい
  • 新しい事業を立ち上げたい。新商品を開発したい

などなど、やりたい仕事や新しい仕事って、いろいろあるじゃないですか。実行力不足で挫折したりしてますよね、私もそうですけど。

でも、こういう面倒くさいプロジェクトをみんなで乗り越えることができたら、その組織にはきっと実行力がつきます
なので、SKUプロジェクトで身につけた力を使って、ぜひいろんなことに取り組んでいただきたいです。

ということで、みんなで「SKUプロジェクトの対策プロジェクトX」をがんばっていきましょう!

次回予告

長かった「楽天SKUプロジェクト解説 」も次で最後です。5本目は「よくあるご質問と今後の業界展望」について。

楽天SKU対応でよく頂く質問への回答のほか、「ECモール業界は、マルチSKUがスタンダードになるんじゃないか」と想像しており、その辺の話をして最後にします。
今後も追って続報を出していくと思うので、気になる方はTwitterFacebookページメルマガなどにご登録いただければと思います。

P.S.

弊社は、「中小EC事業の経営全般を支援するコンサル会社」です。
売上アップや利益改善だけでなく、ECチーム作りや組織運営まで、幅広くサポートしています。

年々ECの仕事は複雑になり、やるべき仕事の量も幅も広くなっていますよね。
モールSEOの効率的な進め方、マネジメントの仕方など、実務を進めるにあたってのご支援も行っています。
相談したい方、ヘルプがほしい方は、お気軽にお問い合わせください。

カテゴリー: EC戦略論

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