あなたの会社は今どのレベル?「組織の実行力を高める方法」をレベル別に紹介

こんにちは、坂本です。
今回のテーマは、小さな会社が、組織の実行力を向上させる方法について。

  • 色々やりたいことはあるが、組織的な実行力がないから、ビジョンに実行が追いつかない
  • メンバーは増えたけど、忙しさがまったく解消されない

というような、組織運営上の課題を感じている社長&経営者の方におすすめです。
私自身の「創業から現在に至るまで」と、お手伝いしている会社の典型的な成長プロセスを元に解説。この記事を読むことで、「組織を次のステージに進めるための考え方」を身につけていただけると幸いです。

はじめに

今回はすこし長めの記事なので、本題に入る前に、話の流れをお伝えします。

1.組織には「3つの機能」がある
まず最初に、組織を運営していく上で欠かせない、3つの機能をご説明します。
※ここでいう機能は、 営業部や制作部などの部門的な機能のことではありません。計画して実行することについての話です。

2.3つの機能の運用方法で「組織の実行力」が変わる
2番目に、3つの機能を社長が全部やっているのか、一部を社員やメンバーが担当しているのかによって、組織の実行力は変わります。実行力の成長段階をレベル分けして、わかりやすく説明します。

3.自分の会社に当てはめる時の注意点
3番目に、自分の会社に当てはめる時の注意点をお伝えします。 1と2はシンプルな話なのですが、状況によってその通りにとらえてはいけない場合もあるので、いくつかの注意点をお話します。

4.まとめ
最後に全体を振り返り、各章のポイントと、改めて「経営者が心に刻んでおきたい大事なこと」もお話します。

1.組織には「3つの機能」がある

どんな小さな会社であっても、組織には3つの機能があることを意識する必要があります。

「方針」「計画」「実行」の3機能

まず、組織の3つの機能を確認しておきましょう。

  1. 方針方針を立てること
  2. 計画:方針を具現化させるための計画をすること
  3. 実行:その計画に沿って、実行をすること

この「方針・計画・実行」の3つの機能は、組織の実行力を高め、発展させていくための考え方として、非常に重要です。
また、組織の成長段階は、「社長がすべて遂行しているのか」「一部を社員が担っているのか」によって変わってきます。

2.3つの機能の運用方法で「組織の実行力」が変わる

3つの機能「方針・計画・実行」の運用の仕方によって、組織的な実行力の成長段階が変わります。
どのような成長段階があるのか、わかりやすくレベル別に解説します。

レベル1 :「方針・計画・実行」、すべて社長

レベル1は、社長が3つの機能をすべて担っている状態です。

  1. 方針を立てる
  2. 計画を立てる
  3. 実行する

3つの機能を全部やることは、必ずしも悪いことではないです。しかし、「方針・計画・実行」を全部社長がやっていたら、 組織的な実行力は高まりません。そして、社長の忙しさも一向に改善せず、当然あらゆることの進みが遅くなります。

レベル2:「方針・計画」は社長、「実行」は社員

小さな会社では、この状態が多いのではないでしょうか。

  1. 社長が方針を決める
  2. 社長が実行のための計画を立てて、「具体的にこれやって下さい」という実行の指示をする
  3. 社員は、実行を担う

つまり、レベル2では「方針を立てること」「実行計画を立てること」は社長(経営者)が担当し、社員やメンバーは実行のみを担うわけです。そこで、よく起こりがちなのは、「特に指示がないから、ただ待っている社員が現れる」という悲しい光景。

「終わりました。次は何をやればいいですか?」
「実行がんばります。はい、ではまた、指示をください。お待ちしています。」

上記のような状況を「指示待ち」と言いますが、この状況を社員側の問題ととらえてしまうと厄介です。もう少し詳しく説明します。

「指示待ち」はなぜ発生するのか?

「うちの会社は指示待ち社員が多くて…」よく聞く話です。

レベル2の状態で社員やメンバーが増えていくと、社長が方針と計画を立てて、一人ひとりに指示することになります。そうすると、社員やメンバーは、必然的に「指示待ち」になってしまいます。
ですから、実は、指示待ち社員が多いのではなく、計画を立てる人がいないから、指示する相手に対して「方針を立てて計画する能力」が追いつかなくなるのです。

  • 「方針を立てて計画して、指示を出す能力」が、指示する相手の人数に対して不足している
       ⇩
  • 結果として、「指示待ち」という現象が目につくようになる
       ⇩
  • 「社員の指示待ちが問題だ」と思ってしまう

