ネットショップ商品説明文のコツと、意外な落とし穴

こんにちは、坂本です。

今回は、ネットショップで商品ページ・商品説明文を書く際のコツについて書きます。

売り方を学び始めた初心者がハマる「落とし穴」があるんです。あなたもハマってるかもしれません。それは・・

「一番のウリ」をアピールしてはいけない?

商品説明を書くとき、一般的には「この商品の一番のアピールポイントはなんだろう」と考えます。で、じっくり考えて、「やっぱ品質だよな!」「ウチは国産で伝統製法で健康的なのがウリだな!」などと考え、一番のウリを力強くアピールします。普通ですね。でも、それは間違いかもしれません

もう少し説明すると、「一番のアピールポイント」にこだわった商品紹介は危険です。もったいない。機会損失かもしれません。

なぜなら、実際にお客さんが商品を買うときは、単に「健康的だから」という一つの軸だけで選ぶことはないからです。

ちょっとわかりづらいですね。以下、事例で紹介します。

事例紹介:弊社のコーヒーメーカーの場合

弊社に置いてあるコーヒーメーカーの話です。去年、こんなことがありました。

弊社には、2種類のコーヒーメーカーを並べてあります。

弊社には、なぜか2種類のコーヒーメーカーを並べてあります。

  • (1)ネスカフェ ドルチェグスト(手軽なインスタント)
  • (2)業務用コーヒーメーカー(豆を入れる高級品)

この2台が、この狭〜い市場の中で「シェア争い」をしています。観察していると、勉強になります。

もともとは(1)ネスカフェだけだったんですが、(2)業務用コーヒーメーカーを、とある珈琲屋さんのおすすめで導入。「全然味が違うんです」との話でした。確かに美味しい!お店の味です。

以前は、(1)ネスカフェが勝っていた

ところが、業務用コーヒーメーカーの導入後も、社内では(1)ネスカフェのシェアが高かった。どうやら、さほど味にこだわっておらず、「早くコーヒーが出る」方が良い・・という人が多かったようです。弊社オフィス内には、利便性重視派が多かったわけですね。

私は「(2)美味しい業務用コーヒー」を飲みます。導入した張本人ですからね。全然味が違うのになー。美味しいし、せっかく導入したからみんな飲んでほしいなー。。頑張れ業務用。

でもその後、シェアを見ていると、業務用が巻き返して、シェアが伸びてきました。興味深い現象です。何が起こったんでしょう?

(2)業務用コーヒーメーカーが「巻き返した」理由

理由を知りたくなったので、リサーチしました。※といってもユーザは全員弊社メンバーなので、社員に聞いただけですけどね。

まず、昔は(1)ネスカフェだったけど、最近になって(2)業務用に乗り換えた人に、ヒアリングをしてみました。

彼曰く、「業務用は面倒に思って、食わず嫌いで避けていた」→「けど、そうでもないことに気づいて乗り換え」→「美味しいから継続して飲んでいる」とのこと。ほうほう、なぜ気づいたの?「他の社員からクチコミで聞いた」とのこと。

次に、そのクチコミ発端の社員にヒアリングをしました。彼曰く、「両方試してみた」→「後者が美味しかったから飲んでいる」「業務用は、最初分かりづらかったけど、一旦把握すれば別に手間はないと気づいた」。だから、最近は「業務用を周囲に勧めている」とのこと。

一連の現象を、分析してみる

弊社で書いたノウハウ本では、商品やサービスの訴求ポイントを、3つに分けています。これを踏まえて考えると分かりやすいです。

  • 品質 (Q)
  • 価格 (P)
  • 利便性 (C)

さて前述のコーヒーは社内用で、無償提供です。なので、比較において価格(P)は関係ありませんね。

で、(1)ネスカフェは利便性(C)がウリ、(2)業務用は品質(Q)がウリです。

しかしながら、「コーヒーなんて飲めればいい(C)」比率の高い弊社オフィス・・という市場特性においては、「美味しい(Q)」という訴求は、弱くて刺さらなかった!無料なのに!w

では、業務用が巻き返して、シェア拡大できた訴求は何だったのか?