つまり、一言でいえば、「方針・計画」能力の不足です。 実行力はたくさんあるけれど、組織として「方針・計画」能力が不足しているから、結果的に「実行するための指示待ち」というメンバーが発生してしまうのです。 バランスの悪さが露呈した現象ですね。

「指示待ち」の建設的なとらえ方

この場合の建設的なとらえ方について、考えてみましょう。

「社員が指示待ち」ととらえるのではなく、「うちの組織は実行できる人はいるけど、『方針・計画』能力が足りない」と考えた方が健全だと思います。自分のせいや人のせいと考えるより、「ただ、そういう状況である」という風に冷静に観察した方がいいですね。

例えば、自分の体調があまりよくない時。「風邪っぽい、どうしよう」と悩むのではなく、「風邪っぽいな。葛根湯を早めに飲んでおこう」というように、冷静に対処する感じです。

まとめますと、 レベル2は、社長が「方針・計画」をやり、社員が「実行」する状態。 結果として、社長の「方針・計画」能力がボトルネックになり、実行側の人が「仕事まだかなあ」と思いながら待つ状況になりがちです。 組織全体で、マンパワーが不足しているところを冷静に見て、対処する必要があります

レベル3:「方針」は社長、「計画・実行」は社員

次に、レベル3です。実際は、レベル2とレベル3ははっきり分かれておらず、グラデーションのように曖昧なラインで、レベル2.5ぐらいの組織が多いのではないかと思います。

  1. 社長が、方針を立てる
  2. 計画は、社員が考える
  3. 実行は、社員がやる

まず、社長が大方針を立てて、社員やメンバーに発表します。

社長「いまの状況は、市場がこうで、競合がこうで、お客さんの需要がこうで、うちの強みはこうだから、うちの経営方針としては、こっちに向かって行きたい」

社長の方針を社員が受け止めて、下記のような流れで、計画を立てていきます。

社員「なるほど。では、社長、これってこうした方がいいんじゃないですか?」
社長「確かに、そうだね。じゃあ、計画を立ててくれる?」 

大抵、この計画を立てる人が中間管理職です。その人の下にいるメンバー(一般社員やバイトさん、パートさん、外注さん)が一緒に実行する流れになります。ということは、「計画能力を社員側が持っているか」がポイントになります。

つまり、社長の方針を理解した上で、「具体的にこういう計画を立てれば、みんなで実行できますね」という風に、かみ砕いてくれる人が社内にどれぐらいいるかということです。

全員が計画できるようになればすばらしいですが、それはなかなか難しいものです。全社員のうち、計画能力がある「右腕」と呼ばれるような人が1人だけいる状態が、典型的な小企業の構造だと思います。

まとめると、「方針・計画・実行」のうち、レベル3は社員が「計画」を担える状態です。社長と社員が一緒に「計画」を立てる状態だと、まだレベル2〜3の間、2.5ぐらいですね。

レベル2.5の例1

社員が計画を立てた後、社長と社員で会話しながら調整する。

社員「社長、こんな感じでどうですか?」 
社長「ここは、こうしてほしいな」
レベル2.5の例2

社長からラフに計画を出して、それを元に、社員に計画書や企画書を作ってもらう。

社長「下書きを書いたから、あとはやりやすく計画を調整してくれるかな。最後こちらで承認するから、計画書を作ってきて下さい」
社員「方針わかりました。では、こんな計画はどうでしょう?」

このように、社員主導で計画を出していけるようになると、レベル3になります。

レベル4:「方針」から、社長と社員で一緒に考える

レベル4は、方針も一緒に考える状態です。こうなってくると、社員に理念を共有するだけで、前進していけるようになり、非常に楽になります。

社長「うちは、こういう世界を目指しているんだよね」 
社員「なるほど。ということは、事業方針はこうなるでしょうか?」 
社長「うちって、こういう強みがあるよね」
社員「それなら、うちの事業方針としては、この強みをアピールして、こういう風に商品展開していくのはどうでしょう?」

事業方針の上にあるような理念や、ざっくりとした大方針を示すだけで、「事業方針は、こうしたらいいのではないですか?」 「こういうのは、どうでしょう?」 という風に、社員から提案してくれる状態が、レベル3.5~4の段階です。

社員が方針を理解し、計画能力がついてくると、計画を社長から切り出せるようになるので、組織の実行力がかなり上がってきます。

ただし、このような状態になるには、社長自ら、方針を言語化しておく必要があります。 「あれやって」「これやって」という風に、指示だけ出している状態では、社員は実行しかできないので、計画能力がつきません。

たとえば、下記のように、社長から、いくつかお題を出すと、社員にも計画する習慣がだんだんつくのではないかと思います。

社長「こういう風にしたいんだけど、〇〇君、どうしたら実現できるか考えてくれる?」 

組織の中で、「計画を立てる」⇒「実行する」⇒「いまくいった」という経験や、方針についての会話を日々積み重ねていくと、だんだん社員の頭の中で、方針と計画がシンクロするようになります。

社員「ということはつまり、次の方針はこの辺でしょうか」
社長「そうだねえ」

このような何気ない会話をきっかけに、方針のアイディアもだんだん現場から上がってくるようになります。

以上、組織の実行力について、レベル1〜レベル4に分けて説明しました。
「自分の会社は今どのレベルか」、ぜひ考えていただきたいと思います。

3.自分の会社に当てはめる時の注意点

では、実際に自分の会社にあてはめた時に、どのように解釈し、今後の方針立てに使っていけばいいか。押さえておきたいポイントと注意点を説明します。

時と場合によって、レベルが変わることも受け入れる

組織の実行力は、直線的にレベルアップを目指せばいいわけではありません。ドラクエのようなゲームではないので、「わが社はレベル3になった!」というような単純なストーリーではないのです。

  • 「今のこの案件はレベル2で、社員が実行のみの状態。だけど、この件は社員側で計画も練っているから、レベル3かな」
  • 「今日は、少しレベル4の感じだったかもしれない」
  • 「この件は、〇〇さんと方針から一緒に考えることができそうだ」
  • 「社員の〇〇さんは、自主的に計画を立ててくれるから、今回は大分楽ができた」

つまり、その日その日の案件ごとに、レベル1だったりレベル4だったりするのです。時によってレベルが変わることを受け入れる姿勢も大切です

新規事業では、レベル1が大事な場合もある

新規事業や新しいチャレンジに関しては、下手に社員を入れると、あまりにも手探り状態なため、社員の不安ばかりが大きくなる可能性があります。

全く先が見えない未知の案件の場合、社長が1人で「方針・計画・実行」を全部やってみて、「うまくいきそうだ」と分かったら、「大丈夫だよ」と社員に渡すパターンが非常に多いです。

実際、新規事業の開拓が上手な社長さんと接していると、「新規事業は、だいたい僕ひとりで最初から最後までやって、できたら社員に渡しますね」という話をよく聞きます。

つまり、レベル1も悪いことじゃなくて、すごく重要だということ。
「レベル1=悪じゃない」ことを確認した上で、「ルーチン業務まで全部自分でやっている」という人は、まずはパートさんを入れるなど、業務移管を考える必要があります

出荷や受注はパートさんがやってくれているとして、バナー制作や商品登録、メルマガ配信といった、「ルーチン寄りだけど、ある程度の感覚が必要な作業」は、在宅スタッフや外注さんなど、業務委託先を探すといいでしょう。われわれの得意分野ですので、こういった支援がご入用な方はぜひお問い合わせください。

方針を言語化して、計画できる社員を育成する

実行してくれるメンバーが増えてくると、今度は実行力が高まりすぎて、社長が「みんな指示待ちになっている」とブツブツ言い出す状態になりがちです。最初から考えると贅沢な悩みなのですが….

このジレンマを乗り越えるには、「社員に計画してもらう」という次のステップに進まなければなりません。
計画に参加してくれる社員を見つけて、育成し、ほめて伸ばしていくこと。つまり、社員に成功体験を積んでもらうことが必要だと思います。

この際、意識してほしい重要なことは、方針の言語化です。「計画を立ててほしい」といっている社長自身が、自分の頭の中にしかない方針を口に出していない、あるいは、独り言のようなポエムのような言い方で、誰にも伝わっていない状態だと、社員も計画の立てようがないのです。

社長が「社員の計画能力がない」とこぼす最大の原因はなにか。
それは、社長が「当社の、今年の、この四半期の、この半期の経営方針は、こうです」と、わかりやすく伝えることを怠っていること。意外と小企業ではこういう状況が多いように思います。

方針の言語化とは、「自分が考えていることを言葉にして、人に伝えること」
結構大変なので、誰か壁打ち相手をおくことをおすすめします。「こんなこと思っているんだよね」、「こういう風に迷ってて、こういう風にしたいんだよね」 とブツブツ喋っていく場に、われわれコンサルタントを置いていただくと便利です。わかりやすく伝えるための言語化のお手伝いをします。