それは「意外とめんどくさくない(C)」「そして美味い(Q)」という、ある種「消極的」なメッセージが市場に浸透したからです。

業務用コーヒーメーカーは、味がいい、という強い武器は持ってたんですが、それだけだと弊社オフィスという市場では通用しなかったんです。しかしそこに、「意外とめんどくさくない」という一見地味なサブの武器が現れた(気づいた)ことで、一気に強くなった。

ボクシングでいうと、右ストレートが強くて、パンチ力はあるんだけど、大振りで当たらない。決め手にかけていた。そこで「パンチ一発で決めるのではなく、切れのあるジャブを習得して、右ストレートにつなげる」技術を身に着けた。つまりジャブ&ストレートの、ワンツーです。ボクシングの基本です。このワンツー訴求によって、チャンピオンになったわけです。おめでとう!業務用コーヒーメーカー。

商品説明は「リアルな比較」を想定しよう

商品を選ぶ現場においては、「品質vs安さ」といったシンプルな構図にはなりません。

自分が買い物するときのことを考えてみましょう。実際は、「健康的だし、子供も喜びそう」とか、「健康的だし、今の季節にちょうどいい」だとか、複数の商品の良さが掛け合わさって、選んでませんか?

スーパーで牛乳を購入するときでさえ、「美味しい」「安い」といったシンプルな理由だけでなく、「カルシウムと鉄分も多いし、ちょうど特売で安い」「美味しい上に、サイズがちょうどいい」「美味しそうだけど量が多い・・でも料理にも使えるなら買っても余らせないな」などなど、複合的に決まります。

お客さんは、商品を買う際に、何かしら「基準」を持っています。大体、その人の好みや生活スタイルが影響します。子供が育ち盛りだから量を重視するとか、少食で2人暮らしで高級志向とか。

ただ「自分は高級志向だから高ければ高いほどいい。この店で一番高い牛乳を買おう」なんていう人は余りいません。廉価な商品よりは高級なほうが良いけど、2人暮らしだから余り量はいらなくて、500mlがちょうどいい・・なんてのがリアルなお客さんです。そう考えると、「とにかく高級訴求」という単一訴求が現実的でないことがわかりますよね。商品を紹介するときには、現実を踏まえ、お客さんをよく理解して、複合訴求で臨むべきです。

※余談ですが、「似たような比較基準を持っている集団」を「客層」と呼びます。客層を分析することを「顧客理解」といったりします。大事な概念なので、興味あれば関連記事をどうぞ。

まとめ:商品説明は「ワンツー訴求」が大切

我々売り手が訴求を考える際には、ついつい、Q VS P(品質が良い我々 VS 安い量産品)で考えがちですよね。あいつら量産品とは違うんだぜ。「うちの商品はスーパーとかで売ってるやつとは全然違ってQがすごいんだぜ」みたいなアピールです。ザクとは違うのだよザクとは。

ですが、実際にお客さん側が選んでくれているときは、そんな簡単なことではなく、「Cが高いし、Qも割と高い」とか、「Pがイマイチだが、とにかくCがスゴイ」とか、一つ以上の要素が組み合わされて決まるんですよね。ちゃんと把握できてますか?

もちろん、商品説明するときに、あれもこれもあれもこれも・・と、散らかったアピールをするのは逆効果です。そうではなくて、一番のウリを伝えるときには、それと相性が良い、複合的に効きそうな「サブ訴求」を1つ2つ見つけて、組み合わせてアピールしてくださいね、ということです。

右ストレート大ぶりじゃなくて、ワンツーないしワンツースリーというコンビネーションで戦いましょう。そうすればあなたもチャンピオンです!

PS
「売れる商品アピール」の書き方についてお悩みの方は弊社コンサルティングまでお声かけください。

ちなみに、商品説明を書き換えただけで、「売上が3倍」になったケースがあります(実話)。これはすごかった。詳しくはこちら。

カテゴリー: 売れるキャッチコピー

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