4.まとめ

最後に要点のおさらいです。まず覚えていただきたいのは、組織の3つの機能です。

組織の3つの機能とは

組織には、3つの機能があります。

  1. 方針を立てる
  2. 計画を立てる
  3. 実行する

特に論点となるのは、「計画しているのはどこか」 「社員に計画能力があるか」。 ある程度大きい会社の場合は、「社長が方針を立て、部長が計画して、社員が実行する」という役割分担が多いかと思います。

組織的な実行力の成長段階

次に、実行力の成長段階について、レベル別にご説明しました。

  • レベル1:社長が全部やっている段階
    • 新規事業に挑戦する時、まず社長が一人で一通りやってみて、「大丈夫」と確認してから社員に渡すことも多いもの
    • これは新規事業が得意な社長さんに多いやり方で、一人で全部やることは決して悪いことではありません
  • レベル2:計画能力がある人を育てていく段階
    • 「指示待ち」の悩みがでてきたら、憂うのではなく、計画能力がある人を選抜し、右腕に育てましょう
    • 最大の盲点は、社長が「考えてることを誰にも言っていない」「言ったとしても独り言で意味不明」
    • 方針を伝えているつもりで「指示と方針が混ざっている」問題もよくあります。相手にわかりやすく伝えましょう
  • レベル2.5~3:実際に計画を立てられる社員が出てくる段階
    • レベル2.5:計画を一緒に立てられる社員が増えてきた状態
    • レベル3 :計画を任せられる社員が現れた状態
  • レベル3.5~4 :社員が方針も一緒に考える段階
    • レベル3.5:社員から、方針に対して自発的な意見が出るようになった状態
    • レベル4 :社員の自発的な意見が、きちんと方針として形になった状態

社長が心得ておきたいこと

最後に、 社長(経営者)の方へ大事な注意点をお伝えします。
声を大にして言いたいのですが、たとえ方針を社員に相談したとしても、最終的にすべて社長の責任になります。

社員から、たくさんアイディアが出て、そのアイディアを採用しても、自分が承認したのなら、その責任は社長にあります。 もちろん担当社員にも責任の一端はありますが、社員のせいにしてはいけません。「この方針で、この計画でやることになったのは、お前のせいだ」などと言い出すと、レベル4の段階まで育ったすばらしい社員が辞めたり、折れたりしますから、気をつけましょう。
GOを出したら、それは全部社長の責任です。辛い仕事ではあります。 社長の皆さんはよくご存知だと思いますが、人間は弱さゆえ、うっかり忘れがちになることもあるので、ご注意ください。

社長への注意点

改めて整理すると、ポイントは下記の通りです。

  • 方針を口に出さないまま(頭の中で考えたままの状態で)、放っておかない
  • 方針を独り言風に述べたり、「指示とごっちゃにする」など曖昧な伝え方はしない
  • 自分の頭の中を整理して、方針を言語化し、社員に分かりやすく伝える
  • 社員からの方針や計画のアイディアを承認したのなら、それは社長の責任
  • 手を離しても、目は離さず、自分の責任としてしっかり見ていくこと

以上、「組織として実行力を高めていきたい」方へ送るメッセージでした。

終わりに

今回は、小企業が創業して、ひとりで何でもやっている状態から、社員が自主的に進めるようになり、「自分が方針を伝えると、ちゃんと実現していく」状態になるまでのプロセスをご説明しました。

当社も創業から十数年、こんな感じで育ってきて、レベル4やレベル3の日もあれば、場合によってはレベル1のときもあります。最近は、 レベルの4の日も多くなってきて、経営者としてはとても心強く、穏やかな気持ちでいられます。 EC事業者の皆さんが、そのように実行力に自信を持てるよう、サポートしていきたいと思っています。

P.S

改めて、組織の実行力について冷静に考えてみると、人員配置の問題だけではなく、方針の言語化や人材の育て方など、様々な課題が見えてきます。しかし、それ以上にまず、「ご自身が考えていることの整理が必要」という方も多いのではないでしょうか?

組織運営のために、役立ちそうな情報を色々インプットしているけれど、なかなか生かせない、ひとりで考えすぎて煮詰まってしまう…という方は、「話しながら頭を整理する」という、アウトプットの機会をつくることをおすすめします。

弊社のコンサルタントなら、「話しながら考えをまとめる」お手伝いをするだけでなく、それぞれの組織の事情に即した具体的な提案を行い、身軽化を実現いたします。相談相手が必要な方、ご興味のある方は、以下のページをご覧ください。

カテゴリー: EC事業の組織論

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